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草花メモ&エピソード

1. 花と葉の関係 
2. 自家受粉をさけるための工夫
3. 花粉を守り、花粉を託す
4. 寒さへの対応 
5. 花と昆虫の関係
6. 花びらを開かない花:閉鎖花
7. 花の形いろいろ
8. 葉の表と裏
9. 数学と植物
10. 植物の化学物質
11. 変異する植物
12. 分類について
13. 種子分散の工夫
14. 運動する植物
15. 特徴のある葉

1. 花と葉の関係

植物の中には葉の数と開花の様子に関係のあるものがあります。その幾つかをここで採り上げることにします。
  • カタクリ    (ユリ科カタクリ属)      2枚葉の株で花がつく

  • ゴゼンタチバナ (ミズキ科ゴゼンタチバナ属)  6枚葉の株で花がつく

  • キヌガサソウ  (ユリ科キヌガサソウ属)    外花被と葉の数の一致
           
    (ツクバネソウ属とすることもあります)

  • ABCモデル

花を観察すると、外側から、がく片(外花被片)〜花弁(内花被片)〜雄しべ〜心皮(雌しべ)の順序で構成されていることがわかります。その位置(順番)を決める遺伝子がホメオティック遺伝子と呼ばれ、それぞれの位置に適した器官を分化発生させるのに大切な役割を担っています。花を決定する遺伝子(SEP遺伝子)に加えて、A遺伝子が単独で発現しているところではがく片が形成され、A遺伝子+B遺伝子が発現していると花弁が、B遺伝子+C遺伝子が発現すると雄しべが、C遺伝子単独では心皮が形成されます。

AとCは互いにその分化にたいする活性を抑制する働きがあることもわかりました。まとめると、がく片(SEP遺伝子+A遺伝子) 花弁(SEP+A+B) 雄しべ(SEP+B+C) 心皮(SEP+C) というように比較的単純に制御されていました。さらにABC全てが発現しない変異体を作ったところ、がく片〜心皮の花の器官全てが葉の集まりとなりました。花は進化の過程で葉が変化してできたものであることが理解できます。

2. 自家受粉をさけるための工夫

自家受粉をさけるために、雄しべからの花粉放出が終わった頃に柱頭が展開し受粉可能になる植物があります。雄性先熟といいます。
雄性先熟とは反対に、雌しべが先に成熟して機能する事を雌性先熟といいます。
  •  オオバコ      (オオバコ科オオバコ属)     雌性先熟  

  •  ショウジョウバカマ (ユリ科ショウジョウバカマ属)  雌性先熟

  •  ミズバショウ    (サトイモ科ミズバショウ属)   雌性先熟

  •  コブシ       (モクレン科モクレン属)     雌性先熟

 

  • 雄性期と雌性期を分ける(雌雄異熟)植物の中で雄性先熟が目立って多い理由とは?

 虫媒花は送粉昆虫たちにアピールするために、色や形で目立っています。我々人間もそれらを「花」として認識し易いと言えます。現在、虫媒花の中でも蜜を分泌しハチを送粉者とする植物が繁栄しており、ほとんどの雄性先熟がこのグループに入るので、これが目立って多い事になります。一方、雌性先熟となる植物の特徴は、風媒花であったり(イネ科の一部やオオバコ科など)、虫媒花でも蜜を分泌しなかったり(モクレン科やウマノスズクサ科など)、送粉昆虫の少ない季節や場所に開花する植物であったり(ショウジョウバカマ属など)します。すなわち、蜜を出してハナバチなどが頻繁に訪れ、訪花昆虫に人気の花は雄性先熟であり、送粉昆虫の訪花が無いか頻度が少ない花は雌性先熟である傾向があると言えると思います。

 では、なぜハナバチに好まれると雄性先熟で、送粉昆虫に恵まれないと雌性先熟傾向なのでしょうか。両者の長所と短所を比べてみると理解できるかもしれません。

 まず、風媒花を考えてみます。この場合、雌性先熟であれば展開した雄しべなどに邪魔されずに柱頭で花粉をキャッチしやすくなるし、自家受粉も避けられます。それから開花期間に対する雌しべの活動期間が長く取れるので、風にのるために小さくて比較的寿命の短い花粉でも受粉のチャンスが広げられます。群レベルで見たとき、仮に雄性先熟ですと、開花期間後期の花々では雌しべが多数成熟しているのに対し花粉は不足傾向になり、風まかせで寿命の短い花粉にとって雌しべに到達しにくくなってしまいます。また、オオバコのような穂状果穂では位置的な理由で雌性先熟が有利と言えると思います。

 次に、虫媒花の中でも蜜を出さなかったり、送粉昆虫が少ない場合を考えてみます。雌性先熟ですと、運悪く虫の訪花が無く雌性期間中に受粉できなくてもショウジョウバカマやミズバショウの様に後から成熟させた花粉で同花受粉させることも可能となります。雄性先熟では、そう都合良くいきません。例えば、訪花昆虫が少ないために先熟の花粉が花に残っている時には後熟の雌しべは他家受粉のチャンスもないまま自家受粉を余儀なくされます。また、花粉が全て運び去られていた時では、餌としての花粉がない雌性期は昆虫の人気がさらに無くなり受粉できなくなってしまいます。すなわちこの場合は、他家受粉の可能性を最大限に残しながら、自家受粉も可能にしている雌性先熟が有利といえると思います。

 最後に、ハナバチなどの花から花へ次々訪花する昆虫が十分に存在する環境を考えてみます。ある地域内で早期に開花した個体について、仮に雌性先熟とすると、雌しべが受粉可能でも付近に花粉が全く無いので他家受粉できません。一方、雄性先熟では、開花の早い個体が雌性期に入ったときには既に他株の花粉は熟しているので他家受粉可能となります。逆に、ある範囲内で最も遅く開花した個体が雌性期に入った時は付近の雄しべが全て枯れ落ちてしまっていてもハチの体に付いている花粉がまだあるので受粉可能です。この様に、花への投資という点からもこの場合は雄性先熟が有利となります。

 以上のように、植物の種類により事情は少しずつ異なるものの、蜜を出してハナバチ類の訪花を受けると雄性先熟が有利である一方、それらがかなわない花では雌性先熟に意味があるということが推測できました。

雌雄異熟性の他に自家受粉を避ける工夫として異型花柱性が挙げられます。

これは、花柱や花糸の長さを変えることで葯と柱頭の位置関係を変え、自家不和合性の植物でもより効率的に受粉できるようになった構造上の特徴です。ここで取り上げるソバの他、ミソハギやサクラソウの仲間も異型花柱性の花を持ちます。

  •  ソバ   (タデ科ソバ属)        異型花柱性

  •  クリンソウ(サクラソウ科サクラソウ属)  異型花柱性

  •  ミツガシワ(リンドウ科ミツガシワ属)   異型花柱性

  •  ミソハギ (ミソハギ科ミソハギ属)    異型花柱性

自家受粉を避ける最も簡単なしくみは雌雄異株とすることです。

雄株と雌株を分けることで自家受粉を完全に避けることができます。この方法を選択する植物でも、さらに細かな工夫がこらされています。

  •  フキ(キク科フキ属)   雌雄異株

 

3. 花粉を守り、花粉を託す

虫媒花の花は、大切な花粉を雨や風で失わないようにしたり送粉者ポリネーター:花粉を運び受粉に一役かっている昆虫など)だけに付着させるための様々な工夫をしています
  •  サギソウ     (ラン科ミズトンボ属)      花粉塊を虫に渡して受粉    

  •  サワギキョウ   (キキョウ科ミゾカクシ属)    花柱の圧力で花粉を放出

  •  アヤメ      (アヤメ科アヤメ属)       花柱の多彩な役割

  •  ヤマホタルブクロ (キキョウ科ホタルブクロ属)   花冠の形状と花柱の毛

  •  マムシグサ    (サトイモ科テンナンショウ属)  虫を犠牲にして受粉

  •  ノアザミ     (キク科アザミ属)        訪虫時だけ花粉を出す

  •  洋ラン      (ラン科)            最も進化した虫媒花・その工夫

  •  ルドベキア   (キク科オオハンゴンソウ属)   花による紫外線反射と吸収

4. 寒さへの対応

植物は自由に移動できないため、季節、気候の変化に何らかの対応をしなければなりません。ここでは、寒冷に対する植物の様々な工夫を採り上げます。
  •  ザゼンソウ (サトイモ科ザゼンソウ属)  発熱

  •  イワカガミ (イワウメ科イワカガミ属)  葉

  •  アズマシャクナゲ (ツツジ科ツツジ属)  葉

5. 花と昆虫の関係

植物を考えるとき昆虫との関わり合いは決して無視はできません。植物にとって、害になり益になり、太古の昔から共に発展して今日に至っているわけですから様々の興味深い関係が出来あがっています。ここでは、送粉以外の関係に注目して解説します。

6. 花びらを開かない花:閉鎖花

虫媒花の中には、虫による送粉で他家受粉させる以外に自家受粉で結実を確かなものにしようとする植物があります。
  •  ミゾソバ    (タデ科タデ属)   地中に潜る閉鎖花

  •  コモロスミレ  (スミレ科スミレ属) 花の変異

7. 花の形いろいろ

花の形は千差万別。これも、虫たちに花粉を効率的に運んでもらうための工夫です。おもしろい形、興味深い形をした花を紹介していきます。

  •  ツユクサ (ツユクサ科ツユクサ属)       雄しべの形3種

  •  ホソバウンラン (ゴマノハグサ科ウンラン属) しべをがっちりカバー

  •  ドクダミ (ドクダミ科ドクダミ属)      花弁のようで花弁でない

  •  ハナイカダ (ミズキ科ハナイカダ属)     葉の上の花

  •  ヤブツルアズキ(マメ科アズキ属)       左右非対称の花

  •  キュウリグサ(ムラサキ科キュウリグサ属)   大変小さな花

  •  バーベナ・他(クマツヅラ科)         花の微細な構造

8. 葉の表と裏

我々が見る多くの植物には葉があり、表と裏がはっきり区別できます。しかし、中には、表裏の区別の難しい植物もあります。ここでは、そういった植物を取りあげてみたいと思います。
  •  ネギ(ユリ科ネギ属)         葉の表が空洞となった単面葉

  •  アヤメ(アヤメ科アヤメ属) 作成中  単面葉

  •  シャガ(アヤメ科アヤメ属)      見かけの表と裏のある単面葉

9. 数学と植物

植物を知る上で「フラクタル」と「フィボナッチ数列」という数学用語は知っておいたほうがよいでしょう。その二つの語についての解説です。

   

10. 植物と化学物質

特殊な化学物質を体内で生合成し、昆虫、動物からの食害を防いだり他の植物の進出に対抗する植物があります。ここではその幾つかを採り上げます。

11. 変異する植物

生物に変異が生じると、生命の維持に問題が生じたり競争力が落ちたりして生き残れないことが多いのですが、中にはその変異を遺伝的に維持できる場合があります。
  •  コモロスミレ  (スミレ科スミレ属)      花の変異

  •  セツブンソウ  (キンポウゲ科セツブンソウ属) がく片数変異

  •  チゴユリ (ユリ科チゴユリ属) 斑入りの葉

12. 分類について

植物分類についてのエピソードです。
  •  ウバユリ (ユリ科ウバユリ属) ユリ属か?

13. 種子分散の工夫

植物がその分布を広げ繁栄するためには種子を分散させなければなりません。植物は動けないので、その方法には様々な興味深い工夫があります。
  •  ウバユリ (ユリ科ウバユリ属) 風散布型

  •  マツバボタン (スベリヒユ科スベリヒユ属) ジグソーパズル模様の種子

14. 運動する植物

植物は動かないと思われがちですが、長い時間をかけて観察すれば伸長成長と共に動いていますし、外的刺激による屈性や傾性も観察することが出来ます。食虫植物のように、素速い動きをする植物もあります。
  •  カタバミ (カタバミ科カタバミ属) 就眠運動

  •  フクジュソウ(キンポウゲ科フクジュソウ属) 開花・温度傾性

15. 特徴のある葉

植物にとって葉は栄養を得る大切な器官。その葉を守るために様々な特徴を持った葉があります。それらを紹介していきます。
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