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写真1 |
シソ科ハナトラノオ属のこの植物はアメリカ原産です。写真1では左上からコマルハナバチが訪れています。しかし、口を差し込んでいるところは正規の場所ではありません。実はがく片近くの花冠を傷つけ、そこから口を差し込んで蜜を吸っているのです。雄しべ、雌しべは花の正面に付いているのですから(写真2)、これでは蜜を奪われるだけで花粉を運んでもらえません。このことを「盗蜜」と言います。ハナトラノオの花はミツバチがもぐり込んで吸蜜するのにはちょうど良い大きさなのですが、体の大きなマルハナバチにとっては花の中に入れません。そこで盗蜜という手段をとるのです。盗蜜はハチに限らず、甲虫のハナムグリも行っていることが観察されました(写真3)。ハナトラノオはおいしい蜜をたくさん作っているようで、訪花昆虫の種類、数ともに多いのですが、花粉を運んでもらえる「送粉者」以外の虫たちが訪れることも多いようです。写真4ではアゲハチョウが花にとまり、そして写真5はスズメガの一種がホバリングしながら吸蜜しているところです。蝶や蛾の口は細長く、花のしべに触れることなく吸蜜できるので、残念ながらこれらも送粉者としては適しておりません。 |
写真2 |
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