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キヌガサソウは、日本海側の雪の多い林縁や雪崩斜面の下方など、湿ったところを好む多年草で、大群落をつくることもあります。特徴のある輪生する葉の上に大きめの一輪の花を咲かせるので非常に印象的な植物です(写真1)。花弁のように見える白く目立つ外花被片と輪生する葉の数は6-12枚とバリエーションがあります。ほとんどの株で外花被片の数は葉の数に一致しています。花には白色糸状の内花被片もあり、外花被片と同数あります。花柱は5-8個でそれぞれ先端が外側に曲がっています。外花被片ははじめ白色ですが、花が終わる頃には紅紫色になり、果期には薄緑色になります。栂池自然園には、外花被の一部が葉に変異している株がありました(写真2)。この事からも外花被片は葉から進化してできたことがわかります。1990年代に分子遺伝学が発展したお陰で、多くの被子植物に共通な花の構造を決定する遺伝子モデル「ABCモデル」が明らかになりました(下注)。比較的単純なモデルであり、このキヌガサソウの外花被片の変化も一つの遺伝子の変異(例えばA遺伝子が機能していない)で説明できそうです。 |
写真2 |
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