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  • ギンリョウソウ(イチヤクソウ科(シャクジョウソウ科とすることもあります)ギンリョウソウ属)

 初夏の湿度の高い時期、ギンリョウソウの花は薄暗い山地の林床で見つけることができます。写真のように全体が透明感のある白色で鱗片状に退化した葉をもつ独特の形態をしています。この植物が地上で見られるのは花を付けるときだけです。普通、種子植物というと葉緑体を持っており光合成によって有機化合物が合成できる独立栄養生物です。葉緑体が全く無く光合成ができないギンリョウソウはどのように栄養を得ているのでしょうか。秘密は根にありました。ギンリョウソウの根は、普通の植物のように長く伸びていません。新緑期の唐松の葉ように寸詰まりな形をしています。この根の部分に菌類が付着しており、その菌類を分解して栄養を得ているのです。このような根のことを菌根といい、菌根からの栄養に完全に依存している植物を腐生植物といいます。つまり、分解者である菌類が落葉などから栄養を得、その菌類を「食べて」ギンリョウソウは生きているのです。ギンリョウソウの種子は粉のように細かく軽いものです。それ故、発芽直後の初期から共生菌類と出会わないと栄養が得られず、それ以上成長できません。

この植物の特徴はその一生を通して菌類に依存していることです。それにより、胚乳に栄養をため込むことも葉緑体を持った葉を展開させることも、不必要なことは全て削り捨ててスリム化した従属栄養植物ということです。