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ハナイカダは4月〜6月に葉の中脈の中央付近に淡緑色の小さな花をつけます。雌雄異株であり、この写真は雄花が咲いています。雄しべは3〜4本あります。花の構造は葉が進化してできたものです(ABCモデル)。それを考慮に入れると、葉から直接花が咲くというのはあり得ない事と言えます。葉(葉の変化した花の構造も含む)は必ず茎を介して付くことが決まっているからです。葉から直接別の葉が出たり、茎が出たりすることはありません。
では、ハナイカダはどうして葉の上に直接花が咲いているのでしょうか。左の写真を見ると分かるように、花の付いている葉の中脈の色や太さが、花に対して茎側と先端側で異なっているのです。これは何を意味するかというと、花柄が葉の中脈と合着してしてできたことを示しています。則ち、ハナイカダは植物界の基本ルールを破っているのではなく、葉脈と花柄が結合しているという特徴により、葉から直接花が咲いているように見えるのです。
次に合着が由来だとしたら維管束の構造がどうなっているのか興味のあるところです。葉柄と中脈の横断面をスライスしプレパラートを作製し、顕微鏡で調べました。サフラニンOで木部を染色しました。
葉柄の維管束
中脈(花より茎側)の維管束
一般の植物では葉柄及び葉の維管束は、表側に導管が、裏側に篩部が配置されます。ハナイカダでは表側に篩部が向いています。
中脈(花より先端側)の維管束
花の位置から先端側の中脈では一般の植物と同じ維管束構造になります。
以上のように、葉から直接花が咲いているように見えるのは、維管束構造からも花柄と中脈が合着したのが由来であることが推測できました。