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  • サワギキョウ(キキョウ科ミゾカクシ属)

夏から秋にかけて山野の湿地に生える高さ30cm〜1mになる多年草です。雄性期の5本の雄しべは葯と花糸の一部が融合して筒状になっています(写真上側の花)。筒状の葯の先端には白い毛が生えていて、それに訪れた虫が触れると、毛の根元のふたが開き淡黄色の花粉がぼろぼろと出てきて虫に付着することになります。虫が離れると、毛のふたが元に戻り花粉の放出が止まる仕掛けになっています。その筒の中では先端に集粉毛のついている花柱(雌しべ)が成長を続けているので、葯の中の花粉を押し出そうとする圧力が常にかかっています。そのため、毛のふたが開いただけで花粉が噴出することになります。花粉を出し切って、葯を裂いて花柱が外に出てくると(写真下側の花)、柱頭が二つに別れ雌性期になります。この花をよく訪れるトラマルハナバチは、蜜を吸うときに花びらにしがみついて背中が葯先端の毛に触れることになるので、花粉の媒介に役立つ昆虫(送粉者)の一種です。