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写真1            

写真3         

  • ツリフネソウ(ツリフネソウ科ツリフネソウ属)
  • キツリフネ(ツリフネソウ科ツリフネソウ属)

まずはツリフネソウの構造から。袋状の部分は3個のがく片の1個が変化したもので、基部は渦巻き状の距になっています(写真1)。ここに蜜をためてマルハナバチのような舌の長い送粉者を呼び寄せています。花弁は3枚で下方の2枚が唇弁状でハチの着地点を提供しています。その内部には蜜標である赤紫色〜黄褐色の斑点が見えます(写真2)。入り口に下がっている棒は5個の葯が合着して雌しべを包んでいるものです。白い花糸の間から緑色の花柱が見えています。

ツリフネソウとキツリフネ(写真3・4)は大変よく似ている花を付けますが、細かく比較していくと色以外にもいくつかの異なる点があることがわかります。1.距の形 キツリフネは渦を巻かずに単に下方に垂れ下がるだけです(写真3)。2.花序 両者とも葉腋から出ますが、ツリフネソウが斜上して葉の上で花を付けるのに対して、キツリフネは下垂し葉の下に花があります。3.花弁の大きさ 下垂する花弁2枚はキツリフネの方が大きい。4.葉の形(写真5) ツリフネソウは先がとがった菱状楕円形で細かく鋭い鋸歯があるのに対して、キツリフネは長楕円形で先はツリフネソウのようにはとがらず、粗い鋸歯があり、葉柄も長いなどなど。。。

この2種が混成する群落もありますが、このように見た目以上に違いも大きいので交雑はしないのでしょう。

それにしても、この花はたいへんおもしろい形をしています。ツリフネソウの利益を失わない範囲でマルハナバチの好みに合わせると、こんな形で落ち着いたというところでしょうか。まさに神わざと思えるほどで、進化の不思議さに改めて感心させられます。

     写真2     

       写真4 

写真5