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  • ショウジョウバカマ (ユリ科ショウジョウバカマ属)

 ショウジョウバカマは早春、まだ寒さが残る時期から花を咲かせます。この花は、写真右上のように開花前に雌しべが伸び、柱頭が外にさらされ受粉可能になります。その後、花被が開きしばらくして葯が割れて花粉が放出される時も雌しべは受粉可能な状態なので自家受粉することもできます。雌性期の後に両性期があると言えます。蜜も分泌しているのでハナバチの訪花を受けることもありますが、花期の始めはまだ雪の残る寒い季節なのでハチは少なく、この頃開花した個体では他家受粉できる割合は少ないと考えられています。

 十分大きな株でロゼット状についた根生葉を観察すると次のような特徴がありました。写真左のように葉の先端に子株がついているのです。このように、この植物は花による有性生殖の他に子株で増えるという無性生殖も行っています。葉の先端につく子株でも増えるため、写真左上のように数株がかたまって咲いているものもよく目にします。

 以上のように、訪花昆虫の少ない季節に咲く花は、増える工夫を幾つも採っています。