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フラクタル(fractal)はマンデルブロ(B.B.Mandelbrot)によって作り出された語で、次の二つの性質を持つ形状のことです。
1) 形状に自己相似性がある 2)形状を特徴づける長さを持たない
ここで「特徴的な長さ」とは、例えば球の半径や物体の長さのように、図形の特徴あるいは性質を決める長さをいいます。 フラクタルでは、いくら拡大や縮小をしても同じ相似図形が表れるので、 一つの長さでその図形を特徴づけることはできません。 完全なフラクタルとは言えませんが、それに近い形状は雲の形、稜線や海岸線、植物の枝や葉の様子など自然界に実に多く見ることができます。一見複雑に見える植物の形でも基本となるルールは限られ、それが繰り返されているだけで、後は、風などの物理的な力が加わったり、虫に食べられたり、光を受ける方向が偏ったりと外的要因によって形状に影響し複雑化していると考えることができます。
次に具体的な図形で説明してみます。ある線分を三等分し、真ん中にできた線分を取り払い、その上にその線分を一辺とする正三角形の2辺を描きます。これを基本ルールとし、以下、新しくできたそれぞれの線分に同じ操作を繰り返して行きますと左下図のようになり、考案者にちなんで「コッホの曲線」と呼ばれています。この操作を線分でなく正三角形から始めた場合、右の図のようになります。この図形を見るとどこかタケニグサの葉に似ていると思いませんか。下2枚の写真がタケニグサの葉。写真右は葉の裏側を見たもので葉脈がはっきりわかります。
線分をある割合に縮小後、ある角度で回転させ平行移動する。それを繰り返すことによって樹形あるいはイチョウの葉の葉脈のようになります。これもフラクタルです。