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NPTニューヨークレポート 7

◇ ニューヨーク行動で感じたこと ◇

 数日の滞在でしたが、実際にニューヨークという街を訪れてみて、とても刺激にあふれた緊張感のある所だなと感じました。圧倒的な富と強者、競争の論理。強くなければ生きていけない、だから個人としてもはっきり意見を持ち、しっかり自分を主張していく。
横断歩道の信号もきちんと守らないけど、そこは個人の判断責任でという感覚と自由度に、日本人の生真面目さとの違いも実感しました。デモ行進した道の汚かったこと。大きなゴミがあちこちに散らばっていました。マンハッタンという限られた地域ながらエリアでの特色や歴史的なカラー、住み分けや格差など資本主義の凝縮した姿を垣間見たようにも感じました。
滞在中は快晴に恵まれ、最近の日本では目にしないような透き通った青空と街並みは、絵になる光景ばかりで思わずたくさん写真を撮ってしまいましたが、例えばセントラルパークの銅像を撮ろうとしてふとみると台座にホームレスの人が寝ていたり、歩道でまだ若そうな男性や女性も前にヘルプと書いた空き缶をおいて座っていたり、地下鉄では突然に生活が苦しいから助けてくれと大声で叫ぶ中年の男性にも遭遇して、「貧困大国アメリカ」もちょっぴり肌で感じてきました。物価も高く、とにかくお金がなければ暮らせない街なのだと思います。

 311後の私たちが電気に頼りすぎた反省とともに、自然と共生して地球にやさしい暮らし方を考えていこうと意識が変わり始めている人が増えていると思うのですが、その視点から見るとニューヨークは対極にある街だなとやっぱり思いました。高層ビルには全く洗濯物がみえないのですが、そもそも干すという発想がなく全部乾燥機で乾かすそうな。庭や土がないので、公園が整備されていて、そこをよく利用するとも。ホールフーズマーケットはオーガニックな商品が豊富にあり魅力的でしたが、大量に並べられていた野菜たちは今一つ新鮮さに欠ける。遠くから運んで来られるからだそうです。

 広大なアメリカなのでニューヨークはその中でも特別な存在でもあるとのことですが、東京もまたそのニューヨークに似た街に思えます。アメリカの後を追っているといわれる日本の姿もまた溜息がでます。 原発問題も基地もアメリカとの関係ゆえ。核抑止力の傘の理論から抜け出せない日本はまさにアメリカの属国でしかないということをさらに実感した旅にもなりました。
国連で日本語がなかったという事実が私の中ではやはりショックでした。日本の国連での立場や位置は軽んじられていると聞いていたとおりだなあと。アメリカからすれば日本人は英語を使いなさいということなのでしょうね。

 それから今回のNPT関連の報道について日本ではパレードの様子や被爆者の谷口さんの国連でのスピーチや広島・長崎市長の発言など新聞やテレビで伝えていたようですが、現地の新聞やテレビでは私は目にしませんでした。あれほどのデモ行進やNPT会議を扱わないはずはないと思うのですが、同行の方々も報道を見ていないと。(事実がどうなのか確かめたいと気になっています)その翌日ボアソルチで起きた事件に抗議するデモはニュースで流れていましたが・・・

 アメリカ政府のスタンスや報道姿勢にも現実社会の困難さも思い知らされることにもなりました。NPT会議のなりゆきや報告を待ちたいと思いますが、時代は私たちの願いとは逆行するかのようにきな臭さが増してきています。再び戦争か平和かという選択をつきつけられている今こそが、まさにせめぎあいの時代なのだろうなと思います。

 ご高齢の被団協の方々が最後だと思って渡米し、訴えたいというその切実な想いを若い世代が受け継いで日本から声をあげ、運動を大きく広げていくことこそ重要な役割だと改めて強く思いました。署名も数ではなく署名を話のきっかけにしていき、関心を広げていくこと。さらには市民の意識が「共同して」いくことが平和につながる道であり、そこに希望がある。
キーワードは「toghather!!」

 しかし、言うのは簡単ですが、課題は非常に大きくますます複雑で困難な現実です。(今の日本も護憲勢力がもっと広く手をつなぎあっていかないことには・・・)私自身、自分の中でもせめぎあいながら生きていくことになるのだろうなと思いつつ、でも希望は捨てずに生きていきたいな、ニューヨーク行動の経験を無駄にしない生き方をしていきたいなと自分の心に誓っているところです。つたない報告で申し訳ありませんが、これまで原水爆禁止運動を続けてこられた先輩の方々や賛同される皆様に改めて感謝いたします。

 今回はまた、他県の新婦人や原水協の方々とも出会い今後のご縁をいただきました。高知、鳥取、滋賀、岡山からの参加者の方がたです。母親大会や原水禁大会などでの再会を楽しみに別れました。このつながりを大切に県外の方とも交流をしていけると楽しみが増えるなと思っています。皆さん各地で頑張って活動されておられる素敵な方ばかりでした。重ねて感謝いたします。
(新婦人大分支部 阿南 祐子)