森敦略年譜(1940-1959)

1940年(昭和15年)28歳

 5月頃、富岡光学機械製造所雪ヶ谷本社に入社。東京市大森区(現、大田区)入新井に住む。9月、羽生明太郎の筆名で「朝鮮人参奇譚〈後篇〉」を「シナリオ研究」に発表。

1941年(昭和16年)29歳

 5月、横光利一夫妻の媒酌で、前田暘と結婚。暘の父は、金弥(1886~1933)、母は、よし(1891~1968)。7月頃、富岡光学社内の文学愛好者グループ(のち芸術部)の部長となる。同僚の中浜義明が日記に芸術部の活動を克明に書き残すとともに、「端書通信」「富岡光学芸術部挨拶」の森敦自筆原稿を保存していた。一二月八日、太平洋戦争勃発。

1942年(昭和17年)30歳

 この年、芸術部主催の名文鑑賞会で、3月に「枕草子」、8月に「万葉集」、9月頃に「万葉集」続編、「古今集」を語る。11月、結核のため入院、長期休暇をとる。

1943年(昭和18年)31歳

 1月、退院して自宅療養。3月、出社。第一機械仕上工場主任となり、工事係主任を兼任。

1944年(昭和19年)32歳

 6月、強制疎開のため、大森区雪ヶ谷町に妻と一緒に転居。秋、青梅線小作駅近くに疎開した霞工場の製造部長となり、本社の役職を兼任。

1945~46年(昭和20~21年)33~34歳

 8月15日、終戦。富岡光学機械製造所解散。五年三か月の在職。富岡光学の同僚と岡山県の寄島で塩田の仕事をした後、東京の業界紙の仕事に就き、GHQのコンファレンスに出て地方紙に記事を売ったりして暮らす。その後、新聞「文化時事」を出すが失敗。

1947年(昭和22年)35歳

 12月30日、横光利一死去。横光は亡くなる直前まで、森敦に原稿を書く場を探してくれた。

1948年(昭和23年)36歳

 この年から、東京都新宿区戸山町一番地戸山住宅に、母、弟と住む。3月、菊池寛死去。4月、「潮とまとり」の連載第一回を「文学界」(横光利一追悼号)に発表、未完。6月、太宰治死去。この年、斯波四郎を知る。

1949~50年(昭和24~25年)37~38歳

 当時、食糧事情が悪く、妻が往き来して里(山形県飽海郡北俣村〈現、酒田市〉吉ヶ沢)から米を運ぶという事情もあって、妻の里を訪ねることが多くなり、横光一家が疎開したゆかりの地、西目などへも行く。庄内を一人で転々とする生活が続く。湯野浜の新湯に滞在した後、加茂に間借りし、大山に移って間借りする。柳原の農家に住み込んだり、秋田県小砂川や象潟にも行ったりする。この年から翌年にかけて、妻が耳の病気で酒田市の病院に入院。

1951年(昭和26年)39歳

 この年、小島信夫を知る。8月頃、山形県東田川郡東村(現、鶴岡市)大字大網字七五三掛の注連寺に行き、翌年の初夏まで滞在。一時、帰京するが、再び庄内を一人で転々とする。

1953年(昭和28年)41歳

 1月頃、友人と「東京広告」をつくるが失敗。6月、母と弟の住む戸山住宅に近い東大久保のアパートに一人で住む。小島信夫、宗左近、斯波四郎、鎌原正巳、島尾正らが頻繁に出入りする。

1955年(昭和30年)43歳

 3月頃、東京を去って庄内に移り、一人で狩川から吉ヶ沢、湯野浜温泉に滞在。4月、遊佐町大字吹浦字布倉に妻と一緒に住む。5月、斯波四郎、河北倫明らと同人誌「立像」創刊号発行。八月、森敦白筆ガリ版雑誌「実現」創刊号発行、「近代工場I」(『意味の変容』「死者の眼」先駆稿)を発表。9月、「実現」第二号発行、「近代工場Ⅱ」(『意味の変容』「死者の眼」先駆稿)を発表。11月、「アド・バルーン」を「立像」第二号に発表。同月、酒田市下内匠町に妻と一緒に転居、昭和32年3月頃まで住む。この頃、小島信夫ら友人が頻繁に訪れた。

1956年(昭和31年)44歳

 5月~昭和38年10月、「吹雪からのたより(ノートA・B・C・D)」を執筆。12月、「実現」第三号終刊号発行、「深夜の呼び声」(『意味の変容』「寓話の実現」先駆稿)を発表。「意味の変容」はライフワークとなり、以後も随時発表し続けた。

1957年(昭和32年)45歳

 5月1日より、電源開発株式会社北山川建設所の尾鷲連絡詰所に勤務。奈良県吉野郡下北山村下池原に滞在。5月26日、母・静野(75歳)死去。6月、「もくえん(杢右ヱ門)の木小屋」(『浄土』「杢右ヱ門の木小屋」先駆稿)を「立像」に発表。同月頃、三重県尾鷲市今町に妻と一緒に住む。

1959年(昭和34年)47歳

 4月、三好徹を知る。

(文章:森敦資料館ホームページ http://www.mori-atsushi.jp/ 「森敦略年譜」より)

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