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上村松篁
花のある岩場
角川書店 角川文庫
初版発行 1976年2月10日
解説 奥野康男
頁数 275
収録作品数 10

奥穂の小屋から下山の途中で夜になった。

「危ないですよ」、岩場を先導するボッカ(登山荷物運搬人)の徳次は、後に従う重宗に、声をかけて、懐中電灯の光を、根のぐらついている、一つの岩に当て、足をよけさせた。次に、成子が来た。徳次は、重宗の口からも同じ注意が発せられるものと思った。が、重宗は、なぜか無言だった。成子の絶叫が起こり、その体が、物凄い勢い雪明かりの雪溪を疾走していくのを、徳次は見た……。

自分だけが目撃した、一つの出来事を胸の奥に秘め、穂高の自然の中に孤独に生きる、老ボッカの心情を描く表題作ほか、9扁を収録。

備考
角川文庫3296
収録作品 初出年 情報 紹介 感想
1 花のある岩場 1958年 有 有  
2 末裔 1953年 有 有  
3 1951年 有 有  
4 落葉松 1952年 有 有  
5 花粉 1954年 有 有  
6 屋上 1957年 有 有  
7 俘囚 1955年 有 有  
8 夏の終り 1957年 有 有  
9 氷の下 1952年 有 有  
10 早春の墓参 1950年 有 有  
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