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▼肩こりの原因(根本原因)、鍼灸治療について▼
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今や国民病といえる程悩んでいる方が多い「肩こり」。その原因としては血行不良や姿勢の悪さ、長時間のデスクワーク、体形(なで肩)、骨格、ストレス、顎関節の問題など色々と説明されていますが、ここでは東洋的な気の概念から見た肩こりの根本原因を紹介します。
なるべくカンタンに書きますが、現代の常識ではちょっと解りにくい部分もありますので、難しく考えず「そういうものか」と素直に受け止めてみて下さい。
肩こりの原因と治療について
まず、大まかに東洋的な気の概念での肩こり発生のメカニズムを説明します。
当サイトでは、しつこいくらいにあらゆる病気の根本原因を「冷え」であると言っていますが、肩こりの原因ももちろん冷えが最大の原因です。
次の模式図を見て下さい。冷えの無い健康な状態と、冷えて身体の中の熱のバランスが崩れた状態をカンタンな図にしたものです。
左・健康な状態 右・冷えが強く熱気が昇った状態
「元気」というのは、気の概念では人体の活動力そのもので、
元気が充実しており、健康な状態では、全身に熱を循環させる力も正常に働きますから、全身が温かく活動するのに適した状態に維持されます。
ですが、活動力の源である元気が消耗して冷えると、熱を循環させる力も衰え、熱気はそのもともと持っている性質に従って、身体の上部と表層部に勝手に集まるようになります。その結果、身体に熱のバランスの不均衡が生じて色々な症状が現れます。
したがって肩こりは、元気の消耗によって、熱気が肩や首へ昇って集まった結果、その周辺の筋肉にコリという症状を起こしている現象と考えられます。
ですから、さらに冷えの状態が悪くなれば上昇する熱気も強くなり、次第にコリの範囲が広がったり、コリが痛みへ変化したり、肩関節の運動に問題が出てきたり(五十肩へ推移)すると考えられます。
また、熱気は肩だけでなく頭にも昇りますので、頭痛になって現れたり、耳鳴りやめまいなどの症状として現れてくることもあります。さらに熱気が極まった状態になると脳出血などの重篤な症状へ発展する場合もあります。
説明が前後しますが、「コリ」という症状は気の概念では気が必要以上に集まって硬くなった状態と考えます。
なお、東洋医学ではこのように気が必要以上に集まる事を「
話を戻しますが、東洋医学では肩こりの原因をこのように考えますので、鍼灸で肩こりを治療する際には、冷えを解消する治療と共に、熱気を降ろす治療や、熱気を散らす治療を行うことになります。
積聚治療による肩こりの治療模式図
なお大事なことですが、一般によく肩こりの原因として説明される「肩の筋肉の血行不良」や「姿勢の悪さからくる疲労」等というのも、決して間違った説明ではありません。
ただ、東洋的な気の概念では、それらは身体の表面的な浅い部分で起こっている現象と考え、そういう問題を起こす時にはもっと深い部分に根本原因があると考えます。つまり、もう一段奥にその原因を生み出す原因があると考えるわけです。
よく、「仕事の姿勢が悪いから肩の筋肉が疲労して肩こりになる」というような話を聞きますが、仕事で姿勢を悪くしていても、その疲労に耐えられるだけの元気がある人は大した症状を出さない物です。
肩こりとして症状が出てくる人というのは、そういう仕事に耐えられないレベルまで冷えている(元気を消耗している)人と考えられます。そう考えると、コルセットなどで無理に姿勢を正しくしても、大本の仕事の疲労は減らないのですから肩こりは根本的には治りません。
肩こりを起こす冷えは、生活習慣に根ざした物が多く、冷えの根が深いので、長年つき合ってきた肩こりを治療する際は、生活習慣を改善しつつ、根気良く冷えを取ってゆく必要があります。
肩こりは湿布では治らない
ところで、あなたは「肩こり」に対してはどんな対処をされていますか?
肩こりは上でも説明した通り、肩に現れているコリは表に現れている症状でしかありませんから、肩だけいじっていてもなかなか良くなりません。
鍼灸治療でも、肩の筋肉だけを対象に治療をしていても、治療後に一時楽になるだけで、なかなかスッキリはしません。
これは、肩だけを治療する局所治療では、上で書いた「熱気を降ろす・散らす」治療のみになる場合が多く、根本原因の冷えを解消する治療(元気の消耗を補う治療)が行われない為に、しばらくするとまた肩に熱気が溜まってコリがでるようになるからです(根っこを残して雑草を刈るようなものですから、しばらくしたらまたコリの芽が出てくるわけです)。
肩こりに悩まされる人が一向に減らない理由は、この肩こりの根っこにある冷え(元気の消耗)の治療がおろそかになっているのが一因といえると思います。
まして、全く何の対処もしなかったり、湿布や塗り薬、痛み止め等を使って痛みを誤魔化してしまっている人は、冷えの状態が徐々に進みますから、肩こりがとれないばかりか、溜まりに溜まった冷えが他の病気を引き出してしまう危険性もあります。
特に、湿布や頭痛薬などの痛み止めは、コリを起こしている原因を治す薬ではなく、一時的に症状を誤魔化すだけの薬なので、絶対に常用は避けてください。
CMでは「痛みの原因の直接届く!」というようなあおり文句が踊っていますが、湿布は交感神経を刺激して、身体の正常な治癒反応を止めることで痛みを一時的に抑える薬なので、湿布では肩こりは治りません。むしろ使い続けると、正常な治癒反応がいつまでも進まず、症状が悪化する危険性があると考えて下さい(湿布は捻挫などの激しい炎症を伴う激しい痛みがある時に使う物です。慢性的な痛みやコリにはむしろ逆効果なので常用は避けましょう)。
国民4000万人の受療行動調査統計(平成13年度「国民生活基礎調査」より)によると、肩こりの症状を持っている人の内、25.4%の人が売薬を利用しているそうです。また、33.7%の人が何も対処していないそうです。売薬の利用とは、恐らく湿布や塗り薬、ビタミン剤やサプリメントの利用ということと考えて良いと思いますが、その内の大多数の方が湿布を利用されているのではないかと思います。
やはりしっかり肩こりを治そうと考えるなら、生活習慣をしっかり見直して養生をし、症状が強い内は治療をしっかり受けて、コリを出さない身体作りをして行くのが一番ではないかと思います。
肩こり解消ストレッチ
最後に、手軽に出来る簡単なストレッチを紹介します。
まず、首の簡単なストレッチですが、身体の力を抜いて、必ず息を吐きながらゆっくりと、頭を”前倒し・後倒し・左倒し・右倒し・左向き・右向き・左回し・右回し”の八方向に動かします。普段使わない筋肉を動かす為に、動かせる方向全部へ動かしてみるイメージです。
あまりスピードを付けて行うと目が回りますので、ゆっくり筋肉を伸ばすようなイメージで行ってみて下さい。また、痛みを感じない範囲で行って下さい。
次に、ストレスやデスクワークなどで起こりやすい肩甲骨周辺のコリを解消するのに適したストレッチです。特に背中側の筋肉がほぐれますので試して見て下さい。
まず、写真にあるように、手を胸の前で組んで、ゆっくり息を吐きながら、手のひらを前面に向けるようにして、前に突きだします。
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次に、手を戻して、胸の前で組んだまま、ゆっくり息を吐きながら、写真のように手のひらを上面に向けるようにして、上へ突き上げます。
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最後に、手を後ろに廻して腰のあたりで組んで、ゆっくり息を吐きながら、写真のように順手で手を組んだままで後ろへ伸ばします。
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どの動作も、ゆっくりと息を吐きながら、筋肉をぐーっと引き伸ばすイメージで行って下さい。また、首の時と同様に、痛みが出ない範囲で行って下さい。
なお、お風呂場でのストレッチを薦める健康雑誌もありますが、お風呂で温めながらストレッチを行うと、必要以上によく動いてしまう為に、気付かぬ内に身体に無理をかけて刺激が強くなりすぎる場合がありますので、お風呂でストレッチは避けてください。