イタリア料理はふとる。とよく言われる。
そしてまたある説では、イタリア料理と言えば地中海式ダイエットとして名高く、健康的にスタイルや体質を
改善する、素晴らしい食餌だとも。
あんなに美味な食事をしつつ、なおか痩せられるなら、なんとも有り難いもの。
しかし、イタリアから戻ってくると必ず体重はやや増えているし、ひと月ほどミラノに留学していた友人は5キ
ロオーバーで帰国。
だから、イタリア料理は地中海式ダイエットの定番とは言いつつも、やはりふとるのではないだろうかと邪推
してしまう。
しかしごく最近、発表された「欧州統計」によれば、イタリア女性はあらゆる年代で、ヨーロッパの平均値より
もかなり体重が少ない。 詳しくは、「思いつきコラム'00.5.28」を参照
またまた、ううーむと考え込む。
結局は、ふとるイタリア料理を目の前に、やはりおしゃれを捨てきれない彼女たちが必死にダイエットに励
んでいる、 という図を思い描いたという次第…。
しかし、先日のこと。
ナポリに1年暮らしたSさんと電話で話した時、彼女いわく、イタリアでは特に体重はふえなかったと言って
いた。
ナポリはピッツァの本場。うらやましいかぎりの食道楽を聞かされた後の言だけに、私としては信じがたい。
Sさんが思うに、きっと便秘にならなかったからだと理由づける。
オリーブオイルをしょう油なみに使う食事。腸の中に老廃物をためこむことなく、スルリと出してしまう。
うん、これはなんとなく聞いたことがある。
「でも、それが決定打ではないの。私の場合は」と彼女は続ける。
やはり、何と言っても、イチジクのおかげだと言いきるのである。
イチジクは、フィーキとむこうでは呼ばれ、日本よりも、もっともっと食べられている果物だそうだ。
値段は他のオレンジやブドウなどに比べたら、やや高めだけど、日本で5個600から700円ぐらいなのに
比べると、何分の1かの安さ。
これを1日にひとつ食べるだけで、毎日が快調。
ブラジルなど、他の国からの留学生たちも、こぞってイチジクのおかげで便秘知らずになったという。
便秘がちな私も、日本で実践。
一個 100円以上もするけれど試してみた。
箱に「おなかすっきり」という謳い文句の入った紙が入っている。
効果は、と言うと、思わずSさんにお礼の電話を入れるほどの効きめ。
高価だし、いつもスーパーで見かける商品でもないので、毎日食すというわけにはいかないけれど、体重
が やや増えた時に口にすると、次の日にはおなかがすっきり。体重もかなり落ちている。
(「イチジク浣腸」は形からこう呼称されているのだと思い込んでいたけれど、イチジクの効用そのものにあ
やかったネーミングだったのか。たんなる想像の域を脱しないけど、目からウロコ!)
便秘解消料理としてのイタリア料理。
そういえば、タカコ・H・メロジー氏も、そんなようなことを『やっぱりイタリア』の中で書き綴
っている。
イタリアに暮らして8年。イタリア人顔負けの食事量を日々口にしている上、中年真っ盛りの私。けれど、
体重、体型は、ほぼ20代の頃のままなのはなぜ?ひとえにイタリア料理のおかげではないか、と思って
しまうのだ。
日本に里帰りした時、あるいは友人知人がイタリアを訪れてくれた時、私は習い覚えたイタリア料理の
腕をふるう。すると翌日、皆が皆、口をそろえてこう言う。
「あんなにたくさん食べたのに、ちっとも胃にもたれないね」
はたまた、男性の知人ともなるとストレートにも、
「いやあ、朝、便通がいいのでビックリしたよ」と。
体の働きをよくする食べ物が豊富にあって、安く手に入れられる。それがイタリア。
そして、そんなイタリア料理の良さを十二分に引き出すには、食べ方も大切。
ティラ・ミ・スゥやチーズやカルネ(肉)ばかり食べていたら、きっとふとってしまう。
しかし、イチジクやオリーブオイル、野菜中心の料理などをうまく組み合わせれば、きっと体重はキープ、
あるいは痩せられるはず。
イタリア料理は美味しいだけではない。
美味にして、かつヘルシー。
ああ、イタリアはやはり最高〜。
イタリアはおしゃれか
イタリア人はきれい好きか
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