攻略のための頼れる助っ人本
(このページの最終更新は'01.9/24です).
『ポケットフログレッシブ伊和・和伊辞典』
郡 史郎・池田廉/編 2001 小学館 ¥3000
以前ある方から、「辞書についてのオススメが掲載されていないが、なにがいいでしょう」というご質問
をいただいたことがある。
その時に一応お勧めしたのが、緑表紙の『伊和中辞典』(小学館)と、その姉妹版である赤表紙の『和
伊中辞典』(小学館)。
恐らくイタリア語を勉強している人ならばためらいうことなく、この2冊を必須書籍として推薦するはず。
(少し前に新版が出て、さらに見やすい作りになっている。ただ『和伊』の方は時々とんでもない間違
いがあって、これをもとに作文をすると、イタリア人からぎょっとされることもあり?!)
しかし、この2冊を持ち歩くとなると、相当かさばるし、何よりも重い。
そんなイタリア学習者、旅行者の悩みに応えてくる辞書が刊行!それが本書。
この辞書の何がいいかと言うと、コンパクトにして収録されている語が多い(伊4.5万語、和2万語)、そ
して何よりもひとつで伊和、和伊を兼ねそろえていること。新しいものだけに時事用語も押さえている。
真中には「話す・書くためのイタリア語表現」という章があり、基本会話や手紙の書き方など実用性が高
い。イタリア旅行には欠かせない常備薬。
『みんなイタリア語で話していた』
岡本 太郎/著 2001 晶文社 ¥1800
ある国の国民性を探るとき、言葉の言い回し、表現にその答えはこめられている。
日本語には日本人の、イタリア語にはイタリア人の価値観や思想、方向性がこめられている。日本人の
こととなると客観的に把握できない。でも、イタリア人なら、つかわれる表現から「ああ」と納得しながら彼
らの特性がつかめる。
その大いなる手引書が本書である。
イタリアで旅をしているならば、この国の人たちが驚くほど頻繁に「グラッツィエ」(ありがとう)と言い、お礼
を言われた相手が必ず「プレーゴ」(どういたしまして)と返すことに気づかされるだろう。
分かちがたくセットなるこれらの言葉の背景は?そんな調子にたくさんのイタリア語がイタリア人の心性と
ともに解き明かされ、同時に日本との比較がなされていく。
するどい洞察力には舌をまく。
イタリア語で「私の・・・」「あなたの・・・」と略して言った時、それは何を意味するのだろう。
答えは本書の巻末に載っているが、・・・が○○と知るとき、私はイタリア人の価値観に優しさを感じてしまう。
イタリア語から、イタリア人の真髄を知る素晴らしい本である。
『「チャーオ」がいえたらイタリア人 英・仏・伊をカタコトで モノにした私』
タカコ・H・メロジー/著 2001 祥伝社 ¥1300
フランス人の夫、イタリアに’86年から暮らしている。いかにもインターナショナルな環境に暮らす著者に
憧れの気持ちを抱くことが多かった。イタリアの生活にすっかり溶け込み、料理、ファッション、生活習慣
などイタリア文化を軽妙洒脱なタッチでアチコチに書き綴るタカコさんだから・・・。
憧憬とは自分に無いものに対するある種絶望的な想いでもある。
しかし、これを読むと、英語ひとつ碌にマスターできなかった自分でも、立派にイタリアで暮らせるのでは?
という気持ちにさせられるから不思議である。
語学拒否症、外国人嫌いだった著者がどのようにして外国語をマスターしていくか。
自叙伝風に綴られていく物語の中に、私たちは楽しくそのヒントを教えられていく。
フランス語は「グジュグジュー」と発音すればイイというのには、大いに笑える。チャオではなく、チャーオと
伸ばせばいっぱしのイタリア人。料理をしながら覚えるイタリア語。老女に習うイタリアの格言。
すべてが生活に根ざしていて面白い。
カタコトでもいい、相手と話したいという気持ちがあれば何とかなる。そんな大雑把な感覚が、語学本来の
面白さを教えてくれる。
『イタリア語の手紙の書き方』
牧野 素子/著 2000 ナツメ社 ¥1600
待望の書がついに刊行した。イタリア語の手紙の書き方の本。あるようで、全然なかったのが、これ。こ
れは今世紀最後の贈り物である。
個人旅行が一般化され、イタリアへの留学者が増えていく中で、この種の本は必須である。特にホスピ
タリティの厚いイタリアーノ。旅先で、滞在先で、親切にされる機会は欧米でもだんとつに多い。
現地でうまくお礼の言葉を表わせなかった時は、帰国してからじっくり手紙を通じて感謝の意を表したい。
e−mailで文通する、ショップへの問い合わせ、素敵なラガッツァ(女の子)へのラヴ・レター…。イタリア人
とのコミュニケーションを持つチャンスが増えた今、本書の様々なシチュエーションでの表現を学べば、各
段にイタリアは近くなること請け合い。
イタリア語の手紙を書く際の独特のルールも掲載されている。カード、名刺のメッセージなどの情報もあり。
「そのまま使える表現例」がふんだんにある。非常に「使える」1冊である。
『今すぐ話せるイタリア語 〔応用編〕』 東進ブックス
野里 紳一郎/著 1999 潟iガセ ¥1300
イタリアブームでイタリア語に関する参考書も各社から出始めている。しかし、そのほとんどが旅行会
話を想定した初歩的なものばかり。内容的には似たり寄ったり。
そんな中で、珍しく本書には「応用編」という名が付いている。
これはイタリア語歴3年以上の学習者が対象といった感じである。文法よりも聞き取りが中心の作りで
そのためCD2枚が別売でなく、ちゃんとついている。(それで1300円とは安すぎる!)
会話の内容も、イタリア人の独特の言いまわし(それも頻出表現)がたっぷり含まれていて、これである
程度覚えてしまえば、生きたイタリア語を体得できるはず。
各章の基本会話も、手を替え品を替えで繰り返されるので、力がつく。
入門編もあり。
『おしゃべりは旅のドルチェ! イタリア 食べたり しゃべったり』
貝谷 郁子/著 1998 双葉社 ¥1400
「通訳でも、イタリア語の先生でもなくて、イタリア語に関してはひとりの『イタリア語使用者』そして、(
イ
タリア語が好きな)ひとりの『イタリア語愛語者』です。」と、序文で自己紹介。
実に謙虚な言葉。イタリア人ではない。イタリア語を話せるジャポネーゼにすぎない。そんな思いから、
そう自称しているのだろうか。
しかしジャポーネーゼだからこそ、イタリア人のイタリア語の「使い勝手」を外側からきちんと捉えられ
る。
それに、イタリア語に接する私たちが普段なんとなく感じているナゾやらユーモアやらを書き綴ってく
れるので、「そうそう」とうなずいたり、「へえ、そうだったのか」と目からウロコ状態になったりと、ほん
とうに読んでいて心楽しくなる、イタリアが近くなる、そんな本である。
アリタリア航空の「シニョーレ、シニョーリ…」で始まる機内放送だって、友達を意味する「アミーコ」にし
たって、その他もろもろのイタリア語にしたって、この本を読めば、それまで以上にそうしたイタリア語
の真髄が頭にすうっと入ってくる。
ブォンジョルノ、ヴァベーネ、サルーテ、メノ・マーレ…。たくさんのイタリア語。日常よく使われる語。
そのすべての使われ方と、使い分けが楽しく学べる。
一冊まるごとイタリア語をモチーフに取り上げて、イタリア人の生活とからめて綴った、珍しくも魅力に
富んだ本である。
かわいらしい動物たち(挿画のイラスト)のレクチャーも、ブラビィッシミ!!
(最高!!)
『Qui Italia』
Alberto Mazzetti/ほか著
Le Monnier 1993
L36000
イタリア語の学校でいちばんポピュラーに使用されているテキストと言えば、この『クイ・イタリア』であ
る。
イタリア本国で発行されているものだけに、中身の写真やイラスト、トピックスはたっぷりとイタリアし
ている。また名詞から接続法、遠過去と、イタリア語の基本は、ここにすべて収録されている初心者
用テキスト。
大事な文法事項は、表にされており、練習問題、読み物、聞き取り(別売りカセットあり)と、あらゆる
角度から、イタリア語を磨くことができる構成になっている。
当然、説明もふくめて全てイタリア語だが、辞書を引き引き勉強すれば、力がつくし、なによりもイタ
リア語に親しめる。
特に読み物では、イタリアの生活や文化を垣間見ることができ、語学学習にとどまらない。
入手するには、下記のイタリア書房や文流などの専門書店に問い合わせるといい。遠方の場合、送
料を添えて送付してもらうことも可能。
日本円 テキスト→4680円 練習問題→2600円 カセット→2080円 (税別・文流価格)
●イタリア書房
〒101-0051東京都千代田区神田神保町2-23
Tel & Fax
tel.03-3262-1656
E-mail HQM01271@niftyserve.or.jp
営業時間 10:00-18:00
定休日 日曜・祝日
●株式会社 文 流 〒169-0075
東京都新宿区高田馬場1-33-6平和相互ビル
TEL03-3208-5445 FAX03-3208-5863
E-Mail : book@bunryu.co.jp
営業時間 9:30-17:30
定休日 日曜・祝日
『NHK CDブック ドクトル・ダリウスの事件簿』
ダリオ・ポニッシィ/著・音楽 1997 NHK出版 ¥3600
NHKのイタリア語講座に’94年から出演の著者は、今やジローラモに並ぶイタリア語界のアイドル
的存在。
ジローラモと違って私生活は明らかにされていないが、それも虚構の中で生き、虚構を作り出す彼
独特のスタンスゆえのこと。
その神秘性がますます彼の人気を上昇させている所以だろう。
この本は、演劇人にして、音楽家、振付け師にして、脚本家という、ダリオのマルチぶりの結集と
いうべき本である。
もともとはNHKのラジオ講座で放送されていた4幕構成の物語5話のドラマを、原文と日本語訳、
そして臨場感あふれるCD2枚で再現したものである。このシリーズは放送当時から、大反響があ
り、すぐに再放送となり、そして今回のCDブック化という運びとなった。
ローマ、ヴェネツィア、ラヴェンナ、フィレンツェ、トリーノと、実在の都市と建造物を舞台に、ダリオ
扮するドクトル・ダリウスが摩訶不思議な事件を解決していくという筋立て。
ダリオが一人何役もこなし、時にはフランス語や英語なまりのイタリア語を披露したりと、その天才
ぶりには舌を巻く。
他に出演のイタリア人たちも、いずれもベテランのイタリア語講師ばかり。
挿入される音楽や、効果音もすばらしい。
初心者には、言葉が早過ぎて、チンプンカンプンかもしれない。
でも、訳を見ながら、あるいは原文を見ながらCDを聴き、ストーリーがある程度つかめたら、部屋
で流しておくのがいいかも。
居ながらにしてイタリアにいるかのようだし、知らず知らずの内にイタリア語の言いまわしが、身に
つくに違いない。とにかく、物語が面白い。
『絵で見る辞典[図解]イタリア語入門』
ヘレン・デイヴィーズほか/共著 1997 洋販出版
まさに絵で見るイタリア語集。それぞれの絵に、イタリア語とその読みがカタカナでつけられている。
意味はまとめて、別に囲ってある。単語と意味の併記でないから、まる暗記にならない。それに見
開きで、 食事、買い物、政治…とグループ分けされているから、関連で単語を覚えられる。勉強と
いう感じでなく、絵本をながめるようにイタリア語に親しめるのがいい。
カラーのイラストは、美しく巧みである。
『よく使う順 イタリア語フレーズ470』
町田 亘ほか/共著 1997 中経出版 ¥1600
文法書に単語集…。いくら勉強しても、イタリア人を目の前にしてはシドロモドロ。一体どれぐらい
勉強すれば流暢に話せるのだろう。
そして意外に現地で威力を発揮するのは、旅行会話集に載っている丸暗記したフレーズだったり
するから、いったいどうなってんだろうと思ってしまう。
イタリアでイタリア人たちが日常によく言う言葉。そう、そんな生きた会話をまるごと覚えるのが、
イタリア語習得の早道なのかもしれない。
この本はまさにそういった早道を体現した一冊である。
著者が周囲のイタリア人たちとあれこれ話し合い、頻度の高いものだけを選んでいるから、かな
り効率的。もちろん、ある程度の力がないと、暗記しても忘れやすいから、入門者からとうたいつ
つも、中級者向けというキライはある。
とにかく下手な問題集をこなすよりも、はるかに早くイタリアーニに近づける一冊であることは確
か。別売のCDが2枚1組で2,000円。
『イタリア語動詞活用表』
西本 晃二ほか/共著 1982 白水社 ¥1553
個人的にはイタリア語の勉強の過程で、最もよく開くのが辞書に次いでこの本である。
イタリア語の動詞の活用は、信じられないくらいに多い。というのも、主語がなくても動作主がわ
かるしくみになっているのがイタリア語であるからだ。
イタリア語に挫折するか否かは、この動詞活用の多彩さに対する気力の度合だと言えそうだ。
でも、うんざりすることはない。本書が、動詞攻略の強い見方となってくれる。
動詞がある。で、辞書を引く。しかし、原形の形を知らないと、分からない。そこで、本書の登場
とくる。
「活用形逆引き索引」が、この問題を解決してくれるのだ。また、原形がわかっていても、その
活用がわからない。そんな時は、豊富な「不定法索引」が役立つ。同じタイプの動詞も、欄外に
示されているので、ついでに覚えることもできるスグレモノ。
辞書の巻末にある動詞変化表で済ますのも手だけど、本書なら内容が豊富な上に、ハンディ
サイズだから、疑問を疑問のままにせず、外でもさっと調べられる。
『改定版 イタリア語の入門』
坂本 鉄男/著 白水社 1977 ¥2069
見開き2ページで、100章。左のページには、例文と、その訳と単語。右のページは、文法の解説と
なっている。
全体的にさらっと流した程度だが、文法というのは概して?というときに確認するものなので、本書
の手軽さが逆に使いやすい。
例文は短く、単語も頻度の多いものを使っているので、会話の基礎づくりにもなる。ぶあつい文法書
はうんざりだけど、基本事項は全部おさえていてほしい。そんな願いをかなえてくれる、初学者の独
習にはもってこいのロングセラー。別売テープは、60分2本で3,800円。