第1回夏休み牧場旅行杯
〜北海道牧場見学紀行〜

8月27日(木) <午前の部>【 静内 → 新冠(CBスタッド) → 静内(LEXスタッド)〜 】
 
 今日はもう6日目です。まだまだ先は長いと多寡を括っていた旅行日程も、北海道に滞在するのはこの日を含めて後2日間だけを残すのみとなっていました。しかし、ここまでは天候の問題をよそに、かなり予定通りに進めることが出来た、と言えると思います。
CBスタッド
CBスタッドの看板。
ご覧の内国産種牡馬以外に
輸入種牡馬も繋養されています
 さて、この日の朝は珍しく(笑)雨をあまり予感させない良い天気でした。今日最初の訪問地である「CBスタッド」の見学時間は10:00からです。ホテルのある静内はCBスタッドのある新冠のすぐお隣の街ですから、この日は少し遅い9:30頃にホテルを出発しました。
 
 大体予定通り、10:00前にはCBスタッドに到着しました。このCBスタッドは今の日本競馬生産界ではあの「社台グループ」に次ぐ勢力を持つ、「早田牧場グループ」の種馬場です。
 ここには、事実上のトップであるブライアンズタイム、そしてその初年度産駒で中央競馬史上5頭目の三冠馬であるナリタブライアン(旅行当時)、3年目の産駒でクラシック二冠馬のサニーブライアン、更にはサンシャインフォーエヴァー(ブライアンズタイムとは「同父の従兄弟(^^;同士」で、当初は先ず(競走成績の良かった)この馬を輸入したかったのだとかと言う話です)、ナリタタイシンマーベラスサンデーマイシンザンレオダーバンアジュディケーティングブラッシングジョンホリッシュネイビー等々が種牡馬として繋養されています。
 
マーベラスクラウン
JC馬、マーベラスクラウン
現役時に去勢されている為種牡馬にはなれませんが、
早田牧場の「功労馬」として繋養されています
 駐車場に車をとめてみると、もうかなりの見学客が来ています。さすがに人気の高い種馬場ですね。また駐車場脇のパドックに、功労馬として繋養されているマーベラスクラウン等が居ました。まだ種牡馬見学時間前なので、それまではこの馬達を見ている人は多かったようです。
 私は、96年・97年の10月に東京でJRAフェスティバルが開催された際に、特別ゲスト(^^)としてマーベラスクラウンとレガシーワールド(現在故郷の「へいはた牧場」に功労馬として繋養されています)が来ていたのをしっかりと見ていますので、今回はさしずめ「再会」と言うことになりますね。とりあえずしっかり写真は撮りました(笑)。
 
 それもつかの間、見学開始時刻の10:00になり、案内役の職員さんが先頭を歩きます。
 ここは見学の為の事前連絡が必要なく(逆に直接連絡は厳禁になっている)、見学開始時刻に現地集合すれば良いことになっています。見学に際しては職員さんが先導するため、ブリーダーズSSで遭遇したような不届きな大馬鹿者(^^;は出ようにも出られません(職員が常時見ている為)が、その代わり順番に馬を見学していくため、ある程度時間が経つと職員さんの指示に従って次の馬の放牧地に移動しなければなりません。
 要するにそれぞれの馬のベストショットを狙って、ある程度自由に時間配分を行いたい人にとっては、ちょっとキツイ見学方法です。しかし、文句を言える立場でも無いですし(^^;、その限られた時間の中での勝負と言うことになります(勿論、その際に馬が気まぐれを起こしてくれないとダメなのですが(^^;)。
 
マイシンザン
三冠馬シンザンの孫、マイシンザン
是非とも名馬シンザンの血統を絶やさぬよう
産駒たちの活躍を期待したいのですが…
 さて、ここでの内容は文章で長々と書くより、写真を交えて簡潔に書いてみましょう。
 まず、ナリタタイシンが居ました。ビワハヤヒデウイニングチケットと並ぶ3強の一角ですね。ただこの時はひたすら草を食んでいました(^^;。
 次にレオダーバン。二冠馬トウカイテイオーと同い年の菊花賞馬ですね。しかしやはりナリタタイシンと同じように食べるのに夢中のようでした。
 更にマイシンザン。この馬はGI勝ちが欲しかったですね。放牧地の中では割と行ったり来たりしていましたけど、産駒もこのように東で西で大活躍して貰いたいものです(話の持っていき方が強引かな?(笑))。
 
マーベラスサンデー
宝塚記念制覇、マーベラスサンデー
早田牧場生産馬ですが、
今を時めくサンデーサイレンス産駒でもあります
 続いてマーベラスサンデー。この年に種牡馬になったばかりです。その為かどうか分かりませんが、まだ競走馬としての体つきがだいぶ残っていたような気もしました。サンデーサイレンス産駒種牡馬は頭数も多いですから、この中での産駒成績競争もあり、結構大変かもしれませんね。
 
 最後にサニーブライアンとブラッシングジョン。この二頭は見学できる放牧地の中では一番奥にあり、また見学通路側の牧柵には金網が取り付けてありました。写真を撮る人間にとっては非常に迷惑この上ない金網です(^^;が、種馬場側にとってみればブライアンズタイム、ナリタブライアン等に次いで大事な種牡馬ですからね。その点は良く理解できます。
 
サニーブライアン
二冠を「逃げ」で制したサニーブライアン
ナリタブライアン亡き後、ブライアンズタイム
後継種牡馬としての期待は更に高まっています
 サニーブライアンを写真に撮ろうとよく見てみると、口元になにやら付けています。どうも、太り気味なんでしょうか、あまり食べないようにとノーズバンド(ノーズキャップ?)を付けられている姿にはちょっと笑ってしまいました。当のサニーブライアンはどうかというと、この障害にもめげず草を食べる事に一生懸命のようです(笑)。
 
 とりあえず、こうして慌ただしく見学を終えた私達ですが、やはり一番残念だったのはこの旅行の二ヶ月前(6月)に疝痛を起こした為、それ以降見学中止となっていた三冠馬ナリタブライアンが見られなかったことです。
 この時は「まあしょうがない、いずれまた来るつもりだし、その時にゆっくり見よう」と納得したのですが、皆さんご存じの通り、非常に残念なことにこの一ヶ月後、ナリタブライアンは再び腹痛を起こし、最終的には胃破裂と言うことで9月27日、安楽死処分となってしまいました。
 種牡馬としてのナリタブライアンをこの目で見られなかったことは当然残念ですけど、2世代分の産駒が約150頭前後残っているので、その産駒の中から後継種牡馬になるような活躍馬が出ることを期待したいですね。とりあえず、次回はナリタブライアンの墓参りも兼ねて行けたら良いなと思っています。
 
 ともかく、CBスタッドでの見学は終わりました。実際の見学終了時間である11:00よりも20分位早く終わってしまったので、私達はすぐに次の目的地に向けで移動を開始しました。
 事前に調べておいた為、海沿いの国道235号線では無く、内陸の道路を山沿いに走り静内方面に抜けるルートを通ると、僅か15分ほどで静内一の名所「二十間道路」に出ることが出来ました。
 この二十間道路は、その両脇に延々と植えられている桜並木が非常に有名で、花見のシーズンともなると壮観だそうです。まあ、この時は桜の季節ではないので、只の「葉桜並木」でしたけど(^^;。
 それとは別に、この二十間道路の両サイドには有名牧場・有名種馬場がひしめいており、ここには多くの見学者が詰めかけます。その為、ここには「競走馬のふるさと 二十間道路案内所」という専用の案内所があり、周辺の多くの牧場がここで先ず問い合わせをしてから、と言うきまりにしている場合も多いようです。
 とりあえず、この時間だと11:00からが見学時間の「LEXスタッド」が見学できそうです。早速、この案内所で説明を聞いた私達は、道路を挟んで丁度向かい側に見える、LEXスタッドを訪れることになりました。
 
ミスターシービー
史上3頭目の三冠馬、ミスターシービー
まだまだ元気そうですが、出来れば
早くヤマニングローバルを超える
代表産駒を輩出したいところですね(^^;
 LEXスタッドには、三冠馬ミスターシービーを筆頭に、ダイナガリバーニッポーテイオーヤマニンゼファーメリーナイスエイシンワシントントーヨーリファールと言った、現役時代中央競馬を沸かせた馬や、ゴールデンフェザントコタシャーンパークリージェントフレイズリファーズウィッシュ等々の輸入種牡馬がこの当時繋養されていました。
 ちょっと残念だったのは、私達が訪れるほんの一週間程前に、シンジケートが解散したアイネスフウジンが新天地である東北に移ってしまい、見学することが出来なかった事です。これを見ても、種牡馬の先行きは早々安泰ではないのがよく分かりますね(^^;。勿論、周りに有無を言わせぬ程の産駒成績をあげている種牡馬は別なのですが……。
 
 ここでも各々の馬に関しては、写真を見ながら書いてみたいと思います。
 まず、フレイズ、イタリアンカラー、ミスターシービーが居ました。ミスターシービーは私も一度は間近で見ておきたい馬の一頭だったので、いきなりの登場には嬉しかったです。すぐ近くには来てくれませんでしたが、結構元気に動き回っていました。最近はブルードメアサイアーとして割と活躍しているようですが、出来れば自身の産駒での活躍をもっと期待したいところですね。特にGI馬が1頭でも良いので出て欲しいのですが…。
 
ダイナガリバー
「鼻白」がポイントのダイナガリバー
右側から撮った写真もありますが、本人の希望に
より掲載は控えております(んなわけない(笑))
 次に、ダイナガリバーとゴールデンフェザントです。両方とも「社台」に関わりがある馬ですね。ダイナガリバーは代表産駒として桜花賞馬ファイトガリバーを出し、これからの活躍も結構期待できそうです。
 しかし、やっぱりこの馬は鼻面の「白」ですねぇ(笑)。結構おとなしかった(機嫌が良かった?)ので、すぐ近くでまじまじと見ましたけど……うーん、やっぱりノーザンテーストの子ですね(笑)。
 そう言えば、この馬は日本ダービー馬ですが、同じ年の皐月賞馬、ダイナコスモスもこのすぐ近く(と言うより隣ですね)の「アロースタッド」に居ますね。近年で言えばマイネルブリッジマイネルガーベの様な関係と言ったところでしょうか(と言っても、こちら(両ダイナ)は二頭ともGI馬ですが)。
 この両種牡馬が、大体同じ時期に揃ってGI産駒を出したというのも、なかなか縁がある事ではないかなと言う気がしますが、どうでしょうか?
 
ヤマニンゼファー
マイル〜中距離の雄だったヤマニンゼファー
産駒がデビューしたばかりですが、種牡馬としても
ニホンピロウィナーの様な成功を望みたいです
 続いてパークリージェント、コタシャーン、ヤマニンゼファーと居ます。ヤマニンゼファーは父ニホンピロウイナーの様な「マイルで無敵」と言うほど強かった馬ではありませんが、父が遂に勝てなかった中距離2000mの天皇賞(秋)を勝った馬です。
 私達が見学したこの時は、非常に機嫌が良かったのか、ここの馬達の中で一番人懐っこかったのを良く覚えています。写真もしっかりと撮らせていただきました(^^)。こういう馬は是非産駒が大活躍して欲しいですね(笑)。
 
 更に、ニッポーテイオーが居ました。ちょっと草を食べるのに夢中だったようです。またトーヨーリファール、エイシンワシントン、リファーズウィッシュも居ましたが、やはりなかなか顔を上げてくれませんでした。
 最後にメリーナイス。この馬は典型的な「四白流星」と言われるだけあって、綺麗な馬ですね。産駒成績は今ひとつ盛り上がりませんけど(^^;、これからも元気な産駒を送り出して欲しいものです。
 
 とにかくここには内国産の種牡馬が多く、私にとってはタレントが多いので(^^;、1時間という時間はやはり短いものでした。
 これで一応午前中の見学は終わりなので、私達は昼飯と休憩をとるために一度ホテルに戻ってからもう一度ここ(二十間道路)に来ることにしたのです。ふと上を見ると、朝は晴れていた空に段々と雲がかかり始めていたのがちょっと気がかりでした……。
 
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