1. 風力発電─この項、'99.9.5付 日経新聞を参考にさせていただきました─
    •  新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の試算によると、日本国内では全国の総発電量の1〜4%を風力発電でまかなえるという。

    •  この試算は、従来の五百kw級の風車を前提としているが、最近は風車一基で千kwの発電が可能になっており学者の間でも「楽々達成できる」との見方が強まっている。

    •  北海道北西部の苫前町には、「ウインドファーム」が大手商社のトーメンにより建設され、操業中である。日本海に面した小高い牧場の丘には二十基の巨大風車が林立し、風車一基の出力は千kw。合計出力2万kwである。また、青森県東通村 岩屋風力発電所も同社により操業中であり、総出力3万2千五百kw。また、2002年1月の見通しでは、我が国全体の風力総発電は、約30万kwとなっている。しかし、ドイツが810万kw、米国が424万kw、スペインが317万kw、デンマークが241万kwであるのと比較すれば、日本の立ち後れは明白ではなかろうか。それらの国の風の状況と、島国で山の多い日本の風の状況の違いを考えに入れても、である。なお、デンマークでは既に、総発電量に占める風力発電の割合が、10%を超えた模様である。これに対し、我が国では0.5%にも満たない現状なのである。この差はどこからきたのか。政府・官庁の早急な対策が必要であろう。

    •  大型風車は、技術革新による軽く強い素材の登場で可能となった。これら大型風車の発電機メーカーは、ドイツとデンマークが圧倒的に力を持ち両国だけで世界の風力発電機の70%のシェアを握っている。これは政府の理解と後押しという支援策に寄るところが大きい。日本でも通産省のニューシャイン計画の一環として、五百kw級風車の開発に取り組んできたが「研究のための研究的色彩が強く、欧州のような普及を前提とした支援策が遅れた」と言われており、コスト的にも太刀打ちできない実状である。

    •  最近、世界的に注目されているのが、沖合1−3kmの海に建設する洋上風力発電である。沖合は陸上より風が強く好都合であり、陸上での景観悪化や電波障害等の問題も回避できる利点がある。運輸省では、「日本の海岸線は約三万四千kmに及び、船の出入りの少ない発電適地も多く、電力需要の二割程度をまかなえる」としており、2000年度から港湾に建設する風力発電所の費用を補助する計画である。日本が遅れを取り戻すチャンスである。

  2. 太陽電池──この項、'99.9.6付 日経新聞を参考にさせていただきました──
    •  太陽電池は、結晶シリコン型・アモルファス(非結晶)シリコン型が知られているが、それぞれ欠点があった。

    •  結晶シリコン型(変換効率12-15%)は、製造工程の手間と原材料のシリコン不足が難題であり、アモルファス(非結晶)シリコン型(変換効率5-9%)では、変換効率が低いという欠点が解決できていない。そこで最近注目されているのが、CIS型太陽電池である。

    •  CIS型(変換効率約17%-実験段階)は、現在主流の結晶シリコン型よりも使用する材料の量が二ケタ少なく、コスト面で有利であり、性能改善が進めば変換効率も20%を超えるとみられている。

    •  CIS型の課題は、大型化にある。現段階では、面積を広げると小さい試料では可能だった高効率が実現できない。現在研究試作している松下電器産業・昭和シェル石油では、来年度末までに、松下は 百Cuで変換効率16%以上、昭和シェルは 九百Cuで同13%以上という目標を掲げて開発に取り組んでいる。

    •  国内の太陽電池発電規模は、約九万kw(97年度)。2010年度までに五百万kwに拡大すべく、通産省は太陽電池技術開発の後押しをしている。五百万kwは、最新型原発四基分程度に相当し、二酸化炭素排出抑制効果が期待できる。

    •  現在、住宅に太陽光発電システムを設置するとき、新エネルギー財団を通じて国から約百万円の補助金交付がある。99年4月から積水化学工業が発売した省エネ住宅「進・パルフェEX」は、発電能力3kw(4人家族の平均的使用電力の7割を賄える)のシステム価格を実質的に 175万円に設定している。国からの補助金が 100万円あるので、個人負担は75万円となり10年間で回収できるという。同社によると、「進・パルフェ」シリーズ全体に占める「EX」タイプの割合は約4割、日照条件の良好な九州・四国地域では約9割だという。また、屋根一体型の太陽光発電システムが建築基準法でも屋根財として認められたことで、従来の屋根材との経済効果比較でも有利となり、一挙に需要が増加する可能性が出てきたようである。

  3. 燃料電池
    •  ガスで稼働させる小型の発電機。その原理は、簡単である。皆さんも小中学校で実験した「水の電気分解」の反応を逆に利用するのである。水素と酸素を化合させると、水が出来ると同時に電気が発生する。この電気を自動車のモーターに利用すれば、ガソリンは不要となり、走行用の蓄電池も要らない上、非常に低レベルな排ガスで走行できる。

    •  また、住宅・工場・オフィスに燃料電池が普及すれば、電力会社からの送電線が不要になり、送電ロス・電波障害もなくなってしまうのである。さらに、発電時の熱を給湯用や床暖房に利用することで、エネルギー効率も高まるのだ。

    •  燃料は水素であり、あらゆる有機化合物の中に含まれている。日本近海の海底に眠っている《メタンハイドレート》は、メタンガスと水が結合してシャーベット状になったもので、現在日本で消費される天然ガスの約百年分の埋蔵量が見込まれている。水素含有率の高い原料であり、日本にとって貴重な資源となるものと見られている。

    •  燃料電池の開発状況だが、既に商品化されているものもある。東京ガスが実用化した燃料電池システムが、ホテルやオフィスビルに数十台納入されている(燃料電池はドイツのシーメンス社製)。まだ1kw当たり45万円と原発並の高いコストだが、ダイムラー・クライスラー社が自動車用に試作した燃料電池では、 50kw当たり420万円(1kw当たり8.4 万円)を実現している(現在の原発の建設費は1kw当たり30〜40万円)。試作段階で既に原発よりもコストが低いが、今後のコストダウンを考えると、原発建設コストの数十分の一となる可能性が非常に高い。

    •  今年の7月15日に、東京電力が「2001年 1月から天然ガス供給」について通産省から許可を得たことをご存じの方もいると思うが、この事は何を意味するのか。賢明な皆さんには、もう説明は不要であろう。独占企業としての電力会社の存続があり得なくなってきているのではないか。

 

著作権情報:このページの更新日は   です。