1.  前ページで説明したンですが、現在の先進諸国では《原発》から撤退する方向に足並みを揃えつつあるンですネ。その主な理由は、次の三つだと言えるンじゃアないでしようか。

    • 「原子力発電そのもの」の危険性。事故を防止するのが技術的に難しいし、いったん事故が発生すりゃア、人体・環境への放射能汚染が著しくなる可能性が高いンです。ついこの間の「JCO」の放射能事故を思い出してもらえば分かるでしょうネ。

    • 「放射性廃棄物」の発生が避けられないし、その処分方法の安全性が確立されていないンです。
       ドイツじゃア、《着陸する飛行場も無く飛び続ける飛行機》との表現で行き場のない放射性廃棄物を端的に言い表してるらしいですヨ。

    • 原子力(プルトニウム)の軍事利用と民生(平和)利用を明確に区別するのが困難なことですネ。インド・パキスタン等がその例でしよう。

       繰り返すンですが、先進諸国では、現時点での「原発・放射性廃棄物」の危険性を重要視して、当面の「経済効率」や「便利さ」よりも、長期的な「人間の安全」と「環境保護」を優先する政策を採っているンです。

  2.  残念なことに日本じゃア、電力業界も政府も、いまだに原発の新設を推進しているようです。これじゃア、「人間(人命)優先」じゃアなくて「経済(便利さ)優先」と言ったって過言じゃアないでしよう。
     「もんじゅ」だけで6000億円もの巨費をつぎ込んでるし、更に原発の新規立地やプルサーマル(核燃料サイクル)に年間3000億円の巨額の予算が投じられているンです。省エネや再生可能エネルギー(太陽の光熱、風力など)の開発に振り替えるってェ発想は出てこないンでしようか。例えば、最近急速に普及し始めた「住宅用太陽光発電システム」の補助金なら、10万戸に100万円ずつを支給しても1,000億円です(因みに平成14年度の国の助成予算は約232億円に過ぎない)。
    [一戸当たり補助金限度額は100万円。ただし、1Kw当たり補助金は10万円であり、家庭用の平均規模は3Kwなので、平均補助額は30万円程度と推測]

  3.  ここで、99年9月3日付「日本経済新聞」の朝刊記事からの引用をご覧下さい。

      見出し
        「 巻 原発予定地 反対派に売却 新潟・巻町長決定 建設は困難に」
      本 文
         原子力発電所建設で揺れる新潟県巻町の笹口孝明町長は二日、東北電 力が計画している巻原発建設の予定地内にある一部町有地を建設に反対 する住民二十三人に売却したと発表した。同原発を巡っては 96年8月に 建設の是非を問う全国初の住民投票が実施された結果、反対多数となり 計画は凍結状態だった。町長が町有地を反対派に売却したことで、原発 建設は一段と困難になった。
        ・・・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・・・・
         東北電力によると巻原発は当初、86年にも運転を始める予定だったが 住民の根強い反対で計画先延ばしが続いていた。・・(中略)・・
         東北電力は同日、「巻原発は将来の電力安定供給のため是非とも必要 な電源。今後とも関係者の理解を得て譲渡を求めていきたい」とのコメ ントを発表した。


    この記事でのポイントは、

    ・自治体の長(町長)は、住民投票の結果を尊重しています。偉いもンだと思います。

    ・13年間にもわたる運転開始の遅延があったって、地域経済にダメージは発生しちゃァいないンです。

    ・ 企業(電力業界)は、相変わらず「経済優先」の考え方から抜け出せないようだし、建設許可を取り消さない国(政府)も、「人間(人命)優先」の先進国の潮流に乗り遅れたまま平然としていると言わざるを得ないでしよう。

  4.  「プルサーマル」は、日本の核燃料サイクルシステムです。だけれども、主人公となる高速増殖炉ってェのは、燃料とするプルトニウムが原爆の材料となること・水や空気と激しく反応する危険なナトリウムを冷却材として使用しなけりゃァならないことから、アメリカ・フランス・ドイツ・イギリス等では既に計画の中止や撤退をしているンですネ。「もんじゅ」のナトリウム漏洩火災は我々の記憶に新しいンですが、この事実は高速増殖炉の技術的困難さを端的に物語ってます。たとえ技術的にクリアーできたとしたって、増え続ける核廃棄物の処理を一体どうするというンでしようか。安全な処理方法なんぞ、どこの国だっていまだに見いだせないンですから。唯一、米国のニューメキシコ州に地下655mの岩塩層に作った廃棄物隔離試験施設があって、核兵器関連の放射性廃棄物の保管が99年3月から開始されてるだけだからネェ。

  5.  原発問題は、「放射能」(プルトニウムの半減期は二万年もある)という人間の手に余る怪物が相手なンです。現在のみにとらわれずに、人類の将来をきっちりと見据えた「長期的展望」が必要です。今こそ、政・官・財界、そして私達市民が真剣に日本の、更に地球の将来を考え、議論しなけりゃアならない時だって思いますネェ。

 

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