歴史の中に暮らす街

ローマ 1998年

イタリアの首都、そしてかつてローマ帝国の首都であった都市。
カエサルやアウグゥストゥス達が歴史を創った舞台。
市内にはコロッセウムやサン・ピエトロ大聖堂といった世界で有名な建築が今も残る。
名作「ローマの休日」もこの都市で撮影された。
欧州でも最も歴史の重厚な都市。
カエサルを中心に、この都市が歴史を動かし始めたとき、
ロンドンやパリですら、未だ未開の地であった。

ローマ

Comune de Roma ローマ市
人口 270万人
イタリアの首都、ラツィオ州の州都
かつてのローマ帝国の首都

2006 09

Roma




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写真


通りからコロッセウムを望む

ローマでは、街が歴史の中にある。

街そのものが大きな時間の流れの中でゆったり歴史にひたっている。

単に歴史的な建物が多く残っているからではない。
それらの建築が今でも都市と繋がっている。
建築史に残る建築物も、柵やフェンスなしで直接街路に面していたり、
史跡であるアッピア街道や競技場が今でも市民の憩いの場として利用されている。

ローマを歩くと感じるのは、現代と歴史の同時性だ。
「現代的」なものと「歴史的」なものが、なんとなく区別されている日本と異なり、
彼らは自分達を歴地の延長、または歴史の中に自分たちが生きていることを
認識しているのではないかと思う。

サン・ピエトロ大聖堂から市内をみる
史跡でサッカーをする市民たち
イタリア人は、不思議な民族だ。
彼らには楽観的で快楽主義的なイメージがあるが、実はとても現実主義者である。
かれらの建築や文化はギリシャに範を求めながら、より実用的であるし、
彼らのフットボール(サッカー)は結果最優先で、「カテナチオ」と呼ばれる。
フルタイム完璧に守り通し、相手の隙をついて1点奪って勝つのが最も美しい、とされるフットボールである。
彼らの勝利至上主義はフットボールだけの話でなない。
ローマ帝国軍は当時の常識を覆す組織力で欧州を席巻した。
そして征服後の敵民族に対する、これも当時常識外の寛容さ。
遥か紀元前から、ローマ人たちは徹底したリアリズム、合理性、そして人間的な寛容さで
広大な帝国を築き上げたのである。
Atelier KY 吉岡一成建築設計事務所