「無線と実験」第二十六巻第三号
昭和14年(1939年)3月1日
誠文堂新光社発行
「オシロスコープ」の広告ページと「測定器」の紹介ページ

無線と実験 第二十六号第三巻
昭和14年(1939年)3月号
オシロスコープの広告

東京電気株式会社(現 株式会社東芝)

神奈川県川崎市

マツダ陰極線
オシログラフ装置

交流100Vを用ひ、電源装置、
増幅装置、時間軸振動装置、
其他の部分品を備へ、取扱簡便

BU-140V型
BU-75V型

無線と実験 第二十六号第三巻
昭和14年(1939年)3月号
オシロスコープの広告

松下無線株式会社東京研究所 (現 松下電器産業株式会社)

東京市品川区東品川
本社:大阪府京阪線沿門真

ナショナルブラウン管
オッシロスコープ

3吋 (CT-75)
1吋 (CT-25)

特長
1. 超小型(170x260x315)mm
2. 極微小電圧測定可能 (2段増幅)
3. 周波数 位相 直読方式 (輝度変調法)


無線と実験 第二十六号第三巻
昭和14年(1939年)3月号
測定器の紹介記事(口絵ページ)

上は、富士商会の
チューブテスター TC-2型、ユニバーサル テスター AU-66型、テスト オシレター OA-3型

下は、松下無線株式会社東京研究所の
3吋ブラウン管オッシロスコープ CT-75

上図は3吋オッシロスコープで、真空管にはBG-75(ブラウン管)、KX-879(高圧整流管)、GO-16G(時間軸用三極放電管)、KX-80(増幅管用整流管)、UZ-57(横偏向増幅管)、UZ-57(縦偏向増幅管)を使用したものである。特長としては小型軽量で、電源が交流50〜60c/sの100V幹線から得られ、10〜20000c/sの時間軸発振器を備へた外、電源変圧器をシャーシー後部に納め、厳重な電磁遮蔽を施してあるので、ブラウン管への誘導はない。又ブラウン管へも静電遮蔽を施して、漂遊電界の影響を避けてある。縦偏向に57による3段増幅器を備へ、総合利得70DBである。微少電圧も観測出来る:後部を開ければ直接偏向板が利用出来るので超短波などの観測も出来、且つ直流分をも現出出来る・・・などである。

本機の外函を取り除いて内部を示す

寸法:
高さ..28cm 間口..18.5cm 奥行..33cm


ナショナルの「CT-75」は、試作品と設計完了品

ナショナル3吋ブラウン管オッシロスコープ CT-75に関して、中段の広告写真と下段の写真ではフロントパネルに相違する部分があります。

中段の写真では、ツマミは矢形を使用で、撮影した後、広告用の写真の段階でパネルの輪郭辺りを人手で修正加工した様に見て取れます。また、中段のものは写真にありませんが、下段のものには、パネルのブラウン管の右上と左上に半固定ボリュームのシャフトの先端が見えます。おそらく取付位置から考えて高電圧がかかる輝度調整/焦点調整/垂直位置調整/水平位置調整のいずれかのボリュームでしょう。こちらのツマミは八角形のものが使用されています。総括すると、写真の雰囲気からして中段のものは試作品で、下段は設計完了品と思われます。

この号は3月号ですから広告制作や記事編集などの作業時間を勘案すると、撮影は昭和14年(1939年)1月頃と推定され、この年には発売されたとみるのが順当でしょう。

ナショナル「CT-75」の内部構造

余談ですが、ケースを外して後方から撮った写真では、BG-75(ブラウン管)を挟んで整然と並んでいます。右手前はプレートキャップがありKX-879(高圧整流管)、左手前がKX-80(増幅管用整流管)の 様です。両側ともその隣にある二本がシールドケースを被った真空管(ST管)で、それよりパネル側は円筒の形状から電解コンデンサと思われます。

ブラウン管の直ぐ後ろには直接偏向用の端子が付いています。ブラウン管の端子まで近距離で繋ぎ、浮遊容量を軽減して少しでも高い周波数まで観測したいニーズに応えようとしたもののようです。
上の説明にありますが、電源トランスをシャーシー内部に取り付けたため上面はスッキリとしたレイアウトになっています。



この号では、上記の東京電気と松下無線それと前号で紹介しました日本電子工業がオシロスコープの広告を掲載しています。未だ、オシロスコープを手がけた第三の会社があるかもしれませんが、国産初のオシロスコープは絞り込まれてきた気がしています。引き続きこの内容を補完する為、資料の収集と調査に努めコンテンツを充実する予定です。

「無線と実験」第26巻5号には
松下無線(National)の3インチオシロスコープ CT-75 の解説記事が掲載されています。
次ページを是非ご覧ください。