オシログラフの理論と取扱
株式会社電気書院  昭和29年(1954年)初版第一刷発行
木谷芳一 著 定価:200円 
「オシログラフ」とタイトルにある様に、本文に於いても類書と異なる部分も多く見受けます。「電磁型オシログラフ」から始まり「静電オシログラフ」の説明を経て「ブラウン管オシログラフ」へ辿り付く感じです。本文は全八章からなり「ブラウン管オシログラフ」は、そのうちの一章に過ぎず、今となっては波形観測はブラウン管を用いた電子式もあると言った、半世紀前の測定方法を再認識することになります。

目次 (B5 111ページ)
第1章 オシログラフの概要
第2章 電磁型オシログラフ
第3章 静電オシロログラフ
第4章 ブラウン管オシログラフ
 4.1 概要
 4.2 ブラウン管オシログラフの構成
 4.3 ブラウン管並に電源装置
  4.3.1 ブラウン管の構造
  4.3.2 電源装置
  4.3.3 ブラウン管の偏向感度
  4.4 時間軸装置
  4.4.1 リサジューの図形
  4.4.2 鋸歯状波電圧
  4.4.3 鋸歯状波電圧発生回路
  4.4.4 鋸歯状波電圧の改善
  4.4.5 鋸歯状波電圧の同期
  4.4.6 鋸歯状波電圧の増幅並に偏向板への接続方法
  4.4.7 その他の時間軸装置
 4.5 増幅装置
 4.6 ブラウン管オシログラフの実例
 4.7 使用方法
 4.8 応用例
第5章 単掃引高速度ブラウン管オシログラフ
第6章 回転ドラム型ブラウン管長時間記録装置
第7章 その他のオシログラフ
第8章 オシログラフの使用手順
索引

本書は昭和29年(1954年)の発行で、第4章「4.6 ブラウン管オシログラフの実例」に、松下無線株式会社の3吋オッシロスコープ CT-75 をモデルにした記述があります。フロントパネルにある各つまみの名称の説明や回路図と克明なパーツリストもあり具体的な電気回路もうかがい知れます。


パネル図をクリックすると拡大します。
部品表と回路図をそれぞれクリックすると
拡大します。


昭和20年代前半まで存在した
松下無線株式会社のオッシロスコープ CT-75 が昭和29年(1954年)発行の「オシログラフの理論と取扱」に引用されたことは、戦後かなり後まで存在したことを示す証ではないでしょうか。

国産初のオシロスコープは松下製か東芝製か?
ここまでの調査から推定される事は、昭和14年(1939年)には、現 松下電器産業と現 東芝の製造によるオシロスコープが存在していたことになります。しかし、この二社のどちらかが国産初のオシロスコープを製造したのか?あるいは現在未知の第三の企業が存在するのかは今のところ不明です。

オッシロスコープ CT-75 の取扱説明書を入手
継続的な関係資料の調査整理の段階で、松下無線株式会社のオッシロスコープ CT-75 の取扱説明書が出てきました。今となっては、このCT-75 の存在を更に明確にする物として貴重な資料です。是非、次ページもご覧ください。