「無線と実験」第二十七巻第一号
昭和15年(1940年)1月1日
誠文堂新光社発行
本文から抜粋した記事ページ
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無線と実験
第二十七巻第一号
戦時文学で著名な火野葦平氏は去る11月18日、AKのマイクを通じて「戦線より帰りて」と題する講演を放送した
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欧米の
テレビジョン行脚より帰りて
日本放送協会技術研究所 高柳健次郎
かねて準備中であった日本放送協会のテレビジョン研究設備が、一先づ完了したので、私は、この機会に欧米のテレビジョンを視察して、今後の参考にしたいと考え、昨年7月6日に日本を出発して、約4ヶ月半の旅をつづけて帰朝した 途中、英国に渡ったとき、不幸にして欧州戦争勃発し、その為に、遂に仏・伊のテレビジョンを見学する機会を失ったことは残念である。
以下、省略
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テレビジョン講座 「第5講」
日本放送協会 高柳健次郎、山口 清
4.4 試験装置
テレビジョン装置の性能試験装置としては、一般に試験図形、モノスコープ及び陰極線オッシログラフ等を使用する。
中略
C) 陰極線オッシログラフ
テレビジョン装置に於いては、各種計器の他に陰極線オッシログラフを多数用いて、各部分に於ける信号波形を常に監視することが必要である。これに用いる陰極線管は静電偏向用のもので、蛍光の残光は中庸のものがよい。陰極線オッシログラフの感度は良好なるものが望ましく、その為増幅器が必要であるが、非常に広範囲の周波数、即ち、20サイクル乃至4メガ・サイクル以上迄、一様でなければならぬ。時間軸周波数は10サイクル乃至数万サイクル迄、変化出来ることが望ましい。
以下、省略
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何処まで届く?テレビジョン
電波の電界強度
藤田徳彌、松山喜八郎
はしがき
テレビジョンの定期試験放送開始を目前に控えて、受像機製作関係の諸会社をはじめ、アマチュア諸氏に於いても、受像機の組立、準備に万端の用意を怠らないと思はれる。受像機を組立つ前に、先ず知らねばならぬことは、各自の受信地に於ける電界強度、及び適当なるアンテナ方式である。本文は、これらの要求に資せんが為に、東京市に於けるテレビジョン電波の電界強度の分布を報告したものであって、先ず最初に受信に必要な電界強度を論述し、次に当研究所に設けられた、テレビジョン放送設備の概要を述べ、次に電界強度測定装置、測定結果を挙げ、最後に適当なる受信アンテナ及び受信上の注意等を述べたものである。本文が受像機実験者に多少でも、ご参考になれば幸甚と思ふ。
以下、省略
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増幅器の画期的進歩
三極管によるB級新増幅器の設計要録
日本音響電気工業 住吉舛一
緒言
増幅器の良否を決定する条件はいろいろあるが、実際の使用に当たっては、その増幅された電力の最後に送りこまれるものの如何によって決定されることも重大な条件の中に入れなければならない。もし、それが高声器で、ダイナミック、或いはマグネチック・コーン型の如く、そのインピーダンスが、周波数や負荷の変化によって変動し、従って、これに起因する歪みが、重大な影響を及ぼすからである。
この歪みの混入の少ない増幅器を欲するならば、出力管には三極管で、且つ、抵抗の低いものが望ましく、五極管は後述する理由によって、先ず落第である。訪米の著名会社RCAなり、ウエスタン、テレフンケン等の主用音声用増幅器は、今日に至るもいずれも皆な三極管が使用されているのも、亦偶然ではあるまい。
以下、省略
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高能率経済的
カソード変調100W、電話送信機
久留 津生 訳注
はしがき
従来の変調方式にあっては、変調電力が少なくとも、プレート変調に必要な可聴周波電力の1/3は必要であるが、それでも、未だ50乃至60%の能率が得られるに過ぎない。ここに提案するカソード変調法は、以前に、中心タップ変調(center tap modulation)という名称で知られたものであるから、決して新しいものではないが、能率の高い経済的変調法であるため、新しい構成の下に、再び実験が行はれたのである。本法は、グリッド変調と、プレート変調とを一緒に行ったものと考えられる。
以下、省略
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