☆炭焼き
[ロケット・ストーブ製作」
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ロケット・ストーブ 目的

2012.01.21
燻炭器を繋ぐためのストーブなので、大項目が炭焼きになっていますが...
数年前にアメリカで開発されたと言うロケットストーブ、燃焼効率が良く煙が出ないと言う事です。
燻炭器に接続すれば燻炭づくりの無煙化が出来るかも知れません。
そうなれば消防署に連絡する必要もないし、天候に左右されず物置の中で燻炭を作れる事になります。
仕組みの調査 ネット上にいろいろ作成例が掲載されていますが、煙がモクモク出ているものもありますね。

私の場合はそれでは困るのです。
いろいろ調べた結果、ロケットストーブの基礎にも書いて有りますが一番重要な事は燃焼塔(ヒートライザー)を如何に断熱して高温に保つかが重要なポイントらしいのです。

と言う事は、煉瓦の内側に煙突を設けてパーライトで断熱する事にしました。
俄か設計

2012.01.23
設計と言っても頭も中、とりあえず基本となる煙突を調達。
最も高温になる燃焼塔は、とにかく厚みのあるもの。
[材料]
厚さ0.4mmステンレスの黒耐熱煙突(ホンマ製)
@106mmφ半直
A106mmφエビ曲
B106mmφT曲(燻炭器接続用)
達磨ストーブを撤去して、位置決めです。
黒い煙突が燃焼塔(ヒートライザー)、白い方が排気用煙突で既存の煙突に接続。
焚き口 焚き口の大きさは、耐火煉瓦1枚分で230mm×115mm。

高温になる煙突の取付け部分は、数年前に購入したセメダインの耐火パテ(1100℃)で固定する事に。

煉瓦と煙突の間にはパーライトを挿入。
排気口 この部分は量が沢山必要なので、高価な耐火パテではなく、安価な耐火モルタル(1200℃)にしました。
ロストル製作 燃焼効率を上げるには、酸素が供給できなくては如何にもなりません。
熾(お)きが溜まっても、下を空気が流れるようにロストルは必須ですね。
当然、市販のものはないので有り合せのUボルトで溶接する事に。
試し火

2012.01.24
本当に煙が出ないのか、温度がどの位になるのか煉瓦を仮積みしての試し火です。

左官工事はやりたくないので、煉瓦を接着するのに何を使うかおおよその温度が必要なのです。
焚き口
煙突上部
あららア〜、鉄骨スレート葺きの物置が火事になっちゃいます。
(実際は→→→)
此れがロケット・ストーブと言われる由来ですね。
煙突上部の温度はというと竹の破片が数枚で、370℃位になります。

写真を撮るのでセンサーを放しているので353℃の表示になっていますが...
煉瓦積み

2012.01.24〜25
燃焼塔が13段、焚き口は4段積みです。
左官工事はやりたくないし、煉瓦の接着にはアメリカ生まれの此れ(左側)を使う事にしました。
右は1100℃の耐火パテ。

耐火表示は500°F(華氏)、温度変換すると260°C(摂氏)ですけど直接炎が当たらないので大丈夫かなア〜。
燃焼試験

2012.01.25
あと3段煉瓦積みが残っていますが、最も高温になる最上部の耐火接着を如何するか思案のしどころ。

てなわけで、火入れ式は未だですが既存煙突に接続して準本格燃焼をしてみる事にしました。
左側面
右側面
焚き口奥の様子。

炎が上に上がらず、奥の燃焼塔(ヒートライザー)に吸込まれていく様子がわかります。
焚き口手前の様子。

炎や煙がロストルの下へと吸込まれていく様子がわかります。
(空気量の調節)

2012.01.26
焚き口の間口は煉瓦1枚分では大きすぎかなア〜、ゴー(ボー)という音が小さいです。 最良点:
いろいろ調節した結果、煉瓦1/2の大きさが一番音が大きいという事は、効率よく燃焼している証でしょう。
(燃料投入のポイント)

2012.01.26
燃料を置く場所ですが、縦にしたり横にしたり、奥をあけたり手前をあけたりしましたが... 最良点:
横置きで被せる様に投入し、且つ手前をあけてロストルの下に炎を吸込ませる方法が一番音が大きい。
あくまで竹の場合ですが...
材料は竹、数年前に定年になったら竹炭を焼こうとしたあの竹です。
耐火煉瓦もそうですけど...

散々達磨ストーブで燃やしていたのですが、燃やし切れなかった。
煙が出ないと言われていますが、写真では分かりにくいけど少々出ていますね。

でも、達磨ストーブと比べれば雲泥の差です。
では、本題の燃焼塔(ヒートライザー)の上部は如何なっているのでしょうか。
右側が焚き口からの上り、左側が排気煙突への下り。

白ペンキを塗ったが如く耐火煉瓦の表面が真っ白になっています。
此れは炎がかなりの高温になっている証拠ですね。
出口の方が黒いという事は、付着した煙の成分が高温にさらされて変色した様で、煉瓦自体が変色したのではなさそうです。 何れにしても、この部分の接着は如何しましょうか。

1100℃の耐火パテでは、完全な接着ができないし悩みますねエ〜。
(高熱部分の接着) 上部3段の煉瓦の接着ですが、煉瓦の外側は熱いですが一瞬手で触れられるという事で... @煉瓦の内側:
1100℃の耐火パテ
A煉瓦の外側:
260℃の耐火シーリング
の2種類を使って積む事にしました。
燻炭煙りの無煙化

2012.01.26
私の考えている事は、燻炭を焼く時に出る途轍もない煙りをロケット・ストーブの高温になる燃焼塔(ヒートライザー)に入れて完全燃焼させて無煙化しようというものです。 私の考えている事が実現可能か如何か調べたところ、幾つか課題がありますが足利工業大学の[炭焼き煙の燃焼実験]で何とかいける様な気がしてきました。
(燻炭器周りの煉瓦積み)

2012.01.27〜02.01
燻炭器はドラム缶ですから、周りはかなり高温になります。

火事になったら大変、周りを耐火煉瓦で囲う事に、此れで300個の煉瓦を使い切る事になるでしょう。
(燻炭器の設置)

2012.02.01
煉瓦を14段積み終わったので、燻炭器を設置してみました。

燻炭器からの煙り(空気)の量を調節するため、のダンパーを取付けましたが...
(設計ミス??) 燻炭器からの煙りを完全燃焼させようと燃焼塔(ヒートライザー)の下部に接続したのですが、間違いかも。 と言うのは、
下部に接続すると焚き口からの吸込みに影響して上昇気流が弱くなるかも知れないなア〜。
如何しましょうかねエ〜。
こんな事やっている人も他に居ない様だし、ダメもと実験でこのままやって見るしかないでしょうね。

ダメな時は、燃焼塔(ヒートライザー)の上部に接続替えすれば良い事だし。
(試し焼き)

2012.02.03
設計変更になるか如何か、先ずは試し焼き。

[前提]
ロケット・ストーブは1時間ほど暖機運転をして燃焼塔(ヒートライザー)を十分加熱しておきます。

火種を点けて煙突の温度測定です。
燃やしたのでは物置内が燻くなるので、今回の火種は煙の出ない炭を使う事にしました。

ある程度の温度にならないと籾殻を入れた時に火種が消えてしまいます。
130℃になれば以前の経験から大丈夫でしょう。
缶に籾殻を入れて、燻炭づくり開始です。
(煙りの状態) 今までの煙は半端ではありませんでした。
ご近所から苦情がでるのは必須。
今回の実験でロケット・ストーブに接続すると、写真では分りにくいですが煙りは出ていますが...

しかし此れだと雲泥の差、達磨ストーブより少ないし苦情にならない量かなア〜。
(炭化完了) 焼き始めて2時間15分が経過。
今までは煙の色を目安に、青紫色になったら炭化終了の合図でしたが、煙が僅かしか出ないので困ったなア〜。

今回は燻炭器の上部から出る煙りの量と、焼け具合から判断するしかないでしょう。
この状態は、もう少し我慢でしょうか。
2時間30分が経過。
燻炭を取出してみました。
1回焼くと左官用桶一杯分の量になります。

ほんの僅か焼け残りがありますが、灰も僅かだしこの位でいいんでないかい。
(無煙化実験の結果) 一時は焚き口の吸込みが如何なるか心配でしたが、吸引力も殆んど変化なく実験は大成功と言って良いでしょう。 完全な無煙化は無理でしたが煙りの量は激減、天候に左右されず何時でも燻炭が焼けるって最高です。

ほんとロケット・ストーブのお蔭、開発された方には感謝・感謝ですね。
(各部の温度)

2012.02.06
ロケット・ストーブ上部の厚さ6mmの鉄板の温度。
午前中の1回目では約200℃強ですが、2回目の午後になると耐火煉瓦も暖まり300℃にはなります。
@燻炭器本体:
  MAX 300〜350℃
A燻炭器上部煙突:
  MAX 180〜200℃
Bロケット・ストーブ入口煙突:
  MAX 100〜130℃

(居場所になる) という事で、寒い時期暖をとるにはエアコンをつける必要もないし、昼間は最高の居場所でしょうか。 東京電力が値上げをすると言っているしねエ〜。

一寸、燻いけどここは我慢。
運用総括

2012.02.06
@(かま焚き)
蒸気機関車のかま焚き同様、焼き始めの1時間は目がはなせません。

焚き口の管理を一寸怠ると燃焼塔(ヒートライザー)の温度が下がり煙がモクモク、とにかく温度を上げる努力と、そして維持する事が必須ですね。
[余談]:
SLの機関士だった叔父が言うには、助手で「かま焚き10年」やらないと機関士になれなかったそうで、それだけ重要だという事です。

平坦な区間では、好い加減に石炭をくべてもそこそこ走れるそうですが、勾配区間となると話が別で要注意!!
慌てて石炭をくべたらボイラーの温度が下がると同時に、蒸気圧も下がり勾配を乗りきれないそうで、事前に予測して勾配区間に差し掛かる前に最高の蒸気圧にしておく事が助手の役目だそうです。

[補足]
重連の場合は、前後の機関車の助手が煙りの色を見ながら時間差で石炭をくべるという作業をするとの事。
A(処理能力オーバー) 焼き始めから1時間、特に30分は水分を多く含んだ煙でロケット・ストーブの燃焼塔(ヒートライザー)の温度を下げますので処理が追いつきません。
それで処理能力をオーバーすると、こんな感じの煙になります。
実際には写真より多いでしょうか。
それでは如何するかと言うと、
[理由]:
@燃焼塔(ヒートライザー)の温度が下がる。
A燻炭器から煙の量が多い。

てな訳で、
折角付けたダンパー、燻炭器からの煙りの量を調節すれば良いのであります。
(調整範囲) ダンパーを全閉すると燻炭器の火が消える可能性があるので、燻炭器上部のエビ曲の煙突部分の温度を130〜150℃に維持しつつ、且つ煙りの量が少なくなる様にダンパーのレバーを調節します。

約1時間が経過すれば、燻炭器からの煙りの温度も上がりロケット・ストーブの処理範囲になるのでダンパーは全開でOK。
煙りの量を見るためには、物置から出たり入ったりしなくてはならないので、テレビモニターを付けないとダメですね。

カメラはあるのですが、モニターがないなア〜。
ロストル

2012.02.11
竹は火力が強いのと燃焼ガスの影響でしょうか、自作したロストルが1週間でボロボロになってしまいました。

探して見ると焼き鳥を焼くコンロのロストルがサイズもピッタリ。
こんな具合に収まりましたが...

炎の吸い込みが非常に悪く、ゴー(ボー)という音をたてて燃えてくれません。

スリットの方向が逆で炎の流れが妨げられるのかも知れないなア〜。
丁度2枚購入したので両サイドをカットして縦に並べてみましたが、自作のロストルより燃えが悪いなア〜。

真ん中を空ければもう少し良く燃えるかも、ここは我慢して使うしかないでしょうね。
(鋳物溶接)

2012.02.12
楽をしようとナットで固定したのですが、数少ないスリットをナットで塞いでいますね。
少しでも効率よく燃焼させるには、ボルトを溶接するしかないでしょう。

でも、ロストルが鋳物でボルトはステンレスだよなア〜。
鋳物・ステンレスの溶接はやった事がないし、調べてみるとステンレスより難しい様だけどやるっきゃない。
[結果]
@軟鉄よりかなり電流を上げないとアークが飛ばない。
・母材を保護するため、余計なアークが飛ばない様に溶接棒ができているそうです。
Aモタモタやっていると、鋳物が弾けると言うかボロボロになる。

とにかく、難しいの一言。
よくよく調べると「ステンレス棒をニッケル心線の溶接棒と一緒に溶かし込む」と仰る方が居りましたが、そんな器用な事私には出来ません。

そんなこんなで、強度はともかく只付けば良しとしましょうか。

でもねエ〜、苦労して溶接したのだから1ヶ月はもってもらいたいですね。
(鋳物ロストルの具合)

2012.02.13
一寸した事なのですが、今までと同様に良く燃焼するようになった。

とりあえず一安心。
が、しかし...
2012.02.15 鋳物でも結局ダメだった。

この通り、たった2日で変形してボロボロになってしまった。

昔の人は「五右衛門風呂で竹燃すな」と言ったそうです。
竹は火力が強いのと燃焼ガスが強酸性のためらしい。
(ステンレス溶接) こうなったら錆びにくいステンレスを使うしかないでしょうね。
ステンレス溶接も難しいですが鋳物より楽かなア〜。

7mmφのステンレス棒が7本と5本の2種類を作ってみたが、右側の7本の方は熾きが詰まって燃え方が悪い、最終的に5本の方にした。
此方も2日間燃やしてみたが変形も無く、もろくなっていないので1ヶ月はもってくれるでしょう。

たかがロストルされどロストル、効率よく燃焼させるのってほんと難しいですね。
(タール抜き)

2012.02.18
タール抜きの穴をあけてなかったので、ロケット・ストーブ入口のエビ曲煙突がタールで塞がれてしまった。
凄い量のタールである。

私の肺も同じ、この際煙草をやめるべきだなア〜。
タールは多分ドロドロしているだろうから、詰らないように少し幅広のスリットにしておこうっと。

ディスクグラインダーで穴あけ、これでバッチリでしょう。
私の稼ぎは? 籾殻燻炭を買うとすると、50リッターで1,500円として計算。

1日3回焼いて約100リッターだから、1日の稼ぎは3,000円という事になりますね。
この寒い時期、エアコンを使わないで暖をとれるし消耗品はロストルだけ、電気代を換算すればいい稼ぎをしているではないでしょうか。