『モスキート』























で蚊い。







 いつもいつも、こんなレビューページでお暇を潰していただいてありがとうございます。
 今回もまた凄いです。
 例えば19世紀のパリ万博に、何を思ったか着物のねーちゃんを直接展示してしまった日本国政府。
 当時のパリっ子たちは、さぞドギモを抜かれたでしょう。

 それに匹敵する衝撃があなたを襲います。

 ここまでの奇跡は神様でないと起こせません。
 まずこのパッケージでKO間違いなしです。





「 で 蚊 い 」







あほ蚊。


ば蚊蚊。





 私が手に取らなければ、この映画は永久にワゴンの肥やしとなっていたでしょう。
 肥やしという言葉が似合います。
 今まで数々のうんこを埋め立ててきたこのレビューに、今回もまた新しい期待のうんこが生まれました。

 このキャッチ考えたの誰でしょうね。
 並みのセンスではありません。というか、家族の事を考えたらとても活字に出来ないレベルです。
 変な邦題や宣伝文句に、私は前から不満がありました。
 だから私はこう言いたい。






ブラボー!









お前最高だよ。





 よくこのキャッチコピーを通したな。
 お前の会社は無茶くちゃ自由な気風なんだな。
 こういう出会いがあるから、うんこ映画はやめられないんです。さあ今回も飛ばしますよ。

 では早速ストーリーです。



巨大吸血蚊大量発生!!



アメリカの国立公園の沼にエイリアンの宇宙船が不時着。

そこに繁殖していたボウフラは、

宇宙船に乗っていた異星人の血を吸って巨大化。



2メートルを超える
巨大吸血蚊と化した!




耳に残る羽音を轟かせ、

文字通り雲霞の如く涌いたモスキートは、

人類の血を一滴残さず吸い尽くす。



干乾び無残に死す人々。

果たして巨大蚊軍団との死闘の行方は…。








        ______
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相当な悪臭です。





 まず最初に問いたい。



 エイリアン何しに来たの。



 宇宙の彼方から地球に飛来したエイリアン。

 蚊に刺されに来たんでしょうか。

 ここまで色々ひどいと結構悲しくなります。
 宇宙船にベープマットは付いてなかったんでしょうか。
 せめてスキンガードが欲しかったと思います。
 野外活動のしおりに明記しておくべきでした。だって相当な野外ですよ。

 巨大生物パニックや「大群」パニックは、過去に多くの例があります。
 しかし両方一緒となると、実はけっこう希少なんですね。
 『スパイダー・パニック』とか『コモド』とか、どこをどう取ってもB級な映画にしか存在しません。
 その理由は簡単です。
 どっちかにしろよという事なんでしょうね。
 ソバとラーメン混ぜても普通は微妙になるもんです。

 なんかもう始まる前から微妙というのが証明されちゃいましたけど、ともかくDVDを挿入しましょう。



 唐突にSFです。
 宇宙を巨大な宇宙船が飛んでいます。
 ここからどうやって蚊につなげるのか不思議でしょうがないわけですが、きっとこれにエイリアンが乗ってるんでしょうね。
 そのまま襲った方が映画としては成功だったと思います。
 それだと単なるSFパニックになりますけど、そうした方がこれに乗ってるエイリアンも浮かばれたでしょう。きっと。

 すると唐突に宇宙船が子機を吐き出しましたよ。
 円盤状の小型艇が母船から分かれ、我らが青い地球に向かって降下して行きました。

 母船はそのまま宇宙の彼方へ…。





エイリアン出番終了。











SFが去ってうんこが来た。





 お前マジ何しに来たの。
 本気で蚊に刺されに来たんでしょうか。
 宇宙船なんか母船も小型艇も今後一切出ないしね。
 何のためのシーンだったのか、謎は深まるばかりです。

 大体ね。
 巨大生物パニックでしょ?


 なんで一回エイリアンを通すのよ。


 単なる隕石でいいじゃん。
 工場の垂れ流した排水とかでいいでしょ?
 蚊の巨大化の理由付けのために、一瞬たりとも顔の映らないエイリアンをわざわざ持って来る意味が分かりません。

 しかもこれ、エイリアンが意図的にやった行為ではありません。
 「地球を支配するために生物兵器を…」というパターンではなく。





勝手に墜落して勝手に蚊がその血を吸って勝手に巨大化したみたいです。







                /\___/ヽ
               /    ::::::::::::::::\
              . |  ,,-‐‐   ‐‐-、 .:::|
              |  、_(o)_,:  _(o)_, :::| うわぁ……
            .   |    ::<      .::|
               \  /( [三] )ヽ ::/
               /`ー‐--‐‐―´\







あほ蚊。





 奇跡のようなクソ映画です。
 これほどの凶悪な作品にめぐり会えた事を神に感謝するレベルです。
 もう設定からして崇高な香りさえ漂ってくるその感性。
 観ているだけで破傷風になりそうな予感がします。

 序盤からマックシングの『モスキート』。
 恐怖の時間はまだまだこれからです。



 まずは唐突に水着の姉ちゃんたちです。
 話が早くて良いですね(早すぎるだろ)。
 山奥のキャンプ地にて、ビーチバレーならぬ森林バレーを楽しんでいます。

 なぜ水着なのかは聞かないでください。
 森林浴という可能性もありますけれども天気は曇り。
 この明らかにおっぱい要員と分かる明快さが素敵です。

 ただし残念ですが、巨乳と呼べるのは一人もいません。
 かといって貧乳でもない普通の胸。
 「カローラおっぱい」と名付けました。

 そしてそれを遠くから見つめる目。
 残念ながら蚊でも何でもありません。





単なるテッド・デビアスです。







プロレスファン以外にはキツいネタですが。





 ミリオンダラー・マンがなぜここに。
 出演者を見ても名前が見当たらないんですけど、どう転んでもテッドです。
 以後もちろんテッドと呼びます。
 ヒゲの白人という事でこいつもやっぱりチャック類の一種なんですけど、こればっかりはテッドです。

 テッドが何しに出てきたかというと。


 双眼鏡でおっぱい覗いてハァハァしてる。



 …単なる覗きでした。



 ハンセンが見たら泣くでしょう。



 最強タッグの時のバイプレイヤーっぷりは死にました。
 これで監視員の役だそうです。



何を監視してるんだ。

(;´Д`)ハァハァ




 カローラおっぱいにはテッドを惹きつけるフェロモンが出ているようです。
 私だったらオナ禁2ヶ月やってもここまで自分を捨てられるか分かりません。
 やっぱりプロレスラーってすごいんですね。
 ベルトを狙うどころかベルトを外しかねない勢いです。

 ここでテッドが野性に帰ると大変面白かったのですが、残念ながらこの映画はクライマックス刑事ではありません。
 この後の大活躍に期待しながら画面は変わります。



 次に出てきたのはカップルですね。
 馬鹿っぽい男とカローラおっぱいの女。
 本気で巨乳は諦めた方が良さそうです。
 なにもこんな所までエコに目覚めなくてもいいと思います。

 カップルで森の中をドライブしてるんですけどね。
 酩酊したガッツ石松でも「ああ、こいつら死ぬな」と分かるシーン。
 初めてこの映画に優しさを感じました。



 さあ来ましたよ。
 そこに飛びかかる巨大な影!

 ついに登場!
 巨大吸血蚊モスキート!!
 車に向かって一直線だぁーっ!!





                  /⌒ヽ
           ⊂二二二( ^ω^)二⊃
                 |    /       ブーン
                  ( ヽノ
                  ノ>ノ 
              三  レレ









               \      ☆
                       |     ☆
                    (⌒ ⌒ヽ   /
              \  (´⌒  ⌒  ⌒ヾ   /
                ('⌒ ; ⌒   ::⌒  )
               (´     (゚∀゚)ノ   :: ) /
            ☆─ (´⌒;:    ::⌒`) :;  )
               (⌒::   ::     ::⌒ )
              / (    ゝ  ヾ 丶  ソ ─
                     BOM!







轢き殺されたし。










何しに来たの。





 初公開。

 登場して1秒で死ぬモンスター。

 これ、ギネスに申請していいんじゃないですか?
 ジャッキー映画のNG集かと思いましたよ。
 本気でこれを作ってるって言うんだから、うんこ映画の作成には脳みそすらも不必要なのかもしれません。

 カップルも妙に冷静だしね。
 男は悠長にラジエーターとか調べてるし。
 女は女で「研究所に持って行きましょうよ」とか言ってるし。
 お前それ身長2メートルの蚊だよ?
 パニック映画のくせに悲鳴のひとつも出ない映画です。
 まさしく今の私の気持ちです。


 どうしていいか分からないうちに、また場面が変わりました。
 最終バス逃したような無常感ですね。
 今度は何だか妙な3人組が現れまして、3人とも妙なアーミールックに身を包んでおります。
 ヒゲデブの爺さん、ヤク中みたいな兄ちゃん、そしてヤク中の上に酸素欠乏症みたいな兄ちゃんの3人です。

 今度こそエサでしょう。
 エサらしい馬鹿なムーヴに期待が高まります。
 何しろ人が死ぬ前にまずモンスターが死ぬという新機軸の映画ですから、どう期待して良いのか分からないのが実情です。

 すると動きがありましたよ。


 酸素欠乏症がうんこをしに行くようです。



 うんこ映画のうんこです。





おっぱいは水着のくせに
男のケツは生ケツです。











ぜんぜん重要じゃない事をお詫びいたします。





 そんな事は心からどーでもいいですね。
 重要なのはもちろん、このケツ男が巨大吸血蚊モスキートに殺られるという1点です。
 何しろ斬新な映画ですからね。
 エイリアンに続いて巨大蚊まで退場となると、私は私の中に眠るケモノを押さえる自信がありません。

 するとアナタ、ついに来ましたよ。
 便所の天井に張り付いてケツ男をじ〜っと見つめる巨大な蚊。


 お前はがんばり入道か。


 水木しげるもビックリの新展開です。
 盛大な悲鳴を上げて逃げるケツ男、駆けつけるデブ爺とヤク中。
 緊張感という点では浅草の花やしきに匹敵します。

 ここでいよいよ飛んでる蚊のアップが出るんですけど。




我が目を疑う特撮の酷さです。







レベル的には「昭和の」ゴジラシリーズで史上最低の興行収入を叩き出した、あの伝説のクソ映画『ゴジラ対メガロ』を超えるレベルです。








ゴム人形にチューブを付けた程度のおもちゃを「蚊」と言い張るのは無理があります。




こんなん。







合成技術は『デビルマン』を下回ります。





 例えば私の中の横綱映画、『肉喰怪獣キラーツリー』では、少なくともモンスターの造形はCGを使っていました。

 こいつはおもちゃに加えて「絵」です。

 画面から浮き上がるその違和感たるや、飛び出す絵本も裸足で逃げ出す素晴らしさ。
 アニメーションというのもおこがましい、まるで紙芝居を見ているようなノスタルジーが私の脳髄を揺さぶります。
 大変アツアツのうんこです。
 信じられない事ですが、この映画って1994年の作品なんですね。

 それを彩る出演者の皆さんがまた、毛が3本足りない方々ばかりで軽く泣きたくなります。
 例えば、ケツ男のピンチにアル中が登場するんですよ。
 銃で蚊を退治しようと。

 間違えてケツ男を撃っちゃうし。

 グダグダっぷりがもう学芸会ですね。
 それでもヒゲ爺がショットガンで蚊をやっつけるんですけど、これって変じゃないですか?



 未だに蚊が誰も殺してないんです。



 車に轢かれてショットガンで撃たれるために出てきたんでしょうかこの蚊は。

 ここまで書いても誰もモンスターに殺されておらず、逆にモンスターの方はもう2匹も殺されている。
 あまりに斬新すぎて市場価値が分かりません。
 キャンプ地には30人くらいの人間がいて、でっかい蚊に殺されるのを待っているんですよ?
 早くしないとバルサン焚いてしまいそうです。









本当に焚いちゃったし。





 すげぇなこの映画。
 監視員のテッド君、所長に言われてシュコシュコ煙をまき散らすんですよ。
 やっぱりお前はプロレスラーだよ。
 おかげでキャンプ場は夜のヒットスタジオみたいに濃ゆい煙だらけにされちゃいます。
 やりすぎだよテッド。
 このシュコシュコ機械が後になって重要な伏線になるかと思うと全然そんな事は無く、そして効果は一切ありません。

 それでもシュコシュコやり続けるテッドの姿に泣けてきます。
 一体どうしてこのシーンが必要なのかは分かりませんが。

 あと、黒人の学者が出てきます。
 登場人物だけは無駄に多いのが特徴です。
 ガイガーカウンターとか持って何やら森を調べています。
 すっかり忘れていた、エイリアンの宇宙船がらみの話でしょう。
 このガイガーカウンターが後半、実は彼らの命を救うかというと全然役に立たないままで終了します。



 どうにかしてくれ…・゚・(つД`)・゚・



「ジオンとの戦いがまだまだ困難を極めるという時に…」



「我々は、貴重な時間を続々と失って行く…」





「…寒い映画だと思わんか?」






その通り。





 ワッケインさんの悲しみが胸を打ちます。
 少しは血を吸え蚊。
 こういう映画でモンスター側を応援するのも何ですけど、肝心の蚊がいつまで経ってもモンスターというより単なるアトラクションになっているのが辛いのですよ。
 しかもこのアトラクション、クリアするのがけっこう楽なんです。

 このまま平和に終われば国宝認定する所でしたけど、さすがに来ましたね。
 犠牲者は、ボートに乗った二人の釣り人です。
 この映画のキャッチコピーと同じくらいの寒いギャグで大笑いしてます。
 こういう愛すべき馬鹿が殺されるのは忍びないですが、生物パニック映画界の不問律として死ぬのは馬鹿からと相場が決まっております。
 さあ派手に散ってくれい。

 (結構グロシーン来ました)

 …何ですかこれ?
 蚊の腹部のアップですか?

 わざわざ血を吸ってる所が見えるんですか?



 なぜかこの蚊、おなかが透明なんですよ。



 そしてその腹の中に、赤い風船が入ってるんです。



 血を吸えば。



おなかの風船だってPu〜!っと
膨らんじゃうんだぞう。











ちんこの先をアロンアルファで
固めたような風情ですね。





 ちなみにこの蚊、血を吸う管まで透明です。
 チューチュー吸ってる所を外からしっかり見えるように、との配慮でしょうか。

 そんな配慮はいらないしそんな局部アップも必要ありません。

 何その無駄な親切設計。
 エイリアンの血を吸うだけで、短時間で300倍くらい巨大化するわ皮膚はクリアーになるわで大変ですよ。

 さらにその上、この蚊。





鳴くんです。







「羽根をこすり合わせる」とかじゃなくて。







鳴き声をあげるんです。






   /::://:::! /-=、 ,// u / _,,.-ゝ. 「ヽ l    ! , l 無駄な局部アップ・・・
  /::_;イ-‐=レ'==ミ"   '∠-==ヽl=ヽlヽ  レ'レV
/::::::::..、   o   ,≡:::::::〈、  o   ,  :|│ リ '  そして・・・鳴く・・・っ!
::::::::::::::::: ` ー--‐ '´三 :::::::::ヽ`::ー-‐:'.´   |│ l
:::::::::::::::    ニニ  ::::::::::::::ヽ::::::::: U  |│ !   この二つが意味するものは
:::::::::::::::U  ̄ ̄   U::::::::::::::::ヽ::: u   |│ .l
::::::::::::::::   U    r‐:::::::::::::::::::::ヽ.    Lノ  |      ひとつ・・・!








                     人
                   ノ⌒ 丿
                _/   ::(
               /     :::::::\
               (     :::::::;;;;;;;)
               \_―― ̄ ̄::::::::::\
               ノ ̄     ::::::::::::::::::::::)
              (     ::::::::::::::;;;;;;;;;;;;人
             / ̄――――― ̄ ̄::::::::\
            (        :::::::::::::::::::::::::::::::::)
            \__::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ





泣きたいのはこっちです。





 ここまで小気味よく常識をぶっ壊してくれれば本望です。
 うんこ映画を買った甲斐がありましたよ。
 今まで様々なB級うんこ映画を観てきましたが、ここらで少し「うんこ科学の法則」をまとめてみましょう。




■うんこの法則■


      ・塩素をかぶると目が治る。
      ・ジェイソンは水に弱い。
      ・成人式は人の家でやっちゃ駄目。
      ・サイボーグはカンフーで戦う。
      ・タイムトラベルには宇宙船。
      ・恐竜は小さい。
      ・猫はもっと小さい。
      ・95%くらい吸われても大丈夫。
      ・医者は血液型を知らない。
      ・ゾンビがくるりと輪を書いた。
      ・木には目がある。
      ・木は鈴の音に反応する。
      ・ボアは江頭。
      ・パイソンも江頭。
      ・重要参考人とセックスできる。
      ・マンタは出ない。
      ・ターミネーターはすじこで動く。
      ・ヒルは鍋つかみ。
      ・テラノドンは銃より強い。
  NEW ! ・エイリアンの血を吸えば約300倍に
       巨大化してクリアボディになって鳴く。




NEW ! じゃねぇから。



 分かった、もう分かりましたよ。
 一度も出てきてないエイリアンの血を飲めば、たかが蚊ですら驚異の変貌を遂げたのです。


 こっちも飲めば勝てんじゃね?


 そういう事で計算してみました。
 おなじみ「もしも」のコーナー(なじんで無いよ)。

 もしもテッドが、エイリアンの血を飲んだら?




※飲用後のテッドのデータ※


■身長■

585メートル

■体重■

34500キロ

■得意技■

コブラクラッチ

■タイトル■

UNヘビー級王座






で蚊い。



 このレビューは一体どこへ向かってるのでしょう。
 だんだん不安になってきました。
 無理やり考査など入れつつ、最後まで頑張りたいと思います。

 この映画の駄目な所はまあ、海水における水分くらいに多いわけですけど(100%ですけど)、はっきりと言えるポイントはここでしょう。

 「なぜ入れたのか分からんシーンが多い」

 冒頭の宇宙船に始まり、森林バレー、テッドと所長の絡み、バルサン撒くシーン、ガイガーカウンター、釣り人を襲う明らかに作り物の巨大な魚。
 です。誤字ではありません。
 それも一瞬しか出ませんし、伏線でも何でもありません。

 まだまだありますが、序盤ですでにこれだけ出てます。
 しかもそれが何の役にも立ってません。
 作品ぐるみで「何しに来たの?」と言いたくなるネタがてんこ盛りなんですよ。

 おそらくは脚本の力不足と、もっとありそうなのは子供の学芸会のノリなんですよね。
 ほら、仲間同士で練習してる時は目茶くちゃ面白く感じたギャグでも、舞台に上がったら誰も笑ってくれない…みたいな感覚。
 その場のノリはその場にいないと通用しないんですよ。

 そういう、雰囲気だけを何個も何個も詰め込んでしまった可哀想な作品が、この『モスキート』なんじゃないかと思えます。
 仲間内での試写会は最高にウケたでしょうね。
 ただし、それを勘違いして「ああ、俺って天才だな。これは絶対ウケるぞ〜」と思ってしまったのが敗因かもしれません。

 色々と詰め込みたくなる気持ちも分かるんですけどね。






映画の話ですよ?





 これ以上アレしても墓穴を掘るばっかりなので、とっととレビューの続きを書きましょうね。
 駆け足で行きますよ。

 やっと蚊が人を殺してくれましたけど、もちろんそれで終わりません。
 次なるターゲットはやっと出ましたセックス中のバカップル。
 さっき上で書いた、いきなり蚊を轢き殺したカップルではありません。
 死ぬためだけに出てきたカップルです。

 さあ、テントの中でハッスルタイムです。


 もちろん全裸です。



 しかし胸はカローラです。



 いや、貧乳だからパッソでしょうか。
 そんな事はどーでもいいですが、男のケツはもっとどーでもいいですね。

 とりあえず一回戦を戦い終えた後、男はオシッコしに外へ。
 入れ替わりで現れたのは昆虫界の田代まさしこと2メートルの蚊です。

 さあ、全裸のおケツに襲いかかりますよ。
 触角みたいな変な器官が、股やおケツをサワサワと…。





 この光沢、まさに作り物。





こんなん。




 しかし一体どういうプレイなんでしょうね。
 きっとADとかが鼻の下伸ばして作り物の触角動かしてたんでしょうね。
 私だったらワザとNG出して20テイクくらい攻めてしまいそうです。
 田舎に帰る羽目になりそうですけども。

 だが触角は甘くない。
 狙いすまして例の吸血管を一気におケツにぶっ刺します。



 おケツにぶっ刺します。



 大事な事なので2回言いました。




 さあ、ここからが蚊のターン。
 おなか透明ってだけでも凄いのに、吸えば吸うほどなぜか被害者の目玉が飛び出すんです。
 仕組みがよく分かりません。
 中には飛び出した後にスポ〜ンと弾ける愉快なクラッカー目玉も。
 人体にはまだまだ神秘が隠されているようです。

 その後、ガイガーカウンターの黒人と蚊を轢き殺したカップル(ボニー&クライドと呼びます)が知り合い、やっとマクリに入りますよ。
 さっきの釣り人の死体を発見し、監視員の施設に知らせに行きます。
 (ボニーはどうやら後任の監視員らしいのですが、その設定は何の役にも立っていないので無視して良いです)。

 そしてキャンプ場に行けば。



宿泊客全員がすでに死んでいる…。







現場は見渡す限りの死体の山。







顔はすっかり干からびているのに。







体はピチピチの死体が。






 いや〜、予算って大事ですなあ(笑)。
 本当は蚊の大群による30人斬りアクションを期待したかった所ですけど、そこはクライマックスを待ちましょう。
 それよりほとんど出番も無く、森林バレーだけやって後は死体役ってのも悲しい現実ですね。
 一体何しに出てきたんでしょう。

 きっと蚊の恐ろしさの演出のためだけに死んだんですね。
 今さら遅いと思います。

 ここでボニーとクライド&黒人はテッドと合流、キャンピングカーで決死の逃亡を計ります。
 途中、アーミールックのヒゲ爺とヤク中も乗り込んだりして、すったもんだの逃避行という小橋の逆水平みたいな伝統のパターンになります。
 それが良いのですよ。
 怖い映画において、伝統とはイコール王道です。
 受け身のできない新人が大技やっても危険なだけです。
 どうして私は一回プロレスを通すのでしょう。


 この逃避行も当然バンバン襲撃されますよ。
 長くなっちゃったんでハショりますけど、結局は山奥の小屋に篭城する事になります(ああ王道)。
 しかしデブの多い映画です。
 お前少し吸われた方がいいよ的な体型ばっかりです。
 どーでもいいですけど。

 バリケードが何の役にも立たないというスタンダードな展開の末、最終決戦が待っています。

 そう、最終決戦です。
 小屋の地下にはなんと、無数の蚊の卵が生み付けられていて…。







まんまやん。





 そんな所まで王道を守らんでいいとも思いますが、実はひとつだけ王道以外のオリジナルが存在します。
 かの『エイリアン2』にも無かったパターンです。
 それは。





クイーンなど出ぬ。







    r、r.r 、i.    /          ̄l 7     なんだってー
  r |_,|_,|_,| ,!ヘ. / ‐- 、._   u    |/
  |_,|_,|_,|/ |〃、!ミ:   -─ゝ、    __ .l                なんだってー
  |_,|_,|_人 (^i;    L(.:)_ `ー'"〈:)_,` /     なんだってー
  | )   ヽノ゙i u       ´    ヽ  !
  |  `".`´ :!             ,,..ゝ!             なんだってー
  人  入_ノ 、    r'´~`''‐、  / \   \ \ メ / )`) )
/  \_/\:ヽ   `ー─ ' /   \\ . \ メ ////ノ
      /   ヽ、:..、  ~" //   ヽヽ メ /ノ )´`´/彡
     /      ` ー┬─ '"´     i i  /   ノゝ /      なんだってー
    /          |      Y  | |/| 、_,,ィ '__/,;'"´``';,._
    /  y         |      ヽ_/  \ _/  |ニニニニ| 





 考えてみたら当たり前なんですけど、ここまで行ったらぜひ出して欲しかったですね。
 その場合は何と呼べばいいんでしょうね。女王蚊でしょうか。

 なおかつボウフラをいれずに突然成虫になるという力技。

 今まで私が信じてきたのは一体何だったのか。

 いや〜長々と書いちゃいましたけども、やっぱうんこ映画って最高ですね。
 オチはひとまず伏せさせていただきます。

 死んだの? 生きてるの? 放置? みたいなキツい角度の落とし方で終わる点も、やっぱり王道と言えるかもしれません(うんこの)。
 この映画で言いたい事はまだまだいっぱいあるんですが、こんな阿呆な映画を大真面目に演じている役者さんは本当に素敵だと思います。
 それがうんこ映画の真髄です。
 褒めてるんですよ。マジに。

 特にヒゲ爺役のガンナー・ハンセンですけど、この人はかの有名B級ホラー『悪魔のいけにえ』の主役、レザーフェイスの中の人なんですって。
 意外な事実でしたよ。
 映画界の佐山サトルです。
 ぼくらのタイガーマスクとレザーフェイスを一緒にするのも何ですけれど、特にデブな所がそっくりだと思います。

 …さすがに消されるかもしれない(笑)。

 クライマックス付近でのヒゲ爺の活躍もね。
 オールドファンには嬉しいシーンで。



「こいつを持つのは20年ぶりだぜ」







その手にはチェーンソーが。




カッコいいなあ。





 逆に言うと、この映画での見どころは単勝ここ1点です。
 『悪魔のいけにえ』を知らない世代の方はどうでしょう?
 どうにもならない気がします。

 どうせだったらレザーフェイス対テッド・デビアスが見たいと思った私は少々マラリア気味でした。
 ともあれ、我がサイトに新しいうんこが刻まれたのは非常に喜ばしい。

 皆さんにもご忠告いたします。
 お金を払って観る事は可能な限り避けましょう。
 かといって、テレビ放映はほぼ絶望的な状況下にあります。
 動画サイトで見かけ、なおかつ全然やる事が無い都会のジプシーたちにだけ、この映画を捧げます。

 それでは最後に。









き蚊い。









は蚊い。









さ蚊い。









蚊っ蚊。






…大変失礼をば致しました(笑)。






『MOSQUITO』1994:アメリカ

製作総指揮:アンドレ・ブレイ
監督、脚本:ゲイリー・ジョーンズ
脚本:スティーヴ・ホッジ、トム・チャニー
出演:ガンナー・ハンセン(ヒゲ爺)
    ロン・アシュトン
    スティーヴ・ディクソン
    レイチェル・ロイセル(ボニー)



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