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 大満足のうちにビートルズ・ツアーを終え、I君と2人になった。時間は昼の1:00ころで2人ともお腹が空いている。ピカデリー・サーカス近くの日本食レストランで一緒に寿司を食べてから、ナショナル・ギャラリーへ向かった。I君がゴッホの「ひまわり」を見たいと言う。オレは2日目のロンドン市内観光で1度見ていたが、あのときはツアーの途中で時間がなくゆっくり見られなかったので同意した。「ひまわり」の前では小学生と思われる生徒20人近くが、先生の講義を聴いている。イギリスの小学生は、「ひまわり」を前にして授業を受けられるのだからたいしたもんだと思った。ロンドン市内観光のときも思ったが、写真は撮れないし、めったに見られるものではないので、しっかりと目に焼き付けておいた。そのあとゆっくりナショナル・ギャラリー内を見て廻ったが、やっぱりどれも凄かった。この中のどれかひとつでも日本にくれば、特別○○展≠ニかいって大騒ぎになるのだろう。これだけ凄い絵ばかりだと美術鑑賞も楽しかった。外に出ると陽射しが暑く真夏のようだ。ペットボトルのジュースで喉を潤しながら、ウェスト・ミンスター寺院へ向かう。2人とも疲れていたので、芝生に寝転んで休憩だ。帰国前に見たい観光スポットがまだあった。ひとつはホース・ガースだ。ホース・ガースとは近衛騎兵隊司令部のことで、馬にまたがり凛々しい制服を身にまとった衛兵が1時間交代で警備に当たっている。その5分ほどの交代の儀式が、観光客のお目当てだった。これはバッキンガム宮殿でも行われているのだが、宮殿敷地内で交代式を見るには最低でも1時間以上前に鉄柵にへばりついていなければ無理らしい。I君も見たいと言うのでホワイト・ホールに向かった。ここウエストミンスター周辺は、日本でいえば霞ヶ関周辺で、バッキンガム宮殿、国会議事堂、首相官邸、外務省、厚生省、国防省などが建ち並んでいる。ホース・ガースはやはり人気の観光スポットだったが、バッキンガム宮殿ほど人が集まっていないし近くで見られた。5、6才の女の子が馬の鼻っ面を撫でたりしている。やがて交代式が始まった。20才そこそこの衛兵たちが上官の掛け声とともに、一糸乱れぬ姿でする交代の儀式は見ていて気持ちがよかった。そのままホース・ガースを通り抜け、セント・ジェイムズ・パークを横切り、アドミラルティ・アーチまでやってきた。これを戻るようにまっすぐ行けば、バッキンガム宮殿に突き当たる。オレはこのあとナイツブリッジにあるハロッズに行く予定だったが、I君も他に行きたいところがあるみたいなので、トラファルガー広場に出たところでお別れだった。ビートルズ・ファンのI君も、明日1人でリバプールへ行くみたいだ、ぜひとも楽しんできてほしい。オレはまたピカデリー・ラインに乗ってハロッズに向かった。

   

   

        観光スポットの定番、ホースガース!

   

      アドミラルティ・アーチ!         ユニオンジャック!

 ガイドブックによると、ハロッズは駅の近くにあるらしいのだが、実はここで恥をかいている。ナイツブリッジ駅で降り、地下道から地上に出てハロッズがどこか探してみる。20m〜30m、ビル沿いに歩いたところで、ツナギを着て歩道をホウキで掃除していた若い男性に聞いてみた。「ハロッズはどこですか?」 彼はニヤリと笑いながら両手を掲げて空を見上げ、「Where is Harrods ?」 ・・・何と目の前にはハロッズがあった。ビル沿いに歩いてきたその建物がハロッズで、マヌケなオレはハロッズの前で聞いていたのだ。笑ってごまかすしかなかったが、今でもあのイギリス人男性の呆れた顔が忘れられない。

 ハロッズは創業150年を誇るイギリスの高級デパートで、ロンドンの上流階級婦人御用達のデパートとして有名だ。著名人、有名人も数多く来店していて、ビートルズも昔、ここで買い物をしている。また1997年8月に、あのダイアナ元王妃がフランスで交通事故で亡くなったとき、同乗していて一緒に亡くなったボーイフレンドが、ここハロッズの御曹司だったことでも有名だ。エントランスを入ったところには2人のフォトスタンド・コーナーが設けられており、買い物客はみんな足を止めて見入っていた。2人が亡くなった当初ハロッズ側は、「政府の陰謀で息子を殺された!」 と対立していたが、最近になって和解してきたみたいでこういうコーナーも設けられたみたいだ。店内に入るとあちらこちらに警備員が立っていた。オレはジャケットを着てディリーバッグをワンショルダーで掛けていたのだが、警備員に注意されてしまった。「肩にかけないで、手で持って歩いてください。」 と。さすがに高級デパート、店内を歩くのにも品格が必要だった。ガイドブックで見覚えのあるエスカレーターで最上階まで上がって行った。別に買いたいものはないがウィンドー・ショッピングをしてみる。やはりどの売り場も整然としていて小綺麗。置いてあるものも値段も、他で見るものより、ワンランクもツーランクも上だった。このハロッズではもうひとつ目的があって、それはここのトイレを利用することだった。日本にいるときハロッズに来たことのある友人に、「ハロッズのトイレの前には警備員がいて、利用するのにはチップが必要!でもチップを払うわりには、そんなに綺麗じゃなかった!」 と聞いていたので、ぜひともこの目で確かめたかった。さっそくトイレへ行ってみる。トイレの前には確かに警備員がいたが、チップは取られなかった。そして中はとても綺麗でゴージャス、ハンドウォッシュのところにはヘア・トニックやオード・トワレなどが数種類置いてある。自由に使ってかまわないみたいだ。友人が来たころとは変わったのか?階段で降りながら各階を見て廻り、1階まで降りてきた。1階にはレストランやカフェ、高級スーパーが並んでいて、日本の寿司屋も出店していた。お土産にハロッズの紅茶を買ったあと、カフェを見つけたので入ることにした。コーヒーを飲みながら、あと数時間で日本に帰国かと思うと、自然と心地よい疲れが出てきた。なかなか充実したツアーだったと思う。美味しいコーヒーをもう一杯おかわりして、イギリスの旅を終えた。

   

イギリスが世界に誇る高級デパート、ハロッズ!ここの御曹司がダイアナ
妃のボーイフレンドだった!

    

創業150年を誇るハロッズは観光名所にもなっていて、ロンドンの上流
奥様御用達のデパートとしても名高い!

   

 ハロッズのカフェでコーヒーを飲んで、今回のイギリスツアーを終えた!




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