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 ガイドのあとについてロンドン・ソーホーの夜を歩いている。ブロードウィック・ストリートに出たとき、見覚えのある鉄柵が見えたのでオレは思わず、「これだっ!」 と叫びながらガイドを追い越して駆け寄った。それは地下に降りて行く、なんてことのない公衆トイレなのだが、オレにとってはただのトイレではなかった。ジョン・レノンが、コメディ番組 「ノット・オンリー・・・バット・オールソー」 (1966年11月27日収録、12月26日BBCで放送) のコントに出演したとき、撮影したのはこの場所だった。ジョンはもともと目が悪かったのだが、このとき初めてあの丸メガネをマスコミに公開している。ガイドも他のツアー客も、オレがあまりにビートルズに詳しいので、ビックリしながらも呆れていた。

   

     ソーホーのトイレの前で、ジョンと同じポーズで撮ってみました!

 そのブロードウィック・ストリートの終わりのところで、ガイドが立ち止まって説明を始めた。ここから先のエリアは風俗街らしく、イギリスのサッチャー前首相(イギリス初の女性首相)が、「どうせ規制したってなくならないのだから、(営業しても)かまわない。ただしあちらこちらにあると外国人にみっともないから、一ヶ所に集めなさい。」 と言って、このエリアだけに許されているみたいだ。そのエリアを抜けて行く途中には、工事中ではあったが、日本の商社が接待によく使うと評判のストリップ劇場があった。その路地を抜け、ある店の前でまたガイドが説明を始める。ガイドは店の前にあるレインボー・フラッグを指差しながら、「この旗はどういう意味だか、わかる人はいますか?」 と聞く。誰も分からなかったが、この旗を掲げてあるお店は “ゲイ(同性愛者)、歓迎!” という意味らしい。そしてガイドがとんでもないことを言い出した。「ここから先はゲイバーが多いエリアでゲイたちが多いのですが、彼ら(イギリスのゲイたち)は日本語の “オカマ” という意味を理解しています。ですから私が説明するとき、“ゲイ” とか “オカマ” という言葉を使うわけにはいきませんので、彼らのことを “トオルさん” と呼んで説明することにします。」 「んっ・・・ちょっと待ったぁ〜、ガイドさん!それは勘弁してもらえませんか〜?オレの名前、“トオル”っていうんですよ!」 みんなは爆笑だったが、オレとしては冗談じゃなかった。ガイドが苦笑いしながら、「わかりました、それでは “タローさん” にします。」 と、とってつけたように訂正した。「あのお店は、“ジャニーズ系のタローさん” が集まるお店です。」 「このお店は “マッチョ系のタローさん” のお店・・・ちなみにお店の前に集まっているのはみんな、“タローさん” だから、あんまりジロジロ見ていると勘違いされますよ。」 オレは視線を合わせないように、シャッターを切った。このあと、あのモーツァルトが住んでいたというビルを通り、ブロードウェイに出たところで解散した。約3時間ほどのツアーだったが、普段出来ない体験をしたみたいでとても面白かった。

   

 このレインボーフラッグが、“ゲイ歓迎!” を示す旗!右は、政府公認の風俗
 ビル!赤いライトが点いている部屋は、お姉さんたちが、“お仕事中!”らしい!


   

左は “ジャニーズ系”、右は “マッチョ系” のゲイバー!右の写真、お店の前に
集まっているのは、みんな “タローさん” たち!

   

ここにモーツァルトが住んでいた!   ロンドンのブロードウェイ!




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