102番道路〜コトキタウンからトウカシティまで @


シズクは、モモンの実を1つ取り出して、木が生えていたところに埋めた。

 「モモンの実って毒消しを作れるのよね。ジュースも美味しいし」

もう一方の木に向かう。

 「こっちは、オレンの木ね」

オレンの実が2個できている。
シズクは、モモンの時と同じように実を2個取ってから、その1つを埋め戻した。

 「オレンの実からは、キズぐすりが作れるのよね」

シズクはスクールにいた時、木の実から薬を作る勉強をしたので、この辺のことについてはとても詳しい。
ルーラが、しきりにオレンの実を持つシズクの手に鼻づらをくっつけてくる。

 「どうしたの、これが欲しいの? ……でも、ダメよ。これは大切なものなんだから」

シズクはオレンの実をポケットにしまうと、ルーラを連れて元の場所まで戻った。
今度は、左の方の道をたどる。

すると、目の前を変わったポケモンが横切っていくのに出会った。
水滴のような青い体から伸びている、細くて長い足は4本。頭には、ヘタのようにも帽子のようにも見える黄色い部分がある。
可愛いのか、不気味なのか、境が微妙なところのポケモンだ。

 「アメタマ……ルーラ、『たいあたり』」

図鑑を確認したシズクは、既に戦闘態勢をとっていたルーラに、いきなり指示を出した。
しかしアメタマは、ルーラの攻撃をかわした。
その動きは、ルーラよりもずっと素早い。
すいーっと動いては、『あわ』の攻撃を繰り出してくる。
ルーラはアメタマの攻撃を、避けるだけで精一杯だ。

 「ルーラ、草むらに入って」

シズクは、アメタマを草むらに誘い込む事にした。
アメタマの細い足に草が絡まって、極端にスピードが落ちる。

 「今よ、『たいあたり』」

ルーラの攻撃が決まった。
アメタマがふらふらしている。
シズクは、モンスターボールを投げた。
ボールは、アメタマにぶつかって、2つに割れるとアメタマを取り込む。
そのまま下に落ちたモンスターボールは、しばらく動いていたが、やがて草むらで見えなくなった。

 「ルーラ、ボールを捜して」

シズクは、ルーラと一緒にボールを捜したが、今度もボールは見つからない。

 「…やっぱりこの102番道路には、何かヒミツが有るのよ。そうでなければ、誰かがあたしに意地悪しているんだわ」

シズクは、見えない誰かをにらみつけた。しかし、何も起こらなかった。

 「とにかく、急がなくっちゃ」

シズクは、歩き出した。


うーん、お久しぶりです。^^;

ここのところ、ポケモンプラチナとか、エメラルド&リーフとか、一所懸命やっていたので、続きを出すモチベーションが上がりました(笑)
ずっと、ご機嫌斜めのシズクも、今回は気分転換して元気そうですしね。^^


案内板がある。


 ここは 102ばん どうろ 
  ← トウカシティ 
 

 「こっちでいいのね」

シズクは、ルーラを連れて先を急いだ。
しばらく行くと、南側にわき道がある。見るからに細い間道で、こちらがトウカシティに続いているとは思えない。
しかしシズクは、わき道に入ってみることにした。

 「なんか気になるのよね…」

でも、少し行ったところで道は行き止まりになっていた。

 「なーんだ、やっぱり何も無いのね」

問答無用のトレーナーや、いきなり飛びかかってくる野生ポケモンに慣れて来たのか、
何も無ければ無いで、少し残念そうなシズクである。

 「でも、静かなところね。ここならきっと誰にも邪魔されないわ。休憩にしましょ」

シズクは、草むらに腰を下ろして、ポケモンセンターから持ってきたモモンジュースを飲んだ。

 「ルーラ、あなたもなめてみる?」

水筒のふたにジュースを注いで口の前に持っていくと、ルーラは、ひとしきり匂いを嗅いでいたが、飲みだした。
どうやら味を気に入ったらしい。

シズクは、草むらに寝転んだ。青い空に白い雲が流れていく。
柔らかい草の葉が、風に揺られて頬に当たる。

 「………うーん、気持ちいい」

腕を伸ばして思い切り伸びをすると、指先に当たるものがある。

 「あら、何かしら」

シズクは、草むらの中に落ちていたものを拾いあげた。

 「これは、キズぐすりだわ。どうしてこんなところに落ちているのかしら」

シズクは、キズぐすりを見つけた。
誰かの落とし物ではないかと辺りを見回してみたが、自分たちの他には誰もいない。

 「落ちていたアイテムは使ってもいいはずね。でも、ポケモン協会があちこちにばらまいているってことはないわよね。
  ………やっぱり、誰かの落とし物なのかしら」

シズクは、キズぐすりを道具ポケットにしまった。

 「さて、じゅうぶん休んだことだし、ルーラ、出発するわよ」

呼ばれたルーラが寄ってきて、何かをシズクに押し付ける。

 「えっ、なにこれ!? どうしたの?」

それは、いいキズぐすりだった。ジュースのお礼、とでも言いたいのだろうか。

 「あなたも拾ったの? あたしにくれるのね。ありがとう」

頭と首筋をなでられたルーラは、とても嬉しそうである。
誉められて気を良くしたのか、その後も時々かいふくのくすり、ふしぎなアメ、なんでもなおし等、色々なものを拾ってきた。