作品名 | フライイング |
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さくひんめい | ふらいいんぐ |
初出誌 | 新潮[1] |
初出号数 | 1962年9月号[1] |
文庫/全集 | 巻 | 文庫本名/副題 |
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新潮文庫 | - | 道・ローマの宿 |
井上靖小説全集 | 18 | 朱い門・ローマの宿 |
井上靖全集 | 6 | 短篇6 |
おなまえ | 日付 | ちょっと一言 |
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指月紀美子さん | 2004.08.07 | 井上作品の魅力はジャンルによって様々なものがありますが、この「道・ローマの宿」に収められているような現代小説の短編には独特の雰囲気と魅力があり、かなり私は好きです。 中でも「フライイング」は、初めて読んだ時から強烈な印象を持ちました。当時中学生だった私に、短編小説とはこうあるべき、と思わせた作品です。 ローマ・オリンピックの取材に来ていた主人公の中年男性は、そのローマで偶然、旧友の高枝と出会います。高枝は、ハーミンという西洋人の夫人を山の事故で亡くしたばかりでした。一方、オリンピックの陸上競技では、好記録を期待されていた100メートル走のハリーが、フライイングを取られるというハプニングが起こります。人間の目には見えないくらいの短い時間のうちに起こることは、誰に本当に認識できるのか。高枝は、そのことで一番苦しんでいるのはハリー自身だと言うのです。ハーミンが山で足を滑らせた時、彼女の不倫を疑っていた高枝の中に「手を出すことを妨げる気持の閃きはなかったか」どうか、彼自身が今でも苦しみ続けているのと同じように。 スポーツに取材して、これほどまでに人間心理を深く突いた作品が書ける方は、井上靖をおいて他にはいないのではないでしょうか。。 |
おなまえ | 記事No. 日付 |
書き込みから |
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リンゴ・スターさん | [1286] 2004/09/04 |
「フライング」 を読み返してみました。うーん、私には指月さんのように深くは読めませんでした。なにか「氷壁」に登場する男女関係を想像しました。それとは別に 「ハリー」がフライングのことで他の人には想像できない心理的な葛藤を抱いている・・・。 結果的に私にはよくわかりませんでした。気が向いたらもう一度読んでみたい と思います。 |
[1] 井上靖ノート