断雲

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作品情報

作品名 断雲
さくひんめい だんうん
初出誌 小説公園[1]
初出号数 1950年6月号[1]

収録状況

文庫/全集 文庫本名/副題
文春文庫 - 貧血と花と爆弾
井上靖小説全集 3 比良のシャクナゲ・霧の道
井上靖全集 2 短篇2

作品紹介

時代 昭和(戦時中)
舞台 大阪府、兵庫県(赤穂)、鳥取県(福栄村・日南町)
あらすじ

新聞社で記者を務める多木は、三日前に家族を鳥取の高原にある村に疎開させ、大阪で一人暮らしをしていた。多木が取材で赤穂に発つ前日の夜、妻の妹、いつ子が家を訪ねてくる。いつ子は絵の勉強をしに大阪に来ていたが、郷里に帰ろうかという話だった。多木は、疎開先を探すためにいつ子と出掛けた時のある会話以来、いつ子に対して、密かに妹として以上の感情を持つようになっていた。

作品について

当時の井上靖は毎日新聞社で記者をしており、実際に昭和26年6月には家族を鳥取県の上石見福栄村(現・日南町福神)に疎開させて、茨木で一人暮らしをしていた。『断雲』は、当時の新聞記者生活時代を土台に描かれている。[5]

現在、鳥取県日南町には井上靖記念館「野分の館」があり、井上靖の文学碑・記念碑も建てられている。

関連作品

作品名 関連
通夜の客 『断雲』では多木が家族を鳥取県の福栄村に家族を疎開させているが、『通夜の客』は福栄村が舞台となっている。ただし、作品的な関連は無い。
三ちゃんと鳩 『断雲』では鳩係りの芳さんが登場し伝書鳩を飛ばすシーンが描かれているが、『三ちゃんと鳩』にも、この芳さんという人物が出てくる。[5]
人生 (詩) 『断雲』の中では義妹のいつ子が多木に愛情をほのめかすシーンが出てくるが、これは詩『人生』の中でも同じくモチーフとして歌われている。[5]
高原 (詩) 『断雲』で、家族を疎開させた多木が、三匹の子猫を隠した雌猫と自分を重ねるシーンが出てくるが、これは同様に詩『高原』でも歌われている。[5]

サイト内関連ページ

井上文学碑福栄小学校の記念碑 戦時中、井上靖は家族を鳥取県福栄村(現・日南町)に疎開させていた。長女も短期間だが、この小学校に通っていた。
井上文学碑鳥取日南町の碑 福栄村がよく見渡せる太田峠に建てられている碑。
井上文学碑「野分の館」の碑 上記の日南町の碑がある峠に建てられた「野分の館」の敷地内にある。

参考

[1] 井上靖ノート

[5] 文春文庫『貧血と花と爆弾』〜解説(福田宏年)

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