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上村松篁
満月
角川書店 角川文庫
初版発行 1975年8月1日発行
解説 奥野健男
頁数 279
収録作品数 8
「社長、社長の球は受けにくかったですな。──ちょっと、あれだけ速い球はない」 郷里の後輩貝原の言葉に、影林は、はっとした。事業不振を理由に株主総会で社長の席からの引退を強要され、重役会で退陣の決意を発表した彼にとって、今、学生時代に野球の球が速かったと言われることが、残された、ただ一つの栄光であった。影林は、一人車から地面に降り立った。明日満月という月の白い光を浴びて、投球のモーションをつける彼の老いた姿には幽鬼のような鬼気があった。 表題作「満月」ほか、珠玉の名品7編を収める。
備考
 
収録作品 初出年 情報 紹介 感想
1 満月 1958年 有    
2 舞台 1951年 有    
3 考える人 1961年 有    
4 初代権兵衛 1955年 有    
5 胡桃林 1954年 有 有  
6 碧落 1955年 有    
7 チャンピオン 1954年 有   有
8 頭蓋のある部屋 1952年 有    
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