4.まとめ
☆ヘルメス主義の意義
<ヘルメス主義的考え方>
@想像力をはばたかせること←万物照応の実践
A世界と自分が一体であると考えること←全存在の秩序連関(⇔グノーシス主義)
Bしたがって、個としての特徴を維持しつつ(@)、他の存在とのバランスもとる(A)ということに…
↓
世界をそして自分を肯定し、しかもバランスを重んじる考え方
→現代にも通ずる
†
ヘルメス主義は、考えただけでは実現困難なことを述べているように見えますが、案外私たちが日常的にもしくは無意識的におこなっている、ささいな事柄について述べているのかもしれません。
ミクロコスモスとマクロコスモスという、一見対立する存在に照応を見出すということは、社会と個人との不調和を回復する比喩として捉えることもできますし、バランスを欠いたわれわれの心身にバランスを回復させることへの比喩とも捉えられます。自らに固有の想像力を押さえつけたならば、ヘルメスの象徴である羽をもぐことになります。しかるに想像の世界だけで生きる人間は世界と切り離され、バランスを欠くことになります。
きっと古代の賢人たちは、そうした不調和を嫌悪する人間的な感覚から、種々の思想を展開していったのでしょう。ヘルメス主義では想像力を積極的に用いて思考しますが、これは知性と感性の共同作業にほかなりません。
<参考文献>
・『ヘルメス文書』荒井献+柴田有訳 朝日新聞社
・ブロッサム・ファインスタイン「ヘルメス思想」(『西洋思想大事典』平凡社 1990)
・ジョージ・ボアズ「マクロコスモスとミクロコスモス」(『西洋思想大事典』平凡社 1990)
・アントワーヌ・フェーブル『エゾテリスム思想』田中義廣訳 白水社 1995
・Roelof van den Rroek ”Gnosticism and Hermetism in Antiquity:Two Roads
to Salvation”in ed.Roelf van den Rroek and Woulter J. Hanegraaff Gnosis and Hermeticism 1998
・Antoine Faivre “Renaissannce Hermeticism and the Concept of Western Esotericism” in ed.Roelf van den Rroek and Woulter J. Hanegraaff
Gnosis and Hermeticism 1998
・Alexander Roob Alchemy&Mystisism 1996
・Three Initiates The Kybalion 1908