●フランス旅行報告−3(2003.9.)

●6日目

・晴天のシャンゼリゼ。こんな雲一つ無い青空は、これまでパリに行った経験でも珍しいです。

パリに到着しました。
靴に関する予定は、ベルルッティのシュル・ムジュールの仮縫いだけです。
早速、予定時間に合わせてシャンゼリゼ通りに程近い、マブッフ通りにあるベルルッティの本店に行きました。
ショップに到着したら、なんとビックリしました。
マダム・オルガが待っていたのです。
そして、何やら、私とマダム・オルガが登場する仮縫いの様子を撮影したいとのことで、プロモーションに使うかもしれないが良いかとのことでした。
心の準備もできていないこともあって、それは困るとも思いましたが、マダム・オルガが直々に待っていらっしゃったことと、既にカメラマンがいて全てセットされたその場の雰囲気から断ることは出来ずに応じました。
なんで、私などが選ばれたのか良くわかりませんが、私自身で考えた靴のデザインに興味があったようなのです。
(偶然、J.M.ウェストンのゴルフでなくベルルッティのジョルダンを履いていましたので良かったですが、心の準備もありますし、事前に連絡が欲しかったです・・・。)

・出来あがったトライアル・シューズ

さて、”ハプニング”が終わって、仮縫い本番です。
ちなみに、今回は、最初に計測したムッシュ・ディディエとはスケジュールが合わずに、ムッシュ・ボーモントが担当してくれました。
まずは、トライアル・シューズをみせてもらって、まずはMNのイニシャルを入れたデザインとシルエットがほぼイメージに近かったので、安心しました。
ところが、試着すると全体的にかなり緩いのです。
その旨伝えた(と言いますか伝える間も無く)のですが、当然のような顔をして、足入れした靴を触診して、木型とトライアルシューズに修正部分を書きこんでいました。
さらには、トライアル・シューズをまさにカットして足型もなぞっていました。
仮縫いでこんなに緩くて大丈夫なのか気になりますが、当たり前のような顔をしていたので、私自信も納得です。
最後に、トライアルシューズ全体を見て、デザイン的にもう少しだけロングノーズにしようとのことになりました。
職人さんとはフランス語主体ではありましたが、今回も一緒に担当したくれた女性とは英語も通じたので、何とかコミュニケーションできました。

・トライアルシューズをカットしている画像。この後、足型をインソールにトレースしました。

※後ろにちらりと見えているのが、マダム・オルガとの撮影用に使ったカメラ。

次回私がフランスに来る予定の年末年始に出来上がるかは微妙とのことですが、出来上がり後すぐに連絡をくれることになりました。
前回半分払っているので、残りの支払いは次回出来上がってからで良いとのことでした。
ちなみに、既製靴全体も値上がりしていますが、シュル・ムジュールも値上がりしていて2,850ユーロになっていました(当然ながら、私は最初に契約した2,600ユーロのままです)。

最後にマダム・オルガと、例のフランス人が街中で良くしている「抱擁してチュッ、チュッ」をして、店を出ました・・・。


・ヴァンドゥーム広場近くにあるシャルベ。1Fが既製品とネクタイ売り場、2Fがオーダーサロンです。

次に、シャツのシャルベに行きました。
実はとあるオーダーシャツ(いつかオープンにします)がとても気持ちが良かったので、フランスの代表的なシャツのシャルベにも挑戦しようと考えていたからです。
そして、ショップに入って、シャツをオーダーしたいと告げると、2階に案内されました。
日本語を話せるマダムがいらして、女性の店主?に一緒に対応してくれました。
オーダーシャツに挑戦したいと相談したところ、「あなたの体系なら、ドゥミ・ムジュールで問題無い。」とのことでした。
ドゥミ・ムジュールは、いわゆるセミオーダーではありますが、首回り・袖口・袖丈・肩幅・胸回りなどもきちんと計測して、実際にいくつかのシャツを試着してフィット感を確かめてサイズを決めました。
袖は(特に肩口は)全体的に細くして、袖口は時計をつける左は少々大きくする、丈は勧められたサイズよりも長くする、などの希望はもちろん聞いてくれました。
「お勧めはできませんが、フル・オーダーにした場合は2週間後に出来あがる仮縫いをパリでする必要があって、出来あがりまで手間と時間がかかります」との時間的なアドバイスもあって、今回はドゥミ・ムジュールにしました。
今回満足しなかった際に、次回フランスに行く前に今回の採寸をもとしてある程度の型紙を用意して、フル・オーダーにすることも場合によっては可能なようです(100%確実ではないようですが)。
ちなみに、少しでも太ったり痩せたりすると着れない程の身体の線がハッキリ出るピッタリとしたシャツを望んでいる人以外は、普通の体系の方にはフル・オーダーは勧めていないとのことです。
もちろん、体系によっては、最初からフル・オーダーしか勧められない方もいるとのことです。
金額的には、フル・オーダーが330ユーロ位から、セミ・オーダー(ドゥミ・ムジュール)なら300ユーロ位からとのことで金額的には差は余り無いとのことででした。
(ちなみに、スーツの場合は3000ユーロ位からオーダー可能とのことで、いつか挑戦したいと考えています。)
そして計測後に、生地をブルー系のポプリンにして、カラーはレギュラー、ダブルカフス、前立て無し(非オリジナル)、ポケットあり(非オリジナル)、後ろのスリット・カッティングありと、ディテールを決めて終了です。
生地は、圧巻の品揃えでしたが、糸の番手などはあまり正確には把握していないようでして、実際に見た質感を大切にしているようです。
約4週間で出来上がって、すぐに日本に送ってくれるとのことです。
価格は、生地しだいとのことですが、今回のオーダーとしては300ユーロで、欧州国外への郵送ですのでその場で免税をした金額にしてくれました。
ちなみに、送料として免税分以上かかりました。
当然ながら、日本で関税がかからないように、別送品の申請を成田空港の税関でしました。
到着が、とても楽しみです。


・ひっそりとしていますが端正な佇まいのコルテのショップの画像

次に、近くにあるコルテに行きました。
今回、ニースで買った靴雑誌「TREPOINTES」に載っていた、Vフロントのプレーントゥがチゼルトゥで土踏まず部分がかなりえぐれているなどとにかくスタイリッシュでして、とてもカッコ良くて興味があったのです。
説明を聞くと、プレタポルテ(既製品)は、11月か12月から本格的に展開するとのことで、今はサイズが無いとのことでしたので、あきらめました・・・。

そして、ジョンロブ・パリに行きました。
以前オーダーしたヴィンテージ2002はあきらめていましたが、元祖Vフロントとも言える?プレーントゥの「ペリエ」に興味があったからです。
今回、ブラウン系が欲しかったのですが、ペリエでは展開していないとのことだったものの、新8000ラストで2アイレットの「タマル」という新モデルのブラウン系がありました。
スクエア・トゥが適度にシェイプされていて、とにかくエレガントで、かっこ良かったです。
しかしながら、黒はマイサイズがあったのですが茶色はサイズ切れでした。
オーダーを勧められましたが、今回はその場ではオーダーしないで、前回ヴィンテージ2002のオーダーがうまくいかなかったこともあって、オーダーする場合には日本から連絡することにしました。

次に、J.M.ウェストンに行きました。
欲しい靴は見当たりませんでしたが、靴のメンテナンスグッヅを買いました。
特に、ソール用のクリームがあるとのことで、以前青山のショップでは何も塗らないように教えられていたので、半信半疑ながら買いました。
さらには、ライトブラウン用に無色のスエード用のスプレーと、スエード用のクリーナーと、ミンクオイルの一種も買いました。
ちなみに、シャンゼリゼ店では日本語のわかる店員がいました。

このまま、靴は何も買わないことになるのかなと考えながら、ホテルの近くの左岸のサンジェルマン・デ・プレあたりを散策していたら、誘われたようにベルルッティに行ってしまいました。
そして、以前から気になっていた、楔型にステッチの入ったサレッサンドロが目につきました。
ショップの店員さんも、私のことを何となく覚えているようです。
ベルルッティでブレーク製法のレースアップのタイプは持っていないこともあって、今回試してみようとも考えて買ってしまいました。
パティーヌは、枯れたようなベージュも勧められましたが、ライトブラウン系のアンティーク仕上げにしました。
ちなみに、今回も、翌日にはパティーヌが仕上がりました。

・今回唯一買ってきたベルルッティの楔型のステッチの入ったアレッサンドロ。期待通りのパティーヌに仕上がりました。


・オルセー美術館4Fにあるゴッホのコーナーの一部。誰もいない贅沢な空間をしばし堪能しました。

パリでは、オルセー美術館に行くことも楽しみにしています。
朝一番に4Fの印象派のフロアに行って、誰も居ない自分1人の空間で、しばしの時間をすごすのが目的です。
誰もいない静寂した中で見る、印象派の絵は格別です。
ゴッホのコーナーにベンチが無くなったのは残念ですが、モネ、ルノワール、・・・などの教科書に良く出てくるような大作をベンチに1人で座って見入っていました。
今回は、開演15分前に2回行ったのですが、どちらも4Fフロアは一番乗りできました。
10分間弱ではありましたが、印象派の絵画を1人占めで眺めていたわけです。
午前中早くは空いていて、ゴッホの部屋などそれぞれのコーナーには1人もいない時間が時々ありました。
オルセー美術館は、オープン時間前に多少は並んでいても、最初に4Fまで一気に上がって印象派のフロアに行く方はいないからか、通常時には朝一番に行くと4Fに一番乗りすることが可能です。
(特別展をやっている時には、開演前に行っても既にかなり並んでいてかなり混むので、相当早くに行かないと一番乗りはできません。)
ちなみに、日本で同じ規模の特別展をやったら、バーンズコレクション展を思い出しても大混雑は当然で、入場までは数時間待ちになると思われます。

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