<お菓子の話>

お菓子作りは楽しいけれど
判らない用語がたくさん出てきてしまうと
困ってしまったりします。
用語の特集やら、いろいろなお菓子のお話を
書いていけたら・・・って思っています。
(用語集)
1.粉類

薄力粉
軟質小麦から作られる。タンパク質は8%くらいで粘りは弱く、
ほかの材料と混ぜて焼き上げるときは、軽く口あたりよく仕上がる。

お菓子用薄力粉
普通の薄力粉に比べ数段質が良く、粘りけの原因になるグルテンの
形成が押さえられるので、よりふんわりとした仕上がりになる。

強力粉
硬質小麦の粉で、タンパク質は11〜13%含まれ、粘りの最も強い粉。
パイ生地や発酵などのガスによる膨張を包み込んで焼くパン生地に向く。

全粒粉
小麦の胚乳をひいいた白い粉に対して、外皮、胚芽を含んだ、精製して
いない褐色の粉。ビタミンを多く含み、風味があり、スポンジケーキやクッキー
などに使用する。

2.砂糖
砂糖はお菓子に甘みをつけるだけでなく、ふくらませる、日持ちをよくする
つやをだす、焦げ色をつけるなどの働きがある。また、水分を含むため
お菓子を乾きにくくし、しっとりした感じを保ってくれる。砂糖は精製度により
いくつかの種類に分けられ、それぞれにより、形状や味にかなりの差がある。
お菓子作りには基本的にグラニュー糖を使うが、こくを出したい場合は
ブラウンシュガーや三温糖を、生地をよりカリッと仕上げたい場合は
粉糖など、目的に合わせて使い分ける。

三温糖
薄い褐色の砂糖。上白糖よりも精製度が低く、転化糖(果糖やブドウ糖など
)や、灰分が多いので強い甘みとこくがある。

上白糖
きめが細かく、しっとりしていてこくがあります。果糖を含むため
吸湿性が高く、焦げ色が付きやすい。

グラニュー糖
精製度が高いのであくが少なく、卵やバター、フルーツの風味を損なわない。
顆粒状でサラサラしており、ふるいを通さずに使える。

極微粒グラニュー糖(例 商品名:シュクレーヌ 製造:パールエース)
1粒が普通のグラニュー糖の1/6と言う超微粒の完全結晶体。
冷たい水やバターにもすぐ溶けるのでお菓子作りには最適。

ブラウンシュガー
さとうきびの絞り汁を煮詰めたもの。
精製していないので不純物が多く特有の甘みと香りがある。
強い甘さとこくが必要なお菓子に。

粉糖
グラニュー糖をさらに細かく微粉末状にしたもの。
デコレーションや、焼き菓子の上に糖膜を張るグラス・ア・ロー
などに使われる。

フロストシュガー
顆粒状の砂糖のことで、水などに溶けやすいのが特徴。

プードルデコール(商品名)
粉糖の表面に油脂の特殊コーティングがしてあり、湿気の
あるケーキにふりかけても溶けずに消えません。
デコレーション用の砂糖です。

水あめ
穀類や芋類に含まれるでんぷんを、甘みの強い麦芽糖や
ブドウ糖にかえたもの。しかし、完全に変化させずに途中で
できる「デキストリン」と言う独特の粘りけや保水性、それに
蔗糖の再結晶を防ぐ「シャリ止め」効果のある物質を残して
製品かしてあります。「シャリ止め」というのは
蔗糖が温度変化などで白く結晶してしまう(これをシャると言う)
のを防ぐこと。

はちみつ
主成分は果糖とブドウ糖からなり、蔗糖は数%にすぎません。
果糖が多いのでカステラなどのように、生地をしっとりと仕上げる
場合に効果があり、同時に焦げ色がつきやすい。はちみつは
低温では白濁しているものがありますが、これはブドウ糖が
結晶化しやすいからで温めて溶かせば支障ありません。
はちみつは、他の甘味料にないこくと風味があり、花の種類
により異なる風味も楽しめます。

転化糖
ブドウ糖と果糖の混合物。
焦げ色がつきやすく、果糖の影響でねっとりとしたこくのある
甘みが特徴で、お菓子がしっとりと仕上がります。

3.バター

バターには約2%の塩分が添加された有塩(加塩)と塩を入れない
無塩とがある。お菓子作りには有塩バターの塩味は強すぎるため
基本的には無塩バターを用い、塩分が必要な場合は適宜塩を加える。
製造過程で乳酸菌を添加して発酵させた発酵バターは、独特の芳香と
風味を楽しむ焼き菓子などに使われる。いずれのバターも酸化しやすいので
なるべく6ヶ月以内の鮮度の高いものを使う。長期保存したい場合は
0度以下で保存。

4.生クリーム

生クリームは、牛乳の中に含まれている乳脂肪を遠心分離によって
濃縮したもの。日本では最低18%以上の乳脂肪を含有しているものを
指す。この乳脂肪の含有率によりいろいろなタイプのものが市販されて
おり、脂肪分20〜30%くらいのコーヒー用から脂肪分47%、48%の
高脂肪のものまである。一般的に製菓用の生クリームとしては脂肪分
35%〜42%くらいのものが多く使われる。脂肪分含有率が高くなるほど
分離しやすいので扱いが難しい。

生クリーム(乳脂肪35%)
ムースなどの生地に混ぜ込んだり、デコレーションに使ったりと
広く使われる。ホイップするには、脂肪分が35%以上のものを。

生クリーム(乳脂肪45%)
脂肪分の多い生クリームは分離しやすいので、ホイップする場合は
必ず氷水にあてて作業すること。

5.チョコレート

独特の風味と香り、光沢、こくを持つチョコレートは、加工の方法によって
いくつかの種類に分かれる。カカオバターを特に多く含むものを
クーベルチュールと呼び、カカオますに砂糖を加えたスイート。
更に粉乳などを加えてまろやかに仕上げたミルク、カカオバターに
砂糖や粉乳などを加えたカカオ成分を含まないホワイトの3種類がある。
上質でお菓子作りに広く使われており、テンパリングと呼ばれる温度調整を
してから使うことが多い。カカオ豆をペースト状にすりつぶしたカカオマスを
そのまま固めたビターチョコレートは風味付けに用いる。

コーティングチョコレート(パータ・グラッセ)
洋生チョコレートとも呼ばれ、ケーキ類の被覆を目的として、硬化油などを
添加したもの。テンパリングの必要がなく、溶かすだけで使える。

クーベルチュールチョコレート
カカオバターを30〜40%前後含む製菓用のチョコレート。
温度を正確に計りながら指定の温度に調整(テンパリング)することで
つややかに仕上がる。国際規格では総カカオ分35%以上、カカオバター
31%以上、カカオバター以外の代用油脂は使用不可など細かく規定されて
いるが、国産は国際規格を採用していません。

カカオバター(プール・ド・カカオ)

カカオ豆に含まれている脂肪分でどろどろにすりつぶした
カカオマスから搾り取ったものです。
固形を保ちつつ、なめらかなチョコレートを作るにはカカオマスが含んでいる
カカオバターだけでは足りず、補充する必要があります。
国際規格のクーベルチュールでは31%以上含んでいますが
日本国内の規格では、最も高純度の「純チョコレート」でも
カカオバターを18%以上含むことと少な目の設定です。

カカオマス(パート・ド・カカオ)

カカオマスとは、焙煎したカカオ豆の胚乳(皮を除いた部分。
カカオニブと呼ばれている)をすりつぶしてなめらかにしたもので
いわばカカオ豆のピュアなペースト。
チョコレートをチョコレートらしい味にする主材料として
ホワイトチョコレート以外のチョコレートには不可欠。

ココアパウダー(プードル・カカオ)

ココアを作るときのおなじみの粉。
カカオマスから一定量のカカオバターを搾り取った後
そこに残ったものを粉砕して細かな粉末状にしたもの。
ココアには、一般的に22〜24%の脂肪分を含んでいるのが
適しているとされています。
また、食物繊維が豊富であること、老化防止との関わりが
注目されているポリフェノール類をたくさん含んでいることでも
脚光を浴び始めています。ココアに含まれるテオブロミンと言う
成分は疲れをとり、気持ちを落ち着けると言う働きもあります。

スイートチョコレート(ショコラ・ノワール)

ダークチョコレートとも呼ばれる黒褐色のチョコレート。
カカオマス、カカオバター、砂糖で作られているので
チョコレートの中では最もカカオ風味がストレートに出て
特有のほろ苦さや酸味、フレーバーを堪能することができます。

ホワイトチョコレート(ショコラ・ブラン)

カカオマスを使わずに仕上げたチョコレート。

ミルクチョコレート(ショコラ・オ・レ)

ミルクも加わったチョコレート。
牛乳をチョコレートに加える技法が開発されなかったために
スイートチョコレートの誕生から29年も遅れたとのこと。
元来の方法でミルクチョコレートを作っているのは
イギリスのキャドバリー社とスイスのネスレ社だけ。

6.卵

一般には全卵(M玉)を50gとし、卵白30g、卵黄20gで換算している。
新鮮な卵は黄身が盛り上がっており、粘度の高い卵白がそれを囲む。
その回りに水様卵白があり、鮮度が落ちるに従って水様卵白が多くなる
水様化が起こる。メレンゲを作る場合は、この水様化が進んだ方が起泡量が
多く安定した状態に仕上がる。出来れば購入した卵は、卵黄と卵白に分けて
保存し、卵白は10日ほど経ったものを使いたい。逆に卵黄は新しいものほど
味や舌触りがなめらかに仕上がるので、なるべく新しいものを使うこと。
いずれも、使う前には冷蔵庫から出して常温に戻しておくこと。

7.その他
ガナッシュ チョコレートと生クリームを混ぜて作るクリーム。
チョコレートの濃厚な味わいと独特の粘りのある食感が
特徴のクリームです。
クレーム・ド〜 蒸留酒にシロップと果物、香草、花などの
抽出物を混ぜ合わせたものを「クレーム・ド〜」と
言います。
クレーム・ダマンド アーモンドクリームのこと
クレーム・ブリュレ フランス語で「焦がしたクリーム」を意味します。
プディングに焼いた生地の表面に砂糖をまぶし
カラメル状に焼いたことからその名がつきました。
ジェノワーズ 共立てで泡立てたスポンジ生地のこと
ジュレ 果汁やお酒などの液体をゼラチンで冷やし固めたゼリー
スフレ 「ふくらんだ」と言う意味のスフレ。
たくさんの気泡を含んでやさしい口当たりのお菓子です。
パータ・ボンブ グラニュー糖と卵黄を泡立てて作る生地。バターと混ぜて
バタークリームにしたり、生地の中に加えたりして
使います。
パート・シュクレ シュクレとは、フランス語で砂糖、甘いと言う意味。
パートは、フランス語で「混ぜたもの」
タルトなどに使う甘い練りパイの生地のことを
パート・シュクレと呼びます。
パート・プリゼ プリゼとは「壊れた」と言う意味。
甘みのない、サクサクとしたパイ生地です。
ババロワ 卵黄、牛乳、砂糖を合わせた生地をゼラチンで冷やし
固めた冷製デザート。冷製菓子の中でも歴史の古い
デザート。
ビスキュイ 別立てで泡立てたスポンジの生地
ピュレ つぶして漉すと言う意味。
市販では冷凍、常温のものがあります。
フィナンシェ フランス語で「財界人」「資本家」などの意味を表す。
アーモンドパウダーをふんだんに使った贅沢なお菓子。
ブラマンジェ 「白い食べ物」と言う意味。本来はアーモンドを煮出した
香りの良い牛乳を使って冷やし固めていました。
純白の色と、アーモンドの香りがよい牛乳ゼリーです。
プール・ノワゼット ヘーゼルナッツ色のバターの意。焦がしバターのこと。
ムース フランス語で「泡」を意味する言葉。
泡立てた生クリームや卵白の細かな気泡を利用して
口当たりの良い冷たい食べ物です。
ルストゥールジュレ ジュレ用粉末パウダーのこと。
専門店で販売されている。
洋酒(アイウエオ順になっています。)

オー・ド・ヴィ・ド・フランボワーズ

ラズベリーの蒸留酒
エキス分は20%前後。オー・ド・ヴィの他にコンサントレなどもある。

カルヴァドス

りんごを原料とした蒸留酒。ノルマンディー地方の中でも
カルヴァドスとカルヴァドス・ドュ・ベイ・ドージュの2地域が産地として
有名。原料にするリンゴは推奨銘柄が決められていたり、地区によっては
蒸留方法が定められていたりと生産については想像以上に厳しい規定が
ある。それだけフランスでは身近なお酒と言えよう。お菓子に使う場合
りんごをフランベするなど、材料にりんごを使うものに適している。

キルシュ

グリオットやアマレルと言った品種のさくらんぼを原料にして
アルザス地方で造られる蒸留酒。キルシュ、もしくはキルシュワッサーと
言う。アーモンドや、ラズベリー、チョコレートを初め、いろいろな材料と
相性が良い。蒸留酒なので、香りが強く、ほとんど甘みがないので
少量で効果的な香りをつけることができる。

グランマルニエ

ビターオレンジの皮をアルコールで侵出させたものに蒸留酒を
混合し、シロップなどを加えて調整したリキュールを総称して
オレンジ・キュラソーと言い、グランマルニエもその一つ。
グランマルニエでも、コニャックを混合した製品は、コルドン・ルージュ
普通のブランデーを混合したものはコルドン・ジョーヌと分けている。

クレーム・ド・カカオ・

カカオ、つまりチョコレート風味のリキュール。
カカオ豆をブランデーやラムなどで侵出し、バニラなどの風味を
つけている。その中でも、クレーム・ド・カカオは、アルコール分より
エキス分の方が多く含まれ、甘みの強いタイプに属する。
製品によりエキス分が10〜55%とかなり差があり、総じて
甘いリキュールの中でも特に甘いものが多い。
そのため、お菓子に用いるときには甘さをチェックして使用しなければ
ならない。

クレーム・ド・ペーシェ

桃の香りのする甘いリキュール

コワントロー

ビターオレンジの皮をアルコールで侵出し、それを原料にして
蒸留酒を作り、砂糖や他の香料を調合して作った無色透明な
リキュールをホワイトキュラソーと言う。
コワントローは、このジャンルに属する製品で1849年から
製造されている。オレンジリキュールには、いろいろな製品があるが
その中でも、グランマルニエとコワントローが最も代表的なもの。

ブランデー

コニャックとアルマニャックに代表されるぶどうを原料とする
蒸留酒の総称。フランス語でいうオー・ド・ヴィ・ド・ヴァンと同じ。
この種のアルコールは高級なものほど風味が優しく
且つ、持続性がある。普段、飲用にしているものがあれば
それで十分お菓子作りに使える。少しくせがあるが、ワイン用の
ぶどうを搾った残滓から造るマールを用いてもおもしろい。
ガナッシュやスポンジに打つシロップなどに加えるなどする。

ポワール・ウイリアム

「ポワール・ウイリアム」と言う品種の洋なしを原料として作った蒸留酒。
洋なし特有の香り高い風味があり、洋なしのタルトや洋なしのシャロット
などを作る際に、このポワール・ウイリアムを加えたシロップを生地に
うって香り付けをすると効果的である。また、洋なしのコンポートを
煮て冷ました後、少量を加えて隠し味にしてもよい。

ラム酒

ラムはさとうきびを原料にして蒸留して造った蒸留酒で、搾り汁を用いる
昔ながらの方法と砂糖をとったあとの糖蜜を原料にした大量生産法とがある。
白グラップは、前者の方法で製造したもので、それを更に
3年以上樽熟させたものをラムビューと言う。フルーツケーキのような
重量感のあるお菓子には風味の強いラムビューが適し、わずかに
香らせたい場合は、白グラップや、量産品を使う。

リキュール・ド・フレーズ

苺(フレーズ)のリキュール。
リキュール用の苺は果肉が堅くて酸味が強い加工用の品種。
製法については、二種類ありひとつはアルコールに苺を漬け込んで
エキス分を侵出させて糖分を添加する方法。もう一つは、いちごのエキス分を
搾り、そこにアルコールや糖分を加える方法。日本の苺は風味が弱いので
後者をとるケースが多い。

ナッツ類

1)プラリネペースト
ローストしたアーモンドと砂糖をローラーでひいて
ペースト状にしたもの。各種クリームに混ぜて使用する。

2)ナパージュ
タルトなどの上に塗ってつやを出すもの。
アプリコットのほか、ストロベリーやラズベリー
ノンフレーバーのものなどが市販されている。
開封したものは、冷蔵保存し一週間程度で使い切る。

その他

1)蜜ろう
人気の伝統菓子カヌレに使われる。溶かして型に流し込む
ことでカヌレ独特のパリッとした食感が生まれる。

2)ベーキングパウダー
ふくらし粉とも呼ばれる化学膨張剤。バターを多量に使うケーキは
重い口当たりになりやすいため生地に混ぜて軽い食感にする。

3)粉ゼラチン
粉末のゼラチンは5〜6倍の水に振り入れてしとらせ
そのまま使う。板状のものよりも早くふやけ計量が簡単。

4)板ゼラチン
一枚5〜10g程度のシート状ゼラチン。
粉末に比べて仕上がりに透明感がある。適量の水につけて
ふやかしてよく水を切って使う。

5)酒石酸
ワインの製造工程中に出来る酒石を原料とする粉末状の結晶。
酸味が強く、パード・ド・フリュイのほかさまざまな菓子類の酸味用
に使われます。水やアルコールに溶けます。

6)ペクチン
一定の糖度と酸度によってゼリー状に固まる性質がある。
その性質を利用してゼリーやジャムを作る。

<参考文献>
「一流シェフが手ほどきする人気のケーキ」世界文化社¥3200
「一流シェフが手ほどきする人気のケーキ2」世界文化社¥3200