ミネラル
カルシウム(Ca)

■体重50kgの成人の体内には約1kgのカルシウムがあり、その99%は骨や歯に存在し、骨格や歯の
 エナメル質の主成分となって体を支えています。残りの1%は神経や筋肉、血液にあって、精神安定剤
 のような働きをしたり、筋肉の収縮を円滑にして心臓の鼓動を規則正しく保つ、血液の凝固作用を促進
 するなど、重要な作用を担っています。
  不足すると、カルシウムの貯蔵庫である骨から取り出され、多ければ骨に蓄積されます。慢性的な不足
 は骨量の減少となり、骨折しやすくなります。また、不足を補うために骨から放出されたカルシウムが血
 管壁などに沈着し、高血圧、動脈硬化、糖尿病、痴呆症などの誘因にもなります。
  肉類などのタンパク質、ナトリウムの過剰摂取はカルシウムの排泄量をふやします。また、肉や加工食
 品に多く含まれるリンは、カルシウムの2〜3倍量を超えて摂取すると、カルシウムの吸収を抑制してし
 まいます。日本人のカルシウムの平均的摂取量は、最近でも定められた所要量の(600〜700mg)の
 約8割強の充足率です。不足は骨粗しょう症や老化につながりますから、摂取に努力しましょう。

★上手に摂取するには
 カルシウムの吸収率は牛乳、乳製品が50%、小魚が30%、青菜は18%です。吸収率の低い小魚や
 青菜も、他の栄養成分は豊富なのでしっかり食べましょう。


■補給を特に心がけた方がよい人
  ○骨や歯の弱い人 ○妊婦・授乳婦 ○老年期の人 ○虚弱体質の人

■カルシウムが多く含まれている食品
  ○干しえび ○どじょう ○エメンタールチーズ ○ワカサギ ○うるめいわし ○牛乳 
  ○かたくちいわし


■栄養所要量  600mg/日

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鉄分(Fe)

■成人の体内には約4gの鉄があり、その70%が酸素の運搬に働く機能鉄で、残りは機能鉄の不足を
 補うために肝臓などに蓄えられる貯蔵鉄です。
 機能鉄は、赤血球のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビン(ヘモグロビンに似たタンパク質)の成分とな
 って、体の各器官に酸素を運びます。酸素を運ぶことが仕事ですから、鉄が不足すると酸欠状態とな
 り、息切れやめまいなどの貧血症状ガあらわれます。しかし、貧血の症状は機能鉄の不足で起こるの
 ではなく、不足を補う貯蔵鉄が底をついて初めてあらわれます。ですから、はっきりした貧血の症状が
 なくても、機能鉄が不足している潜在的鉄欠乏症ということも多くあります。特に女性は注意が必要です。
  鉄は再利用されるので、排泄で消失する1日1mgを補充すればよいとされています。また、食品に含
 まれる鉄には、肉や魚などの動物性食品に多いヘム鉄と、野菜や穀物に含まれる非ヘム鉄があります。
 ヘム鉄の吸収率は15〜25%ありますが、非ヘム鉄はビタミンCと一緒に摂ると吸収が高まります。


★上手に摂取するには
  鉄の吸収率は平均して8%。吸収のよいレバーや赤身の肉、魚などの動物性食品がお薦めです。
  植物性食品(海藻、大豆製品、野菜など)もビタミンCと一緒に摂ると吸収率がアップします。


■補給を特に心がけた方がよい人
  ○貧血症の方 ○痔による出血のある人

■鉄が多く含まれている食品
  ○あさり ○豚レバー ○干しひじき ○鶏レバー ○牛(赤身) ○小松菜

■栄養所要量  10mg/日

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リン(P)

■リンはカルシウムと結合して骨の主成分となります。また、核酸を構成し、細胞の成長と文化、エネル
 ギーの運搬、神経や筋肉の機能の正常化に関わります。
  リンが多いとカルシウムの代謝にダメージを与えます。リンとカルシウムの理想のバランスは1対1
 とされていますが、現状では、リンの摂取が1.3gであるのにカルシウムは0.6gの所要量が満たせ
 ていません。リンが過剰になるのは清涼飲料水や加工食品に添加物として含まれるためです。リン
 の1日の摂取量が2gを越えると、副甲状腺機能亢進や骨代謝障害などの過剰症が心配されます。


★りんによる腎障害と低リン食品
 成人の1日の摂取量は約1g。その大部分は腎臓から尿中に排泄される。その排泄が抑制された腎不
 全では、高リン血症となり、腎障害が一層促進される。リンの過剰による障害は腎機能が正常なうち
 から始まっているので、早い段階でリンを減らす調理の工夫が必要。加工食品には保存料としてリン
 が含まれているので充分気をつけたい。腎不全の治療に重要な食品として、低リン食品の開発もす
 すんでいる。低リンミルクは、リンの含有量を牛乳の五分の一に減らしてある。また、カリウム、ナトリ
 ウムも低減されている。代わりに、消化されやすい乳タンパクや、カルシウム、鉄、各種のビタミンを配
 合している。低リンミルクは特定保健用食品としても認定され、医師から低リン食を指示された人、特
 に腎不全患者に広く利用されています。


■補給を特に心がけた方がよい人
  ○魚や肉などの動物性食品をあまり食べない人

■リンが多く含まれている食品
  ○しらす干し ○プロセスチーズ

■栄養所要量  700mg/日

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マグネシウム(Mg)

■体内で約300種類の酵素の働きを助ける重要なミネラルです。
 筋肉の収縮は、筋肉の細胞にカルシウムが入って緊張が高まる事で起こるのですが、マグネシウムは
 このカルシウムの動きの調整にはたらきます。マグネシウムが不足すると調整がうまく出来ず、痙攣や
 震えなどが起きたり、イライラするといった神経症状があらわれます。この痙攣が血管壁で起こると、狭
 心症や心筋梗塞につながる可能性もあります。また、マグネシウムはカルシウムが血管壁に沈着する
 のを防いで動脈硬化を予防したり、骨の強化や正常な血圧の維持などにはたらいています。
 このように、マグネシウムがあってこそ、カルシウムは有益な働きができるといってもよいほどですが、
 マグネシウムとカルシウムには、1対2から1対3という理想的なバランスがあることがわかっています。
 例えば女性の場合、一日の所要量として、マグネシウム250mg、カルシウム600mgを摂取していれば
 問題はないのですが、マグネシウムはカルシウム以上に不足しがちです。カルシウムが過剰になると、
 マグネシウムの吸引が阻害されます。また、肉や加工品、清涼飲料水に多く含まれるリンを多量に摂っ
 ても同様です。ストレスの多い人、アルコールを多飲する人、糖尿病や利尿剤を使用している人もマグ
 ネシウムが不足しやすいので、摂取を心がけてください。


★上手に摂取するには
 穀物の胚芽の部分にもマグネシウムは多く含まれているので、主食を胚芽精米のご飯や全粒粉のパン
 にかえるだけでも、不足分はかなりカバーできます。副菜は魚、豆、海藻などを。加工食品や清涼飲料
 水に含まれるリンや大量のアルコールは、マグネシウムの必要量を増やします。


■補給を特に心がけた方がよい人
  ○お酒を多量に飲む人 ○激しい労働をする人 ○老年期の人 ○妊婦

■マグネシウムが多く含まれている食品
  ○アーモンド ○カシューナッツ ○落花生 ○きんめだい ○刻み昆布 ○ほうれん草 ○そば

■栄養所要量  男性280〜320mg、女性240〜260mg/日

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カリウム(K)

体内には体重1kg当り2gのカリウムがあります。カリウムはナトリウムと協力して細胞内外液の物質
 交換に作用し、浸透圧や酸・アルカリ度、水分のバランスの調整を行い、心筋などの筋肉の収縮をスム
 ーズにしています。これらの働きを円滑に保つには、カリウムとナトリウムの濃度差が一定である必要
 があります。ナトリウムの過剰に対してカリウムの摂取量が少ないと、高血圧を招きます。カリウムは
 ナトリウムの排泄を促し、血圧を下げますから、食塩の摂取を減らしてカリウムを多く摂り、高血圧の予
 防と治療を心がけましょう。
  また、カリウムは腎臓の老廃物の排泄を促進する為に働き、筋肉ではエネルギ^−の生産にも関わ
 っています。夏バテの原因はビタミンB1の不足とされがちですが、カリウムが汗といっしょに失われて
 起こる低カリウム血症が原因の場合も多くあります。
  食塩の摂取が多いと、カリウムはナトリウムと共に排泄されます。また、アルコール、甘いものなども
 カリウムを減らします。野菜や果物、海藻など幅広い食品に含まれていますが、不足しやすいミネラル
 ですから、積極的に摂取しましょう。


★上手に摂取するには
 野菜や果物に多く含まれるので、積極的に摂るよう心がけます。塩、砂糖といった調味料の選び方に
 よっても、カリウムなどのミネラルの摂取量は増やせます。精製度の低い天然塩や粗製等にはカリウム
 やカルシウムが豊富。1回当りの使用量は少なくても、健康の点では食塩や上白糖より有効です。


■補給を特に心がけたい人
  ○利尿薬を飲んでいる人 ○授乳婦  ○長期の下痢をした人

■カリウムが多く含まれている食品
  ○刻み昆布 ○ほうれん草 ○トマトジュース ○小松菜 ○さつまいも ○かんぱち
  ○さわら ○干しアンズ ○バナナ ○アボカド


■栄養所要量  2000mg/日

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銅(Cu)

■主な働きは骨が作られるときに必要な酵素の成分の一つです。

■補給を特に心がけた方がよい人
  ○長期の下痢をした人
  ○乳児


■銅が多く含まれ手いる食品
  ○牡蠣 ○牛レバー

■栄養所要量  1.8mg/日

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マンガン(Mn)

■マンガンの主な働き
 糖質、脂質、タンパク質の代謝に役立ち、エネルギー作りに関係します。

■補給を特に心がけた方がよい人
  ○胃潰瘍などで胃の手術をした人

■マンガンが多く含まれている食品
  ○落花生 ○レンコン

■栄養所要量  4mg/日

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セレン(Se)

■ビタミンEと同じように抗酸化作用をもっています。セレニウムとも呼ばれています。
 脳細胞などにある不飽和脂肪酸は、体に欠かせないものですが、酸化されると過酸化脂質となり、
 さまざまな害を及ぼします。組織を老化させたり、動脈硬化の引き金になるわけですが、セレンは
 ビタミンEと同様に、この過酸化脂質の分解にはたらきます。そして、Eと一緒のとき、最高の働きを
 します。また、セレンはガンを抑制するとして注目されています。まだ確証は得られていませんが、
 おそらく、ガン細胞の増殖を阻害する作用によるのであろうと考えられています。
 魚介類に多く含まれ、不足の心配はありません。摂り過ぎると、吐き気や脱毛など中毒症状があら
 われます。安易な多量摂取は避けたほうがよいでしょう。


★上手に摂取するには
 セレンが豊富に含まれている魚介類や肉類を、植物油を使って調理したり、ビタミンC・Eの多
 い緑黄色野菜と組み合わせると効果的です。日本人の場合は穀類や魚介類などの食品から
 一定量を摂っているので、不足の心配はまずありません。ただし、セレンは毒性の強い元素
 で、錠剤で過剰に摂ると中毒を起こします。

■補給を特に心がけた方がよい人
  ○加工食品を多く食べる人

■セレンが多く含まれている食品
  ○いわし ○かれい ○ねぎ ○ワカサギ ○牡蠣 ○たら ○オレンジジュース ○帆立貝 
  ○ビール


■栄養所要量  男性45〜60μg  女性40〜45μg/日

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モリブデン(Mo)

■モリブデンの主な働きは尿酸の生成に関係する酸化酵素の成分です。

■補給を特に心がけた方がよい人
  ○加工食品を多く食べる人

■モリブデンが多く含まれている食品
  ○ほうれん草 ○豆腐

■栄養所要量  30μg/日

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ヨウ素(I) ■海藻類に多く含まれ、ヨードとも呼ばれています。
 成人の体内には約20mgのヨウ素があり、その3分の2が甲状腺に存在して、甲状腺ホルモンのチロキ
 シンとトリヨードチロニンをつくる成分となっています。これらのホルモンは、交感神経を刺激し、タンパク質
 や脂質、糖質の代謝を促します。欠乏すると、エネルギーの生産が低下してむくみがあらわれ、著しい疲
 労を感じて心身ともに不活発になります。子供の場合は発育が遅れます。日本人では不足の心配はない
 とされます。摂り過ぎると甲状腺腫になります


■補給を特に心がけた方がよい人
  ○魚貝類、海藻をあまり食べない人

■ヨウ素が多く含まれている食品
  ○わかめ ○ぶり

■栄養所要量  150μg/日
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亜鉛(Zn)

■核酸やタンパク質の合成を推進する酵素をはじめとして、200種類以上の酵素の必須成分である
 重要なミネラルです。また、血糖調整ホルモン、インスリンの構成成分です。
 不足すると、子供の場合には発育が遅れます。大人の場合も皮膚や粘膜など、新陳代謝の盛んな
 器官ほどダメージを受け、視力減退、肌がかさつく、傷の治りが悪い、脱毛や爪に白い斑点が出るな
 どの症状があらわれます。また、味覚や臭覚の異常、かぜなどの感染症にかかりやすいといった症
 状も亜鉛不足が原因と言われています。また、ビタミンCとともにコラーゲンの合成に関わり、薄毛、
 など髪の老化を防ぐ効果を発揮します。


★上手に摂取するには
 貝類(とくに牡蠣)、レバー、卵黄、ナッツ類などに多く含まれています。2g以上とると、急性中毒を
 起こしますが、食品から摂取しているかぎりは、過剰症の心配はありません。なお、極端なダイエット
 は亜鉛不足を招くので注意が必要です。


■補給を特に心がけた方がよい人
  ○妊婦・授乳婦
  ○長期の下痢をした人


■亜鉛が多く含まれている食品
  ○牡蠣 ○輸入牛肩ロース ○豚・牛・鶏レバー ○豚肩ロース ○うなぎ ○ほや ○カシューナッツ

■栄養所要量  男性10〜12mg 女性9〜10mg

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クロム(Cr)

■クロムの主な働き
 糖代謝、脂質代謝に役立ちます。

■補給を特に心がけた方がよい人
  ○加工食品を多く食べる人

■クロムが多く含まれている食品
  ○バナナ ○ジャガイモ

■栄養所要量  35μg

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フッ素(F)

■煮干や芝えび、緑茶などに多く含まれています。歯や骨の表面にもフッ化カルシウムとして存在する
 超微量元素で、歯のエナメル質を強くして虫歯を防いだり、骨を丈夫にします。ごく微量あるのがよく、
 摂り過ぎると歯の表面が点状につやをなくし、黒ずんでくる班状歯になります。


★上手に摂取するには
 アメリカでは、虫歯予防のためにフッ素が飲料水に添加されています。フッ素を塗って歯質の抵抗力を
 強くする方法もありますが、絶対に虫歯にならないというわけではありません。ほかにフッ素入りのうが
 い薬や歯みがき剤もあります。


■フッ素が多く含まれている食品
  ○煮干 ○芝えび ○緑茶 ○ゼラチン

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