驚いた事に中世の名画に描かれているユニコーンという仮想の神獣も、このラスコーの洞窟内に描かれている。この切手の la dame à la licorneというのは、フランス語で、貴婦人と一角獣という意味で、タベストリー(つづれ織り)に描かれ、中世ヨーロッパ美術の最高逸品のひとつであり、カルチェラタンにあるクリュニー美術館に所蔵されている。
ドガ(花束を持つ踊子)
構図の奥で静止している
踊子と正面で瞬間停止の
バレリーナの動きの
対照が妙
シャンベリー(受胎告知)
 現実世界と超自然界の
 表面上の分割。
 中央の白リボンは天使の祝詞。
 古典画
シャガール
(エッフェル塔の
    新婚夫婦)
 自由奔放な想像力と
 華麗な色彩で詩情豊か。
 物語性を湛えた愛の賛美
 青はエッフェル塔。
スーラ(サーカス)
 動と静の対比。色調の
 科学的配分による点描法
プーシェ(狩猟から帰るダイアナ)
 左側は女神で装飾的な技巧は
 ルイ15世の趣味
ピサロ(キャベツ畑の小径)
 彩色の微妙な濃淡変化で
 情緒の豊かさを表現。
 ゴーギャン(アレアレア)
 ポリネシア マオリ族の
 偶像崇拝の様子を後方に描写
サン・サヴァン(フレスコ画)
 ロマネスク絵画の逸品
 描写法はカロリング朝の微細方式

 ラスコー(洞窟画)
<今回はこれを解説>
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切手の話 その6

     



    



      




   






PREHISTORIQUE LASCAUXの洞窟画に関してであるが、そもそもラスコーの洞窟は巴里の南西約450kmの彼方にあり、最寄の駅は僻遠なコンダ・ル・ランダンになる。この洞窟壁画は、ソリュトレアン末期からマグダレニアン期に亘って、クロマニョン人が描いたもので、17000年昔のものである。これはフランス最古の洞窟画ではなく、フランス南東部のアルデシュ渓谷には約3万年前の洞窟画が存在するし、更に南西部ドルドーニュにあるキュサック洞窟の線刻画に至っては更に古く35000年の昔のものといわれている。こうなってくるとグラベット文化(22000~28000年前)以前のオーリニヤック文化(35000年前)の時代にも洞窟画は描き刱められていた事になる。ラスコーの時代を地質学者は更新世の末期と呼んでいる。(約170万年前に始まった更新世は後氷期になって次の完新世に移行する。)完新世は、考古年代では新石器時代を指す。次にネアンデルタール人は、約3~5万年昔の人だが、これはムステリアン文化の人種であり、生物学者はネアンデルタール人の骨からミトコンドリアのDNAを取り出し、母方直系の遺伝情報を辿る事により、クロマニョン人とは血縁関係のない人種である事を確認した。塩基配列の位置関係の相違である。つまり系統樹において、ネアンデルタール人とクロマニョン人はアフリカの祖先から截然と枝分かれしているという事である。ラスコーの洞窟画は、スペインのアルタミラの洞窟画と同じくクロマニョン人によって描かれた事は、前述しており、この切手の中央には赤々とした中国牛が精妙に描かれていて、天井は歪曲法により躍動感が漲り、奥には匈臆に臧去していたはずの畸しい巨大牛オーロックスまで赤々と描かれ、目睫で観察すれば遉に心が滾り悦懌する。(これは波蘭で絶滅したのは既知の話である。)ダビンチの描いた赤々とした唇が約500年後に変色、褪色したのに対してラスコー洞窟画の赤が今だに褪色しない。それは、ダビンチの赤は有機顔料なのに対してラスコーの赤は天然鉱物の無機材料であったが故に1万年以上たっても化学変化が起こりにくかったのである。ラスコーの赤には天然に赤鉄鉱として産出する酸化鉄が用いられていた。赤の鮮やかさは結晶粒子の大きさに反比例すると言われている。




composé de six tapisseries, (Musée de Cluny, Paris),

ポエジーな息吹が厳粛な雰囲気を醸しだし、人の心を蠱惑していく。旧約聖書の中では既にレムという動物を指しているものの、バルチウスが夜空に星座として発表するまでは、その星像の姿はなかった。
 
この神獣を古代希臘のクテシアスは彙報でインドに棲息する幻の牛とか驢馬と記述しているが、プリニウスの博物誌では生擒して豢養した人がいない獣として伝聞することにしたそうである。この存在するはずもない神獣に眷恋して崇高なまでに謳いあげたオルフォイスのソネットは、リルケのアンソロジーの中枢で、啓示的な詩の世界の濬潭に浸ることにより、人々は瑞西の翠深き寂寥たる陬遠なローヌ渓谷を彷彿してしまうことでしょう。(何故ならリルケの塋域がそこにあるからである。)実際夜空を凝視しても一角獣らしきものはいないが、その位置をレンズで窺うと、四個の輝線星雲と一個の散開星団が集まっている学名NGC2237が膽望でき心を擽る。これが瓊しいバラ星雲であり、銀漢を横切る妍膽としたユニコーン(一角獣)なのである。ロゼット咲きの天河のバラ星雲は3600光年の彼方にある玲瓏たる発光星雲で、写真で撮影すると赤色に写って見え、これは水素ガスがこの辺りに非常に多い事の証左になる。星雲の中心は星間風によりガスを吹き飛ばしてしまった跡の空洞になっている。今ここから一つの惑星系が誕生しようとし、澎湃として心が奔騰していく。流石は恬澹として超脱の気品の神獣(一角獣)。しかも両脚のβ、γのすぐ前にバーナードループと呼ばれる深紅の三日月状の弧がいかにも神々しい。(このループは何百万年もの逖い昔に爆発した晧晧たる超新星のレムナントであるから誠に邃い。)         
ユニコーンのδーβ線を対象軸として参宿距星と対を成して燦爛と瞬いているのは、古代希臘のイリアスの叙事詩に詠われている姚冶なる『イシスの星』である。
つまりラスコーの天井壁画の一角獣は、旧約聖書の中での記述を交えてここまでつながっていたのである。改めて大自然の摂理に邂逅し、聖境の深造に臻る心地で、懽楽の極みに浸るのである。

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切手の話

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