9月分
9月30日
「誰も死なない世界」(ジェイムズ・L・ハルペリン 角川文庫)を読む。
心臓発作に襲われた医師ベンは、テクノロジーの発達した未来で蘇生するために、
自らの身体を冷凍保存させた。
21世紀に入り、バイオテクノロジー、ナノテクノロジーの研究開発は飛躍的な進歩をとげていった。
2072年。ついにベンは83年の時を経て息を吹き返す。
そこは、病気の心配もなく、半永久的な寿命を授かった人類が、
死との戦いに勝利を収めた世界だった・・・。
あらすじだけ読むとネタとしてはずいぶん古典的な話だ。
ブラックジャックにもあったな、こういう話。
ちゃんと、冷凍すると細胞が破壊される、とそこから始まってるのと、
無事に”解凍できる”まで科学が発達するのを待つ、というところが良かった。
途中、主人公のベンジャミン・フランクリン・スミスが、冷凍され、
家族紛争が終わった辺りから、解凍されるまでの間がちょっとツラかった、長くて。
あと、この小説三人称かと思ったら、実はベンの曾孫の一人称だったてのは、
けっこう読みづらかった。
気になるところは、読んでるといろんなモノを思い出すところかな。
ネメシスとか。
でも一番驚いたのは、「解説」かな。
作者が、現実の冷凍保存技術=クライオニクスの信奉者なのはいいとして。
この作品の翻訳権、出版権を取得し、解説も書いてる緑川某氏が
自ら、日本におけるクライオニクス関係の団体を運営してる、ってところが。
9月17日
「魔界都市ブルースE 〈童夢の章〉」(菊地秀行 祥伝社)を読む。
例のアレ。
2本入っているうちの「白髪の戦士」が面白かった。
ちゃんとした怪談っぽいところが。
9月9日
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」(フィリップ・K・ディック ハヤカワ文庫)を読む。
核戦争後の廃墟と化した地球では、一握りの残留者が
危うく絶滅を免れた動物を飼育することに
わずかな慰めを見いだしつつ、過酷な生活を送っていた。
しかしそんな地球でさえ、植民惑星で奴隷として酷使されている
アンドロイドにとっては天国にも思えたのだ。
自由を求めて、植民惑星を脱出した8人のアンドロイドたち――
だが彼らを待ち受けていたのは、アンドロイドの首にかかった莫大な賞金を狙う
バウンティ・ハンターの執拗な追跡であった。
というわけで、名作「ブレードランナー」の原作。
しかし、映画とはだいぶ雰囲気が違うが、かなり面白かったです。
なんかこう、アクションぽくなくて、じわーっと、人間ってなに? みたいな。
ラストも、あっさり終わるし。
まぁ、ディックの作品は、そういうの多いけど。
終わりかい! みたいなね。
9月5日
「夜の子供たち(下)」(ダン・シモンズ 角川文庫)を読む。
ドラキュラの末裔を手に入れた今、闇の一族は公位継承の儀式を急いでいた。
一方、奪われた養子、ジョシュアを追って、ケイトはルーマニアに密入国した。
呪われた遺伝子を受け継ぐその子を、彼女は最新医学で救おうとするが・・・。
以前、古本屋で上下巻セットで買ったんだけど、読もうと思ったら両方とも上巻だった。
てなわけで、やっと下巻、面白かったです。
相変わらず、ストリゴイのの不死性を医学的に求めるアプローチは面白いし。
前回、普通”夜の子供たち”といえば狼のことだと書いたが、やっぱりそうらしい。
「聞け! 夜の子供たちだ。なんと美しい歌声だ。」
名台詞だな。