6月分


6月28日

「エイリアン黒死帝国〔上〕」(菊地秀行 ソノラマ文庫)を読む。

トレジャーハンターシリーズの最新刊。

アフリカから持ち帰ったミイラの頭部、その呪いを受けた八頭大は

一ヶ月以内にその頭を胴体にくっつけないと命がない。

その気になったとき、ゆきがその頭を持って姿をくらましてしまった。

このピンチに、大は強力な助っ人、牙鳴譲の手を借りることに・・・。

はい、面白かったです。

なんかシリーズ初期の頃の雰囲気がある。

前巻、結局最後まで登場しなかったゆきが、冒頭から大暴走したり。

新キャラ、譲はホントは別シリーズの主役を張るはずだったが

もろもろの事情でとりあえず大ちゃんと競演するハメになったそうだ。

下巻であっさり終われば、きっと面白いに違いない。

 

6月26日

「死霊たちの宴 下」(ジョン・スキップ&クレイグ・スペクター編 創元推理文庫)を読む。

世界の終わりに彼らは目覚める。

それがゾンビ、生ける死者。

生者の肉を喰らう亡者の群。

ジョージ・A・ロメロの「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」に影響を受けた作家達が描く、

恐怖と哄笑、聖と汚辱の狭間をたゆたうアンソロジー、その下巻。

面白かったです。

この巻は、”運命の日”から後、世界が崩壊した後に

生き残った者たちと、生き還ったモノどもを扱った作品が多い。

ゾンビ達をうまく飼い慣らしてみたり、

あるいはすでにゾンビ達が人間に成り代わって支配者然としていたり、

いろんなアプローチの仕方が面白いが、すでにホラーじゃないな。

その中でも、死してなお究極の愛を求める男と女を描いた

ロバート・R・マキャモンの「わたしを食べて」が秀逸である。

 

6月12日

「アーカム計画」(ロバート・ブロック 創元推理文庫)を読む。

『ピックマンのモデル』だ!

蒐集家のキースが骨董屋で買った絵を見るなり、友人が言った。

リチャード・アプトン・ピックマン・・・ラブクラフトの小説に登場する画家だ。

フィクションのはずなのに、現実に存在していたとは!

その頃南太平洋の一郭で、大いなるクトゥルーが蠢動を始めていた。

世界に永遠の治世をもたらすために!

ラブクラフトの高弟、ブロックが描くクトゥルフ神話の集大成。

というわけで面白かったです。

神話作品では珍しい長編。

多少気になるのは、ラブクラフトへのオマージュなんだろうが、

作品中でラブクラフトラブクラフトうるさすぎ。

いろんな場面で、「これは『闇に囁くもの』だ!」とか

「『潜み棲む恐怖』だ!」とか「『冷気』にそっくりだ」とか、結構鬱陶しい。

そのへん気にしなければ、暗躍するニャルラトテップだの、ダークなオチだの大変よろしい。

いや、よかったよ。

 

6月2日

暗黒神話大系シリーズ クトゥルー8」(大瀧啓裕編 青心社)を読む。

呪われた悪魔の暗礁に、スン高原の石造都市の廃墟に蘇る太古の闇の恐怖。

というわけでクトゥルフ神話第8弾。

この辺りになると、さすがに読んだ作品が多い。

収録7作品中、初めて読むのはラブクラフト&ダーレスの「屋根裏部屋の影」くらいかな。

「インスマスを覆う影」に至っては、もう4回目くらいだよ。

面白い作品は、何度も読んでも面白いっす。

 

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