5月分
5月19日
「月の影 影の海(上) 十二国記」(小野不由美 講談社文庫)を読む。
ごく普通の高校生中嶋陽子は、謎の男ケイキに連れられ、海に映る月の光を通り抜けた。
そこは虚海と呼ばれる黒い海に囲まれた12の国が幾何学的に配置された世界。
その一つ、巧国に流れ着いた陽子は、闇から躍り出た異形の獣たちとの苛烈な闘いに突き落とされた。
なぜ孤独な旅を続ける運命となったのか、天の意とは何か。
長く苦しい陽子の冒険が始まる。
というわけで、大長編シリーズの第1弾。
出だしがつらい。
物語に対してやる気のない主人公と、いつまで立っても事情を説明しないわき役たち。
どこに向かっているのかわからないのがつらい。
ラストに楽俊が出てからちょっと面白くなるね。
話のベースは、不思議の国のアリス。
その他にもいろいろ。
いきおいで、「月の影 影の海(下) 十二国記」(小野不由美 講談社文庫)も読む。
上巻よりも全然面白い。
目的が明確になって、状況説明もばっちりだ。
半獣人楽俊の存在が大きいな。
全体的にはこの2冊で十二国記の壮大なプロローグなんだろう。
12国で12冊ってわけでもあるまいが。
5月10日
「ARIEL [18]」(笹本祐一 ソノラマ文庫)を読む。
帝国側、反帝国側入り乱れるなかで、ついに始まった第三艦隊主催のオープン・フリート。
第三艦隊旗艦アトロポースで開かれたオープニングのレセプションパーティーには、
フログレンスのニコラスをはじめ、会社艦隊のVIP他、銀河帝国内紛の主役達が顔を揃えている。
そして華やかなセレモニーの裏では、電子戦が始まった。
一触即発の危機に、我らが岸田博士はオルクスに便乗して会場に乗り込んでいく。
というわけで、今回けっこう内容が堅い。
なぜかと言えば、オルクスに残って電子戦に対応しているのがデモノバとシンシアで
この二人の会話が説明的で堅いんだな。
ハウザーや岸田博士も”猿芝居”と称して自分の役割を演じている節があるので堅く感じる。
その反動か、ラストはお祭り騒ぎの戦争ごっこ。
今回おいてけぼりを喰っていた女子高生西島由貴も遅ればせながら参戦。
次からやっと物語が動き出す感じ、かな。
5月1日
「マジカル・シティ・ナイト VoL.1」(朝松健 スーパークエスト文庫)を読む。
マジカル・シティ――。
市民は日常的に魔術や妖術、呪術を使い、
魔人、精霊、妖魔たちが跋扈する百鬼夜行の世界。
それは現代の科学技術から隔離され、中世以来魔術が発達した〈もう一つの世界〉。
あるとき、毒ガスを使い無差別に市民を殺害する怪人、マッド・ガッサーが現れた。
命を受け、魔術犯罪専門特捜官〈騎士〉である、道術師のベンと女吸血姫エスターがその捜査に乗り出した。
というわけで、まぁまぁ面白かった。
菊地秀行? とか。
ウィザードリィ? とか。
ウィザードリィのモンスターも、地下迷宮で普段は日常的な生活を送ってます、みたいな。
全部逆の視点で見てるわけで、市民は昼寝て夜起きるとか、科学など迷信である、とか。
でもやってることはこちら側と同じ、みたいな。
狙ってるのか、それとも作者がこちら側の常識に縛られてるだけなのか、
いまいち異世界っぷりに説得力がないよな。
作り物みたいでリアリティがない。
異世界を描くのは難しいけどね。