8月分


8月30日

「ハスタール」(伏見健二 電撃文庫)を読む。

7年前の夏休み、三國高人は市の北東に広がる雑木林「ザワ森」に、

噂の巨大カブトムシを捕獲するために早朝から出かけた。

踏み込んだ森の奥で、高人は異様な光景を目撃する。

材木を組んだ十字架に両の掌を打ち付けられ、心臓をえぐり出された無惨な少女の死体。

7年後、高人が偶然出会った可憐な少女は、両手に痛ましい傷跡を持っていた・・・。

というわけで、面白かったです。

ほえほえなイラストに騙されそうだが、タイトルからもわかるとおり、

これは”ちゃんとした”クトゥルフ神話作品である。

いやぁ、正直驚いたね。

黒眼鏡のジジイとか巨大カブトムシ”レッドビートル”の正体とか。

とりあえずこの作品を読む前にオーガスト・ダーレスの「永劫の探求」を読んどいたほうがいいかも。

続きを期待する。

 

8月23日

「ユニオン・クラブ奇談」(アイザック・アシモフ 創元推理文庫)を読む。

ユニオン・クラブの談話室で三人のメンバーが雑談に花を咲かせていると、

傍らで微睡んでいたグリズウォルドがやおら目を覚まし、奇想天外な挿話を語り出す。

優れた洞察力で事の真相を見抜いたという自慢話に終始するのだが、

聞いてる三人には皆目見当がつかない。

SF界の大御所アシモフのもう一つの顔、本格推理作家。

その才能を遺憾なく発揮した連作短編集。

同じくアシモフのミステリ「黒後家蜘蛛の会」と設定や展開が似ている。

こっちは、前半のグリズウォルドが語るミステリ部分と、

後半の謎解き部分の間に空白があり、読者に対しても挑戦する構図になっている。

が、少なくとも日本人である僕には、謎解きは不可能である。

誰が米国歌の3番なんか知ってるものか。

どの作品も、アメリカ人なら知ってるかも、という知識を必要とする謎解きなので、

挑戦されても困る。

というわけで、ただの小説として楽しんだ。

まぁ、そういうわけ。

 

8月8日

「拳獣団」(菊地秀行 ソノラマ文庫)を読む。

「世界学生空手トーナメント」で優勝したものの、その夜、高額賞金を賭博ですってしまった

大阪武専大空手部主将・虎堂竜作は埋め合わせの賞金稼ぎに

一回生・綾木を従えてトルコへと向かった。

従妹の静香が購入した銭湯建設用地に眠る遺跡には、

マフィアが手を伸ばす金目の物が眠っているらしい・・・。

というわけで、菊地秀行のソノラマ新シリーズ。

まぁ、普通の話なんだが、トレジャーハンターでいいんじゃん?

とか思ってたらあとがきにトレジャーハンターシリーズで書くはずだった、と書いてあるし。

ああ、そうですか。

何かキャラクターとかベタベタで、いまいちかな。

シリーズ物ってんなら、続きに期待しましょう。

 

8月5日

「多重人格探偵サイコ1 情緒的な死と再生(大塚英志 角川スニーカー文庫)を読む。

コミックで人気の同作品のノベライズ、というかサイドストーリー。

コミック読んでないので、よくわかりません。

なんにも語れないわ、申し訳ない。

 

8月3日

「吸血鬼幻想 ドラキュラ王国へ(菊地秀行 中公文庫)を読む。

吸血鬼を愛してやまない作者が、ドラキュラの故郷、ルーマニアを訪れ、

様々な体験を語る旅行記。

要するにこんな楽しいことをした、うらやましいだろうって話なので、

面白いけどそれほど語ることはない。

例によって吸血鬼好きか菊地秀行好きなら楽しめる。

行ってみたいなトランシルバニア、って感じかな。

 

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