9月


9月22日

暗黒神話大系シリーズクトゥルー5」(オーガスト・ダーレス他 青心社)を読む。

クトゥルフ神話連作集成第5弾。

この巻の特徴はニャルラトテップ物が多いことかな。

あとハイパーボリア物2本、「魔導師エイボン」と「アタマウスの遺言」を収録。

魔導書「エイボンの書」の著者、エイボンの終生を語った前者、

首都コモリオムの衰退の原因を描いた後者とも、C・A・スミスの名作である。

他に角度を通って進入する魔物の恐怖を描いた、F・B・ロングの「ティンダロスの猟犬」

クトゥルフ、深き者どもを扱ったオーガスト・ダーレスの「谷間の家」など

面白い作品が多かったね。

 

吸血鬼ハンター12D−邪王星団1」(菊地秀行 ソノラマ文庫)も読む。

Dの最新刊。

前回、神祖に次ぐNo.2貴族のギャスケル大将軍を倒しちゃったから、もう敵いないようなぁとか思っていたら、

今度の貴族は宇宙から来たよ。

と言っても別にスペースヴァンパイアではなく、5千年前に神祖によって宇宙に放逐された

”絶対貴族”ヴァルキュアという奴だ。

最近のパターンとして、Dが依頼人を護衛しながら旅をするといういわゆるロードノベル風の話が多いんだが、

その時何故か他の貴族も一緒というのが多い。

さらに他の女貴族がDにラブラブになったりして。

そしてD自身は以前より甘甘になった気がするなぁ。

毎回同じパターンだと、感想書くの大変だ。

といい訳で次巻を待とう。

ところで前巻のラストで逃げちゃったギャスケル将軍、今回いきなり死体になって登場はちょっと困った。

 

9月17日

「真ク・リトル・リトル神話大系2」(ラブクラフト他 国書刊行会)を読む。

クトゥルフ神話大系の完璧な網羅を目指すシリーズ第2弾。

はい、面白かったです。

ラブクラフト、C・L・ムーアら5人の手になるリレー小説

「彼方よりの挑戦」

R・ブロックの初期作品、後にラブクラフトによって神話大系に組み込むことを許された魔導書、

「妖蛆の秘密」を扱ったその名も、「妖蛆の秘密」

クトゥルフ神話の傑作「ダンウィッチの怪」、「インスマスを覆う影」の2作品を結びつけた

ダーレス&ラブクラフトの合作「開かずの部屋」

現実と虚構の境界線、”現実の”ネクロノミコンの原典を明らかにする、コリン・ウィルソンに宛てた謎の手紙、

「スタニスラウス・ヒンターシュトイザー博士の手紙」

イギリスの魔術結社「黄金の夜明け団」の流れを汲むオカルティスト、ロバート・ターナーによる

「死霊秘法 解説」

そしてアブドゥル・アルハザードの著作の日本語訳

「ネクロノミコン 断章」

など、興味深い作品を多数収録した1冊。

初っ端のラブクラフトの長編詩「ユゴス星より」だけはつらかったなぁ。

 

9月12日

「幽霊屋敷」(友成純一 角川ホラー文庫)を読む。

現代においてなお、河童の目撃例が後を絶たない熊本県国見村。

村人も訪れない村はずれにある一軒の屋敷に、ある一家が越してきたとき、事件は始まった。

次々と行方不明になる村人達。

屋敷の周りでは奇怪な生物が目撃される。

そして徐々に明らかになる屋敷に隠された秘密とは・・・。

・・・別に秘密もへったくれもないよなぁ。

なにせ冒頭のシーンが2人のマッドサイエンティストのおやじが実験してるところだし。

このオヤジどもも、結局何がしたいのかよくわからないしなぁ。

人間の心を拡大して神の領域に近づくとか、それには肉体も変質させる必要があるとか、

その辺はわかるんだけど。

その割には人間の身体を無駄に切ったり張ったりしてる。

あと河童との関連性もあんまりないし。

この小説一応クトゥルフ神話作品なんだよね。

それで河童といえばやっぱり深き者どもかなぁとか思うんだけど、

そんなことは全然なくて、魔導書の名前とかがちょこっと出てくるだけだった。

それから最後どうなったんだ。

なんか一番かんじんなとこ書いてないし。

河童と実験体達がどうなったかってのが一番気になるよ。

村人や世間にたいして、当たり障りのない報告をしてうやむやにするってのはわかるが、

読者にもそれをやってどうする。

余談だけど、冒頭でクトゥルフ神話の魔導書「妖蛆の秘密」について言及するシーンがあるけど、

作者がフォン・ユンツトとなってる。

これは間違い。

「妖蛆の秘密」の作者はルドウィク・プリンで、フォン・ユンツトが書いたのは「無名祭祀書」である。

以上、マメ知識。

 

9月7日

白夜サーガ魔王星 下」(菊地秀行 祥伝社文庫)を読む。

前巻の続き、完結編。

内容は、新しい敵が出てきたり、戦ったりして、終わり。

普通に読めて、普通に楽しめる作品だな。

特に語ることはない。

 

9月3日

異形コレクションXIIGOD」(井上雅彦監修 廣済堂文庫)を読む。

毎回、1つのテーマで多数の作家が作品を発表するホラーアンソロジー、その第12弾。

今回のテーマは、神。

テーマの割には、小粒な作品が多かったかな。

もう書くことがないな。

1番面白かったのは、大場惑の「大黒を探せ!」かなぁ。

ちなみに小中千昭の「神佑」、倉坂鬼一郎の「茜村より」、菊地秀行の「サラ金から参りました」は、

最近僕の中でブームのあの物語を扱っている。

「神佑」に登場する旧支配者は、よくわからんなぁ。ハスターかな?

「茜村より」に出てくる画家交野東亜(かたのとうあ)は、ガタノソアのもじり。

「サラ金〜」のCDW金融の元ネタはチャ−ルズ・デクスター・ウォード、という感じかな。

だからどうしたということはない。

 

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