5月分


5月30日

ブギーポップ・ミッシングペパーミントの魔術師」(上遠野浩平 電撃文庫)を読む。

ブギーポップシリーズ第6弾。

今回の世界の危機は、アイスクリーム作りの天才、軌川十助。

結論から言うと、この十助の作ったアイスクリームを食べると、心の痛み

というか痛みを感じる心がなくなってしまうというもの。

まぁ、それはいいんだけど。

今回全3部作になってるんだけど、ACT1は面白かったかな。

なんかすごいブギーポップっぽくて。

全然関係ない話が進んだあと、最後の最後に出てきて、

その場で一番世界の危機っぽい奴をズバッとやっつけて終わり。

いや、よかったよ。

ACT2は「VS.イマジネーター」の後日談っぽい話で、あっちの方についてた方が良かったんじゃないか?

ACT3はもう何だかわからない付け足しだな。

別に無理矢理説明とかつけない方がいいと思うんだけどなぁ。

今回はACT1だけならすごい良かったと思うんだけど。

それからシリーズ読んでて弱いなぁ思うのは、統和機構がいまいち何をしたいのかわからないとこだな。

それに統和機構の怪人は、何であんなに軟弱者ぞろいなんだろう?

前々回辺りから、寺月恭一郎の酔狂自慢話になってるのもちょっと気になった。

あと、この作者ちょっと文章読みやすくなった?

そこは評価できる。

 

5月28日

「二重螺旋の悪魔 上」(梅原克文 角川ホラー文庫)を読む。

「ソリトンの悪魔」で日本推理作家協会賞を受賞した梅原克文のデビュー作。

バイオ産業の民間会社の濫発する近未来。

遺伝子操作監視委員会の深尾直樹は、元恋人の勤務する会社の事故調査に赴き、異様な光景を目撃する。

閉鎖されたP3区画の惨劇のあと、そしてモニターを横切る奇妙な生物。

DNA塩基配列・イントロンの謎をめぐり、人類の直面した未曾有の危機を描くバイオホラーである。

これまた途中なんで何とも言えないけど、面白かったな。

作中で語られるDNAの中に封印された怪物と、ラブクラフトの「クトゥルフ神話」との奇妙な符号とか。

途中から主人公が超人になる菊地秀行的展開とか。

なんとなく某蚊猫の書いた「魔物ハンター」を思い出すんだよなぁ。

というわけで続きに期待。

 

5月25日

「天使墜落 上」(ラリー・ニーブン&ジェリー・パーネル&マイクル・フリン 創元SF文庫)を読む。

1992年度、プロメテウス賞受賞作。

軌道上の宇宙ステーションに住む人々が、地球と縁を切ってから数十年。

地球は環境保護の名の下に、科学技術を憎悪する連邦政府が治めている。

そんな中、二人の宇宙飛行士が、地球上に落っこちた。

科学技術の申し子にして空気泥棒のステーション人が、連邦政府に捕まったらタダではすまない。

しかし地球にも、彼らに味方する少数の人々がいた。

科学信奉者と罵られ弾圧されながらも地下活動を続けるSFファンたち。

二人の「天使」を宇宙に帰すため、彼らのドタバタ逃走劇が始まった。

しかし、彼らを追跡する連邦政府の中に、彼らの手の内を全て知る元SFファンがいようとは・・・。

てなわけで、まだ上巻なんでとりあえずあらすじまで。

それにしてもニーブン&パーネルってこういう話、好きな。

SF作家やらSFファンやらがワラワラ出てきて、内輪受け的な話で盛り上がってる間に、

あれよあれよという間に問題が解決していく話。

それでも面白いから、すごいよね。

しかもちゃんと”SF”だし。

 

5月22日

ドラキュラ叢書5ク・リトル・リトル・神話集」(H.P.ラブクラフト他/荒俣宏編 国書刊行会)を読む。

日本初のクトゥルフ神話関係アンソロジー。

ダーレス、ヒールド、ビショップ、ハワード、チェンバース、スミス、ジョンソンらの錚々たるメンバーによる傑作選。

はい、面白かったです。

特に良かったのはラブクラフトの文章より格段に読みやすいとこ。

もう書くことないな。

そういえばいくら人間には発音のできない名前を付けたとはいえ

『CTHULHU』をどう読むと『ク・リトル・リトル』と読めるんだろう?

けっこう謎。

 

5月17日

「夜明けのブギーポップ」(上遠野浩平 電撃文庫)を読む。

ブギーポップシリーズ第5弾。

なんか第1作以来、久々に読みやすいブギーポップだったな。

内容的にはブギーポップ誕生秘話、というよりも炎の魔女誕生秘話、だな。

炎の魔女こと霧間凪が、なんでこの”ブギーポップ世界”にいるのか判って良かった。

彼女、初めから全然物語に関わらないし、キャラクター的にどういう位置にいるのかイマイチ不明だったんだよね。

道楽で正義の味方やってるだけの人だったし。

でもこの巻で、統和機構と少なからぬ因縁があることがわかる。

これ読むと彼女の存在が、別にいなくてもいいんじゃん、から、いても仕方ないか、ぐらいにはなるな。

ブギーポップについては相変わらず謎。

ただの謎の存在ならいいんだけど、中途半端に宮下籐花に憑いてるところがよくわからん。

死ぬ間際のスケアクロウの念が、たまたまそばにいた籐花に憑いたという解釈でいいんだろうか?

僕はてっきり、もっと大昔からいる「存在」だと思ってたんだけど・・・。

誰か解説してくれ。

 

5月12日

「クリムゾンの迷宮」(貴志祐介 角川ホラー文庫)を読む。

作者は先だって映画化された「黒い家」の人。

主人公藤木は深紅色の奇岩が連なる異様な景色の中で目覚めた。

自分はなぜこんなところにいるのか。

手元にあるのはわずかな食料と水、そして携帯用ゲーム機。

ゲームの電源を入れるとそこには・・・。

という感じで始まる典型的なプリズナー物。

プラス、ゼロサムゲームといわれる生き残りのサバイバル。

異様な景観の閉ざされた世界に突如放り込まれた9人の、生き残るための戦いが始まるわけだが

はい、面白かったです。

文章読みやすいし、話のテンポも良かった。

 ゲーム機とかのアイテムの使い方もうまかったし。

というわけであっという間に読んじゃったよ。

強いて難を言えば、ホラーじゃないとこかな。

 

5月10日

「トワイライト・レディ」(菊地秀行 集英社文庫)を読む。

菊地秀行が雑誌コバルトに発表した短編を集めた1冊。

コバルト文庫といえば少女小説の王道だが、超伝奇バイオレンスの旗手のもう1つの顔を窺い知ることができる。

「インベーダー・サマー」や「夢幻舞踏会」を彷彿とさせる叙情的な文章が、白い少女の儚さを際立たせている。

収録された4本ともすべて独立した作品だが、どれも白い少女=吸血鬼という存在と

主人公との淡い、あるいは奇妙な関わりをあつかった名作である。

というわけで、はい面白かったです。

この本探してたんだよねぇ。

ひょいと入った古本屋で、100円で売ってた時はびっくりしたね。

もう絶版だと思ってたから嬉しかった。

面白かったし。

でも、めるへんめーかーのイラストはちょっと無理があると思った。

 

5月7日

暗黒神話大系シリーズクトゥルー1」(H・P・ラブクラフト他 青心社)を読む。 

ラブクラフトの創造した「クトゥルフ神話」。

彼と、彼の友人、弟子たちが書きつづった神話大系の集大成。

そのシリーズ第1弾。

はい、面白かったです。

ただオーガスト・ダーレス以降の旧神VS旧支配者の図式や

地風火水の四大元素的設定は、やっぱ興ざめかなぁ。

ま、「神話」の解釈の違いと思えば気にもならないか。

 

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