◇CD review[2004-2006]◇
update 2006.05.27

〔english〕 〔japanese〕

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2006.05.27
●WILDERNES / VESSEL STATES

米国VIRGINIAの新進?Group。AMAZONのディスク紹介に「JOY DIVISION、初期のP.I.L、THE FALLをイメージさせる」と書かれていたので試しに買ってみたが、久々の大ハズレだった。一体、何処を如何すると↑これらの面々が引き合いに出されるのか? はっきり言って似ても似つかない。レビュアーの見識を疑う。
1980年代のネオアコを髣髴させるGuitar SOUNDは可もなく不可もなくといったレベル。しかし、このSOUNDに一本調子で雄叫びを上げるB級HARD ROCK調のVocalが被さるのはミスマッチとしか言いようがない。おまけにVocalの声色が犬の咆哮のようで深みや陰翳は皆無ときている。思わず1曲目の途中でSTOPボタンを押したくなった。迂闊にも新品を買ってしまったので、我慢して最後まで聴いたものの、恐らく二度と再生することはないだろう。これは即売。
口直し、いや耳直しにMINISTRYの4曲入りSingleCD「LAY LADY LAY」(1996、表題曲はBOB DYLANのカバー)を聴いた。まさに雲泥の差。


2004.12.08
●ASSOCIATES / Radio One Sessions Vol.1/2

この2作品は、いずれもJOHN PEEL SESSIONでのSTUDIO LIVEを収録したもの。VOL.1がアラン・ランキン在籍時(1981〜1983年)のテイク、VOL.2は実質上、ビリー・マッケンジーのソロとなったTHE ASSOCIATES(名義)時代(1984〜1985年)のテイクと時系列で区分されている。VOL.1は、共に魅力溢れるVOCALとGUITARの掛け合いが素晴らしく、唯一無二の耽美派NEW WAVE Groupとしての面目躍如といったところ。一方、VOCAL主体のVOL.2では、POPな曲と落ち着いたナンバーのバランスが良く、よりじっくり聴かせる。秋の夜長(もう12月だか……)に相応しいのは、VOL.2のほうか。なお、VOL.1に収録されている数曲は、かなり以前、ALBUM-PickUpページで取り上げた『JOHN PEEL SESSION (studio live) (1981)』と重複している。
1990年代後半まで、ASSOCIATESのCDは、内容的に不十分なベスト盤『ASSOCIATES POPERA』と上述のJOHN PEEL SESSIONを収録した5曲入りミニALBUMしか発売されていなかった。それが、ここ5〜6年の間に、オリジナルALBUMの初CD化にとどまらず、SINGLE編集盤やレアなLIVE音源集など、リリースラッシュが続いている。こうした状況の激変は如何に。正当な再評価は嬉しいものの、それがビリー・マッケンジーの死後となってしまったのは残念だ。

p.s.
余談だが、15年位前だったか、ある音楽雑誌のインタビュー記事でTHE CUREのロバート・スミスがこんなことを語っていた。「BlackのVocalistでなければSOULFULLじゃないという考えは全く間違っているよ。○○(←著名なBlack Vo.の名を挙げていた)よりも、マッケンジーのほうが遥かにSOULFULLとは思わないかい?」
……書店で立ち読みしながら「我が意を得たり」と一人ほくそえんだ記憶がある。


2004.08.22
●STEVE DIGGLE / SOME REALITY

てっきり1990年代の(BUZZCOCKS)FOC(Flag of Convenience)と同じ路線か?と高をくくっていたら、意外や意外、英国伝統ともいえる良質なFolkRockを聴かせてくれる。もしかして彼の音楽的なルーツはこの辺にあるのだろうか。以前、ALBUM PickUpのページで少々茶化したレビューを書いてしまったが、前言撤回。実はこれまでPUNKミュージシャンとしての自分のポジションに相応しいSOUNDづくりに徹していたわけか。
ALBUMジャケットの裏面には、「Paul Weller(EX.JAM)よりも優れた多くの仕事を成し遂げている」という雑誌記事?の切り抜きが刷り込まれている。UKにおけるPaul Wellerのエスタブリッシュメントぶりを勘案すれば、この評価はほぼ絶賛に近いといえよう。ただ、よくよく考えれば、第三者の執筆によるライナーならいざ知らず、作品の一部であるジャケットにこのようなレビューを載せるなんて……余程嬉しかったのか(笑)  


2004.07.31
●MERIDIAN DREAM /(SAME)

AMAZONなどのオンラインショップでは数年前からずっと品切れ状態。必死に探していた訳ではないが、つい先日、中古CD店で偶然見つけ、ようやく入手することができた。このMERIDIAN DREAMは、元DANSE SOCIETYのVocal兼リーダーだったSTEVE(VICTOR)RAWLINGSの個人プロジェクト。本作は1995年のリリースなので、(事実上)DANSE SOCIETYが瓦解してからほぼ10年という時を経ての復活となる。活動拠点はどうやら米西海岸に移したようだ。ジャケット裏面のクレジットを見ると、同地にあるマイナーレーベルの名が記されている。このSOUNDを無理やりジャンルで括るとすれば、NEW AGEに分類されるのだろうか。Vocalというよりは効果音的なVoiceが所々に挿入されているだけの実質、Instrumental作品。オープニングから中盤にかけては、全く拠りどころのない浮遊感覚に耽溺することができる。しかし、中盤以降は、DANSE SOCIETY末期の作品にも暫し見られたチープな打ち込みが多用され、一気に萎える。90年代半ばといえば、ちょうど音響派の最盛期。ただ、同じインスト中心といっても、こちらにはダークな雰囲気も轟音Guitarも無く、SOUNDの厚みは遥かに乏しい。音数が少ないだけに空疎となる恐れはあるものの、一貫して序盤の空間的なSOUNDを押し通したほうが、その後の新たな展開につながったような気がする。


2004.03.19
●JOHN FOXX / CRASH AND BURN

ALBUMジャケットやブックレットの写真から想起される通り、テーマ性・ストーリー性の強い作品。聴き手は否応にも視覚的、映像的イメージを掻き立てられる。ただ、そのSOUNDは彼独特のMETAMATIC路線とも一時期のAMBIENT路線とも趣を異とするモノ。JOHN FOXX meets KRAFTWEAKと言うべきか、かつてないミニマルかつタイトなTECHNO SOUNDを披露している。そこに、METAMATIC路線の特徴である仕組まれた「隙間だらけの音空間」――意図的な時間・空間構築は見られない。とはいえ、作品のクオリティはMETAMATICレーベルにおける一連の作品と同じく、非常に高い水準にある。本作での取り組みを否定的に捉えるつもりは決してない。
ULTRAVOXの時代から、TECHNO系アーチストとして一般に認知されてきた彼だが、個人的にはJOHN FOXXイコールTECHNOという偏狭な見方には少なからぬ違和感を覚えてきた。その点において、彼が今回、このような全くのTECHNO ALBUMをリリースしたというのは大変興味深いところだ。

p.s.
先日、GOODにも書いたが、怒涛のリリースラッシュに聴く方が追いつかず、未開封の新作CDが2セット、棚に眠ったまま。早く聴きたい。でも、疲れている時などに、いい加減な気持ちで聴き流したくはないし……。


2004.03.13
●MEDICINE / MECHANICAL FORTH OF LOVE

解散後、約10年の時を経て、再結成されたMEDICINE。本作は2003年夏にリリースされた全くのnewALBUMだ。そして、BRAD LANERが新たに選んだパートナーは、なんとブルース・リーの娘SHANNON LEEだった。新生MEDICINEは、InsturumentsとVoiceを担当するLANERと、Voiceを担当するLEEの二人によるUnit。そのSOUNDは明るめの80年代エレポ風となっている。LEEのVOICEは、その見事な体躯(失礼!)から、てっきりSoulfullな声かと思いきや、意外や意外、か細く可愛らしい声。ただ、BETH TOMPSONのような瞑想的かつ厭世的な雰囲気は持ち合わせておらず、深遠さミステリアスさは感じられない。そしてLANERはELECTRIC COMPANYにおける活動と同じく、完全にGuitarを手放してしまった。「新生」である以上、SOUNDに新展開を見せるのは至極当然だろう。しかし、あの轟音Guitarを聴けないのはやはり残念だ。ただ、90年代前半の第1期MEDICINEとまるっきり異なるSOUNDというわけでもない。所々に、優しさ溢れる癒し系SOUNDが特徴だった3rdALBUM『HER HIGHNESS』の残り香が……。




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