最終更新日:平成16年1月20日

読売新聞16.1.13から


日本経団連中心に大陸棚調査のための新会社を設立
 3月中に政府がこの会社に調査を委託する方針決定した。


 政府は十二日、日本周辺の海底資源の採掘権拡大を目指した大陸棚調査を、官民一体で進める方針を固めた。三月中に調査の一部を民間会社に委託するための随意契約を結ぶ。国連が定める二〇〇九年の期限までに調査を終えるためだ。政府の要請を受け、日本経団連が中心となって、調査実施のための新会社を二月にも設立する予定だ。
 政府が民間企業と随意契約を結ぶのは、大陸棚調査のうち、海上保安庁が担当する音波探査装置を使った精密海底調査。来年度予算案に海上保安庁が計上した五十四億円のうち、民間契約分は四十億円前後となる見込みだ。海上保安庁の調査船二隻に加え、四月以降は新会社が五隻の調査船を出して、調査する計画だ。
 新会社には現在、新日鉄、石油資源開発、鹿島建設など計九社が参加する方向だ。さらに数社が参加を検討しているという。
 政府は今後、文部科学省が担当する地殻構造調査や、経済産業省が担当する基盤岩採取調査についても、一部を民間に委託する方向だ。
 国連海洋法条約は、沿岸から二百海里までの海底資源の採掘権を認めている。 ただし、沿岸国が海底の地質や地形などの詳細な科学的データを国連へ提出し、 地続きであるなど大陸棚と認定されれば、二百海里を超えても採掘権が認められる。
 海上保安庁などによると、日本近海の鉱物資源は、推定で金・銀・コバルトが日本での使用量の五千年分、マンガンは一千年分、天然ガスは百年分の埋蔵が見込まれている。しかし、日本の場合、二〇〇九年五月の期限までに調査が間に合わなければ、これらの資源がふいになる。
 このため、政府は昨年十月、日本経団連に対し、「政府の調査能力だけでは、 期限までに調査が終わらない可能性がある」として協力を要請していた。
 日本経団連も「将来の我が国産業にも多大な影響を与えるプロジェクトだ」として、これに応じることになった。