問20の答え
走者が守備側をかく乱しようとしたり、試合を愚弄する意図が明らかだった場合、審判員はただちにタイムを
宣言し、その走者をアウトとすることができる、とあります。つまり、例題のケースはカツノリ、アウト。
オジサン世代で、記憶力の良い、野球漫画好きな人なら覚えているかな? その昔、「侍ジャイアンツ」という
アニメ(原作は少年ジャンプ掲載、井上コオの漫画)がありましたね。番場蛮という型破りなサウスポーが魔球を
駆使して巨人の勝利に貢献するってストーリーだったんだけど、このアニメでこういうシーンがあった。
番場は、投手ながらバッティングセンスも抜群で、その試合でも二塁打を放って二塁塁上にいた。この番場、
次打者の時、何を考えたのか一塁へ逆走し始めた。投手は慌てて一塁へ送球したが、これが逸れてしまい、
走者の番場は、そのまま二塁へ戻り、さらに三塁へ達した。
当然、相手チームから抗議が出る。守備側かく乱を狙った逆走はアウトのはずだ、と。審判もそう判断しかけた
が、番場の説明で一転セーフとなった。どういうことか?
つまり、こういうことである。番場は外野の頭上を越える打球を放ち、一塁を蹴って二塁に達した。が、実はこの
時、二塁ベースを踏んだように見せかけて踏んではいなかったのである。一塁は踏んでいるからセーフはセーフ
である。この打球を打ったとき、守備側は番場が悠々と二塁に到達したため、タッチプレーはしていなかった。
要するに、番場は二塁打に見せかけていたが、実はシングルヒットだったというわけだ。無論、このことに守備
側が気づいてタッチプレーをしていれば文句なくアウトである。もうひとつ言えば、投手が一度でも二塁へ牽制球を
放り、牽制球を受けた野手が番場にタッチしていればアウトになる。もちろん、番場がそのときに二塁を踏めば
セーフだが、逆走はできなくなるわけだ。
となるとどうなる? 番場は二塁ベース付近にいたが、二塁ベースは踏んでいない。が、守備側はそのことに
気づいていない。つまり、この場合、番場は一塁走者であり、非常に大きな離塁(リード)をしていたに過ぎない
ということになるわけだ。
だから、問題のケースでは、逆走ではなく単に一塁へ帰塁しようとしただけだ、と主張したのである。
この場合、審判も守備側も番場の主張に反論する材料はない。番場が二塁ベースを踏んでいないことに気づか
なかった方が悪いのである。