野球はいいものだ。セミプロ並みに真剣にやっているチームもあれば、たまの
休みのお楽しみ、怪我しないようにのんびりとプレーしているチームもある。ビール
    をひっかけてホロ酔い気分でポジションについている選手もいたりする。

     グラウンドは河川敷。何面も野球をしており、隣のグラウンドのライトとこっちの
    レフトが隣り合っていたりする。当然、フェンスなんかない。外野を抜ければ100
    %のホームラン・・・と思いきや、走る走者はえっちらおっちら、ようやく二塁に座り
    込む有り様。

     余談が長くなったが、本題もこんなグラウンドで行われた。
    昭和28(1953)年4月1日。広島−松竹戦は、広島県尾道市の尾道西高校の
    グラウンドで行われた。いくら野球部のグラウンドとはいえ、球場ではない。本来
    であれば、とても公式戦に耐えるものではなかったが、昭和20年代はこういうこ
    とも珍しくなかった。

     なにしろグラウンドなのだからスタンドはもちろん、フェンスだってない。仕様が
    ないので、グラウンドと観客席の境界線はナワを張って作った

     問題のシーンは、4回裏広島の攻撃中に起こった。広島・白石勝巳の打球は
    右中間に伸びて、縄張りギリギリのあたりに飛んで行った。審判の判定はホーム
    ランだったが、ここで松竹側が抗議した。「ファンが縄を押して白石の打球を
    ホームランにした
」というのである。

     ここ尾道は広島の地元だから、当然広島ファンが圧倒的だ。もし松竹の選手が
    同じ打球を打ったら、逆に縄を引っ張っただろう、という松竹の抗議には説得力が
    あった(^^;)。
     しかし、いまさら確認も出来ず、判定はそのまま、15分の中断で試合は再開さ
    れた。
 



      戻る