ロの打球なんてのは、恐らく野球の試合の中で最も多いのではないか、と
思うのであるが、これがゴロでアウトを取られたケースがゼロというびっくり
    するような記録がある。

     昭和58年(1983年)5月25日の阪神−中日戦(甲子園)での出来事である。
    中日先発の高橋三千丈投手(現・中日投手コーチ)は、速球とシュートを武器と
    した右腕。タイガース打線は、このシュートにことごとく詰まらされてしまった。

     高橋投手は、阪神を散発3安打に抑えたのだが、4つ三振を奪った他は、
    すべて飛球だったのである。23アウトの内訳は以下の通り。
      キャッチャーフライ=1
      ファースト(ファール)フライ=1
      セカンドフライ=2
      サード(ファール)フライ=2
      ショートフライ=5
      レフトフライ=2
      センターフライ=7
      ライトフライ=2
      ライト(ファール)フライ=1

     実に見事なくらいに、阪神打線はフライを上げまくっていたわけだ。もっとも、
    3本放ったヒットは全部ゴロの打球だったのだから面白い。内訳は、1回の
    ストローターがゴロで二遊間を抜けるヒット、5回に笠間雄二が三遊間を破る
    ヒット、8回、永尾泰憲のピッチャー強襲ヒットである。

     中日は、投手、捕手、内野手、外野手とも補殺(☆)ゼロ。もちろん、史上
    初めてで、大リーグにもない記録だそうだ。



 ☆補殺とは?
     送球などで、打者または走者を間接的にアウトすることを言う。つまり、
    ショートゴロをショートがさばいてファーストに送球してアウトにしたとすると、
    ショートに補殺が記録され、ファーストには刺殺(恐いなあ(^^;))が記録され
    る。
     外野手が、フライやヒットの打球を抑えて、バックホームして走者を刺すの
    も補殺だ。もちろん、ホームじゃなくても二塁でも三塁でも構わないわけだが。
    オリックスのイチローなどは、毎年、この補殺数がナンバー1である。強肩
    外野手の証明でもあるのだ。


   戻る