☆真空管アンプ
[Technics SU−50Aのメンテナンス]
項目 作業項目 写真1 写真2
写真3 写真4
SU−50A 1970年頃購入した松下のプリメインアンプSU−50A。
現在、真空管アンプのプリアンプとして低域用のメインアンプとして使用しているのですが、製造から43年ほど経過しているシロモノです。
今まで一度も電解コンデンサーを取替えていなかったので、今回取替える事にした。
中国メーカーの電解コンデンサーは、1年位でダメになる物が多い中43年とは流石に日本製ですね。
仕様および回路図
麦球のLED化

2013.01.14
パネルライトの麦球は、LEDが世に出る前に一度取替えているが、今は電球の時代ではないでしょう。
(基板作成)
(取付け)
LEDを3個直列にしたのだが、一寸暗かったかなア〜。
電解コンデンサー取替え Before After
(B電源)
2013.01.14 50V 3300μF×2 50V 4700μF×2

10000μFでも良かったのかも知れないが手元にあった4700μFを使用した。
(補助B電源)

2013.01.17
80V 1000μF
100V 100μF×2
100V 22μF
160V 10μF×2
100V 2200μF
100V 220μF×2
100V 47μF
160V 22μF×2

電源部はリップルを減らすべく、容量が1ランク上のものを使用してみた。
(撤去品) 電源部の取替えた電解コンデンサです。

40年も経過すると拭いても汚れが取れません。
(ドライバー基板) 電解コンデンサにもいろいろ種類があります。
何を使いましょうか。
ここは折角なので、以下の基板にはちょっと奮発してハイグレードなニチコンのオーディオ用FGシリーズを使う事にした。
・ドライバー基板
・フォノイコライザー基板
・トーンコントロール基板


2013.01.19〜20
裏付けの抵抗・リード線があり、戻すとき間違ったら大変。

なので写真に残す事にした。
50V 100μF×4
6.3V 100μF×4
25V 4.7μF×2
16V 10μF×2
100V 100μF×4
50V 100μF×4
50V 4.7μF×2
50V 10μF×2
(フォノイコライザー基板)
160V 1μF
50V 10μF×2
10V 33μF×2
16V 47μF×2
50V 3.3μF×2
400V 1μF
100V 10μF×2
50V 33μF×2
50V 47μF×2
100V 3.3μF×2
(トーンコントロール基板)
50V 10μF×4
16V 33μF×2
6.3V 100μF×2
100V 10μF×4
50V 33μF×2
50V 100μF×2
(撤去品) ドライバー、フォノイコライザー、トーンコントロールの各基板の撤去した電解コンデンサ。
電圧および電流調整

2013.01.17
0バランス調整:5mV以下

中点電位のズレを2段構成の差動増幅回路に直流帰還させて押さえ込む働き。
2電源のOCL回路では、この調整が最も重要である。
放っておくとスピーカーを焼損する。

もっと不安定かと思っていたのですが、意外に安定しています。→→
バイアス調整:20mA

終段の無信号電流で、0.47Ω両端の電圧が10mVになるように調整する。
0.01V÷0.47Ω≒20mA


少な目の9mVにセット→→
(改造) 簡単にアイドリング電流を調整できる様に、端子板を取付けて終段の0.47Ωの両端からリード線を出す事にした。

左から終段のエミッタ→中点→コレクタ→エミッタ→−電源のTEST端子
音だし

2013.01.20
すべての電解コンデンサを取替えた。
「さーて」と電源投入、しかし音が出ない。
切り分けていくしかないですね。
@終段の電流値は正常。
Aドライバー段も正常。
と言う事は、イコライザー・トーンコントロール基板で極性を間違えたかなア〜。
でも、L・Rの両方ともダメとなると極性ではなさそうだ。
各部の電圧を測るしかないでしょう。

イコライザー・トーンコントロール基板へ供給する「−」電圧が−60V位のはずなのだが、如何もおかしい。
(トラブル1) もしかして、−B電源の2200μFの極性間違えたか。
ありゃ〜、赤リードを+極に、黒リードをー極に繋いでる。

正解は→→のとおり。
黒リードを+極に、赤リードを−極に繋いでOK。
此れって、リード線の色使いが逆でないかい。
まあ〜いいか。
エージング エージングを開始して30分位経過したら、突然ヒューズが飛んだ。

何だ何だ!ヤバイなア〜。
しいてやった事と言えば、以前から外しておいた保護回路の赤リード線を繋いだ事。

何で外したのか忘れているのだった。
(トラブル2) とりあえず保護回路のリレーのメーク接点を追ってみる事に。

この水色と青のリード線、如何みてもおかしいよね。
印の場所は、トランスの±28.5Vから来るAC端子。
此れをリレーの接点でショートする回路になっている。
とんでもない回路だ。
(対策) この保護回路は回路図にも無い事だし、何が正解なのか解らない。
したがって、このリード線は外す事にした。
上記、電源基板から外した水色と青のリード線と+電源の赤リード線は外して端末処理をしておく事にした。

結局、この基板は何なのさ!!
(各部の温度) 通常の音量で3時間ほどエージングして、
@電源トランスの発熱
A終段Trの発熱
B整流ダイオードの発熱
Cドライバー段の各Trの発熱
を確認した。
いずれも、指先の温度と変わらなかった。

と言う事で、正常に動作している様です。
誤配線によるトラブルは有りましたが、大事に至らず作業を終えることが出来て本当に良かったです。
終わりに 何はともあれ、トラブル2は無理やり解決させた。
しかし、年代物をメンテするというのは機関車では慣れているのですが、トランジスタアンプは別で緊張の連続!
ちょっとしたミスが取り返しのつかない事に。

いろいろ有りましたが、ともかく結果オーライ。
ハイグレードの電解コンデンサに取替えた事で、音質は如何かと言うと私の耳では分かりませ〜ん。

が、音の感じは滑らかで温か味のある真空管の音に似ているでしょうか。

定格が4Ωで40Wと出力も小さくマイナーな機種ですけど、フルレンジのスピーカにはお似合いと言ったところかなア〜。
トラブルの想定 今後起こりうるトラブルとしては、トランジスタの足の錆が内部に浸透して起こる「バリバリ」雑音でしょうか。
如何しても気になる
保護基板

2013.01.25
上記、トラブル2に於いて保護基板の回路が「トランスの±28.5Vから来るAC端子をリレーの接点でショートする回路になっている。」
と書きましたが、
如何も気になりTechnicsアンプの修理を数多くこなされている[アンプ修理センター開設]、此方の方にご教授いただいたところ、此れが正規な回路だという事が判明しました。
[回答]
この基板はSP端子にDC漏れ等が発生した場合、SP保護のため電源回路をショートしてヒューズを飛ばす保護回路です。
ちょっと乱暴な回路ですが...

という事は、根本原因を追究せねばなるまい。
私の腕で解決できるか分かりませんが、やってみるしかないでしょう。
(回路図作成)

2013.01.26
終段の中点の電圧が、数mVで何故リレーが動作してしまうのか、先ずは回路図を作成してみる事にした。
(リレーの動作確認) 定電圧電源を繋ぎDC何Vでリレーが動作するか確認してみた。
約±7.3Vで即動作した。
それ以下でも時間が経過すると、動作する事も確認できた。

7Vという事は相当なDC漏れです。
では、何故数mVで動作したのであろうか?
とりあえず、終段中点からのリード線を入力端子に繋いでみる。

その後半日ほどエージングしたが、リレーは動作していない。
(原因) 再現しないのであくまで想定ですが、入力回路の電解コンデンサにゴミ(電圧)が溜まっていたなどしか考えられません。

接続が+−ー+ですから放電できないためでしょう。