2次レーダーの応答信号を利用する

バーチャルレーダーの実力はいかに!?

SBS−1使用記

ACARSを超えるバーチャルレーダーがある!?

SBS−1の存在を知ったのはオリジナルACARSデコーダのJ−ACARSのプログラムのためにネットで情報収集をしていた時のことでした。おもむろに英語を読んでいると「今はバーチャルレーダーにはACARS受信とSBS−1がある」。

?、SBS−1?? 初耳のものである。ソフトウエアデコーダならぜひとも試したいものであると思い調べるとどうも違うらしい。なんとACARSを受信するのではなくレーダーシステムで使われている信号を受信するハードウエアだったのです。

これはぜひとも試したいものだ。で、どこで売ってるの?。え、イギリス製?。まぁ個人輸入でどうにかなるでしょ。でpriceは?、さくっと外国のネットショップを探すと、え゛、500ユーロ!? 日本円で8万円!? う゛むむ、個人輸入も考えるとハードル高いなぁ…

製造元のKinetic AvionicのHPにある画像。心おどろされるなぁ、もう。

リアルタイム性にかけて、思い切って購入

これだけ投資するにはまず綿密な下調べを。SBS−1はADS−Bという信号を受信してマップ上に表示するらしい。ADS−Bは2次レーダーのMODE−Sを使用したもので、MODE−Sは日本でも対応しておりレーダー信号を使うことからリアルタイム性は非常に高いが、ADS−Bは全ての航空機から得られるものではない…。え、そりゃ残念だなぁ。

そうこうしているうちに日本でもアペックスラジオさんが代理店で発売していることを発見! おぉ、個人輸入の手間を考えるとなんていいお話なんだと思いつつ価格を確認すると、ん?、諭吉さん13名様??

諭吉さん13名様はさすがに抵抗あるなぁ。しかも全航空機に対応しているわけではないし。う゛むむ…と晩酌しながら考えること数十分、「ぃよっしゃぁ、リアルタイム性にかけて、いっちょ買ってみるかぁっ」と気合とノリで注文ボタンをポチっと。

というわけで数日後に到着。仕事の疲れもそっちのけで早速設置しました。

おもむろに設置されている我が家のSBS−1。PCともに常に電源ONです。

SBS−1本体の接続と動作

SBS−1本体はアペックスラジオさんやKinetic AvionicのHPにありますようにパソコンとはUSBで接続します。電源もACアダプタも付属しますがUSBからの電源でも動作します。ですので基本的にはUSBとアンテナさえつなげれば動作します。

正面パネルにはいくつかLEDがついていますが、基本的に点灯するのは左から電源状態(赤)、USB接続状態(橙)、ソフト接続状態(緑)、そして受信状態(青)です。この受信状態は信号レベルではなく、どれくらいの航空機からの信号が受かっているかを示すものです。

背面の説明ですが、不思議なことに背面に関する説明は説明書にもないんですよね。背面は左からBNCアンテナ端子、USBコネクタ、見えずらいですが小さなスライドスイッチがあり、その右にDCコネクタ、そしてRS232Cとなります。

スライドスイッチは電源をUSBにするかDCコネクタにするかを決めるものです。またRS232Cは、ここに対応する無線機を接続するとソフトで無線機の周波数が設定できるようになります。

SBS−1本体の表面と背面。周りは高級そうなパネルに覆われてます。

あ、接続の前にソフトのインストールを

接続のことを先にしてしまいましたが、SBS−1を使うにはまず本体を接続する前に付属CDからソフトウエアをインストールするよう説明書には記載されています。これはBaseStationというレーダー画面などを表示するソフトです。USBドライバはまた後でインストールします。

ソフトのインストールが終わったらSBS−1本体をパソコンに接続します。するとドライバのインストールをWindowsから要求されるので、CDを入れたままで次へを押していきます。同じようなことを2回しますが、次々々…で特に問題はないと思います。

ドライバのインストールが終わればCDはもう不要で、BaseStationを起動すればレーダー画面に受信している航空機のプロットが表示されます!

取説は当然のことながら英語。でもインストールの手順は一番左の紙です。

高価だけど期待以上のリアルタイム性能!

起動して初めて画面を見たときは正直感動したくらいでした。マップ上を複数の航空機が目的の方向へ進んでいるのがわかります。その動きははまさにテレビで見るようなレーダー画面そのものです。これには期待した以上でした。

自宅のちょうど真上を通るのを確認して空を見上げれば飛行機が通過していくのがみえます。「あぁ、あの飛行機はユナイテッドで今25000フィートあたりなんだなぁ」と飛行機を見る目も変わります。

それに心配したほどADS−Bに対応している航空機は少なくなく、主に外国機や国内航空会社でも国際線の航空機は対応率が高いので国際空港や国際線の飛行機が通る航路上ならまずマップ上に表示されるはずです。

成田空港を飛び立つ各機。旋回の様子までしっかり見れるのは感動モノです。

固定受信なら専用アンテナがおすすめ!

SBS−1の付属品にはマグネット式のアンテナも含まれていますので、パソコンさえあれば受信環境は整います。しかし固定でじっくりとSBS−1を楽しむのならアペックスラジオさんから発売されている専用アンテナ1G09−GAがおすすめです。

付属されているアンテナはマグネット式の簡易なものですが、空港近辺へ移動したときに使用するには十分すぎるほどの性能があります。しかし固定の際は、やはりアンテナは高く上げたほうが受信範囲や受信高度(どれくらいの低高度まで受信できるか)にかかわってきます。そうなると、マグネット式のアンテナでは設置に苦労します。

その点、専用アンテナはマストにしっかり取り付けできますし、作りもしっかりしているので長期間設置していても安心です。もちろん感度もよいですが、やはりマストなどしっかりしたところに高く設置できるメリットの方が大きいです。

固定でアンテナが設置できる環境でしたら、ぜひオススメします。

マンションのベランダに設置した専用アンテナ(左)。右はエアバンド用アンテナ

BaseStationのバージョンアップとカスタマイズ

SBS−1で受信したデータをレーダー画面に表示するBaseStationですが、バージョンアップがされていることがあるのでその際はぜひバージョンアップしましょう。新しい機能や設定が加わっていることもあります。バージョンアップするたびに使いやすさが向上しています。

またBaseStationは初期の状態からいろいろカスタマイズが可能です。画面を分割したり、便名表示や高度表示を変えたりできますが、いちばんのカスタマイズといえばWayPointや航路、そして陸地データを更新することでしょう。このカスタマイズをすることでより見やすく、そして楽しめるものにできます。

VORやDME、WayPointなどのポイントデータはWPTというファイルでSBS−1のインストールされているフォルダにwaypointsというフォルダがあるのでここにファイルを入れます。また陸地データや航路などのラインデータはOUTというファイルで同じくoutlinesというフォルダがあるのでここに入れます。

ファイルはサードパーティーの方々が数々作成されています。

カスタマイズした結果、陸地が細かくなったほかWayPointやILSも表示

SBS−1成田空港受信実験

SBS−1で表示できるADS−B信号は国際線の航空機の対応率が高い!っということで国際線メッカ(?)、成田空港直近の公園にて受信実験をしてまいりました。

まず、やはり空港直近!ということで着陸・離陸ともにゼロ・フィートから表示が可能! また付属のアンテナでもかなり遠くまで受信することができました。

また驚く点として、地上をタキシングしている航空機からもADS−B信号が出ていて、やろうと思えばどこをタキシングしているか、次はどの航空機が滑走路脇の誘導路に来るかを見ることができます。これには驚き!

そのほか、成田受信実験の画像はこちらで →こちら

固定受信では低高度ほど受信が難しくなります。やはり離着陸機をSBS−1で見るには移動受信が欠かせないのかもしれません。

SBS−1成田空港受信実験の様子。USBで動作する点はやはり大きい。

総合的には☆☆、今後に大いに期待!

結果的には、やはり国内線のADS−Bの対応率が悪い点で星2つといったところでしょうか。個人的にはやはり管制レーダーのように機影がびっちりとあったほうが嬉しいですね。

しかし国内線でもADS−Bの対応率が高くなるように感じています。新規参入したSTAR FLYERの対応率は高く、またSkymarkも対応率はそこそこ。GalaxyもADS-B対応です。ANAとJALのみ対応率は低いです(2007/1/25現在、JAL1機、ANA2機確認)。国の方針としては「レーダーの補足的役割」として位置づけていますので、今後は対応率が高くなる可能性は大です。

航空ファンで国際線空港の近くに住んでおられる方にはたいへんオススメしたいです。そのほかの方には、実際の航空管制と航空機の飛行を知るより一歩進んだ航空の楽しみをされたい方、そしてよりリアルなフライトシミュレーションをされたい方の参考にもなると思います。

成田空港へ進入する各機。こんなに蛇行して着陸しているとは初めてしりました

←もどる