『ひとくち感想』

(第五回)




 最近、なかなかに素敵なペースで映画を観続けている豪腕はりーです。
 レンタル・購入問わずDVDは観てますし、映画館にも適度に通うという幸せな映画生活であります。
 そして、その幸せな気分を肥溜めの底にまで気持ちよく叩き落してくれるのが、皆さんご存知「うんこ映画」なわけですね。

 はっきり言ってお金の無駄です。
 それ以上に時間の無駄です。
 しかしその無駄を楽しむ心意気こそB級うんこ映画の正しい観方であり、まず何一つ期待しない所からさらに気持ちをマイナスにして臨むという自虐じみた覚悟が必要になってくるわけです。

 マゾにしか見えませんけど違います。
 何だか訳の分からない新興宗教に多額の献金をしている感がありますが、そうした精神状態とは異なった位置に楽しみがあるのです。
 第一、ここで払う犠牲は何一つ帰ってきません。
 リターン率は宗教に対する神頼みよりも遥かに低い確率です。
 それでもなお時間とお金をかけるのは、ただ一つネタになるからにすぎません。
 こんなサイトやってなけりゃ120%観る事は無いであろう、そんな世界のうんこたちに今日も私は時間とお金を肥溜めに捨てているのでした。

 そして私の悪い癖は、こんなレビューなんか書いて皆さんも一緒に引きずり下ろしている点です。
 一体何を共有しているのでしょう。倦怠感でしょうか。
 というわけで、今回もまた果て無きうんこ映画の旅に突入しましょう。



 まず最初にこの作品。






『ゾンビ・ドッグ』













コワイイ〜ッ(笑)。




 正直「これは無いわ」と思いました。

 もう少しどうにかできなかったんでしょうか。
 こんなもの見せられたら当然お金出して買っちゃうじゃないですか。
 恐ろしや、恐ろしやB級うんこ映画のパッケージ。
 果物の王様「ドリアン」も、最初うんこの匂いがするけど病み付きになるって言いますし。

 「ゾンビになった犬」という観点では、アクションゲームの名作『バイオハザード』シリーズがまず思い浮かびます。
 あのゾンビ犬は軍用ドーベルマンでした。


 一方こちらは子犬です。


 どうしてこんなチョイスをしたのか非常に理解に苦しみます。


 まずパッケージでのけぞらせ、設定で絶句させる。
 まるで上手なスタンガンの使い方です。

 あまり観ないうちから突っ込むのもアレなので、いつものようにストーリーを先にご紹介させていただきます。



数々の米国ホラー映画祭で

グランプリを受賞!




人間の言葉を話す犬を拾った男が、

次第に殺人鬼へと変貌していく様を描く異色ホラー。



しがないアニメ作家ミラードはある夜、

車を運転中に子犬をひいてしまう。



看護の末、息を吹き返した子犬が


人間の言葉で話し始める。



何とその犬はゾンビ犬だった…。









「息を吹き返した」
「ゾンビ犬」








息を吹き返したら
ゾンビじゃねぇ。




 お前はゾンビを何だと思ってるんだ。
 第一、このストーリーを読んだ限りでは子犬が助かって良かったねとしか見えません。
 一体どこをどうヒネッたらこんな悪性腫瘍みたいな映画になっちゃったんでしょうか。
 こんなんで賞を取れるほどアメリカってのは馬鹿なんでしょうか。

 軽く腰が砕けながら映画を観たんですけど、何しろ主役のハゲピザの独白が長い長い。
 あらゆるシーンでこいつの説明セリフが流れっ放しです。
 映画でなくて単なる朗読で十分です。
 それも小粋なセリフや重要な話ならともかく、明らかに精神分裂症の患者の独り言を序盤から終盤までずっと聞かされるのですよ。

 その上、ここだけは特筆したいんですけど。
 この映画のタイトルは『ゾンビ・ドッグ』です。






ゾンビは出ません。


                ____
              /::::::::::  u\
             /:::::::::⌒ 三. ⌒\      
           /:::::::::: ( ○)三(○)\    
           |::::::::::::::::⌒(__人__)⌒  | ________
            \::::::::::   ` ⌒´   ,/ .| |          |
           ノ::::::::::u         \ | |          |
         /:::::::::::::::::      u       | |          |
        |::::::::::::: l  u             | |          |
        ヽ:::::::::::: -一ー_~、⌒)^),-、   | |_________|
         ヽ::::::::___,ノγ⌒ヽ)ニニ- ̄   | |  |







マジで。





 神よあなたは今どこで何をしておいでですか。

 このタイトル決めた人は嘘が悪い事だと教えられていないのでしょうか。
 私はゾンビが好きなんです。
 これじゃゾンビ・ドッグじゃなくてただのドッグじゃないですか。

 この映画、実は嫁にお金だけ渡して「君の感性で買ってくれ」って言ったんですけど。
 嫁のうんこレーダーも日に日に鋭さを増しているようです。

 こんな結果になって私の尻も脱肛しそうですが、ともかく続けます。
 ハゲピザが車で子犬を轢いちゃう所からストーリーが動き出します。
 こいつの妄想がラジオで拾えそうなほどの電波ビンビン状態です。

 ともかくシナリオが書けない→酒を飲む→原稿取りに来た少女に馬鹿にされる→妄想で殺す→酒を飲む→電気メータの検針の女が来る→妄想で殺す→酒飲む→知り合いの女と会う→妄想で→酒→マネージャーと→妄想→酒→老女→妄想→酒→オカマ→妄想→酒→ネバーエンド。





早くこいつを殺して。



三           三三
      /;:"ゝ  三三  f;:二iュ 何でこんなになるまで放っておいたんだ!
三   _ゞ::.ニ!    ,..'´ ̄`ヽノン
    /.;: .:}^(     <;:::::i:::::::.::: :}:}  三三
  〈::::.´ .:;.へに)二/.::i :::::::,.イ ト ヽ__
  ,へ;:ヾ-、ll__/.:::::、:::::f=ー'==、`ー-="⌒ヽ   ←ハゲピザ
. 〈::ミ/;;;iー゙ii====|:::::::.` Y ̄ ̄ ̄,.シ'=llー一'";;;ド'
  };;;};;;;;! ̄ll ̄ ̄|:::::::::.ヽ\-‐'"´ ̄ ̄ll






          oノ oノ
          |  |  三
 _,,..-―'"⌒"~⌒"~ ゙゙̄"'''ョ  ミ
゙~,,,....-=-‐√"゙゙T"~ ̄Y"゙=ミ    |`----|
T  |   l,_,,/\ ,,/l  |
,.-r '"l\,,j  /  |/  L,,,/
,,/|,/\,/ _,|\_,i_,,,/ /
_V\ ,,/\,|  ,,∧,,|_/
                                    ┼ヽ  -|r‐、. レ |
                                    d⌒) ./| _ノ  __ノ




 女が欲しいのは分かりますけど老女やオカマは先生どうかと思うぞ。
 外見だけじゃなく中身まで清々しいほどのクズ人間です。
 しかし文句を言うべきはハゲピザだけでなく、編集少女ただ一人を除いて出てくる女が全員1から10までブサイクへのひざ蹴りです。

 「人間は外見じゃない」と言ってる輩は、この映画を観た後でもそれが言えるかどうか疑問です。
 そして唯一の救いであった編集少女は性格が最悪でした。

 神お前ちょっとこれ観てみいや。

 B級以下のうんこ映画に共通する点は、キャストにそこまで金なんか使ってらんねぇという事でしょうか。
 ヒロインなんか中世の裸婦画の1.5倍くらい太ってるし。
 メタボ王国・アメリカの作った妄想ワンちゃん映画です。
 こんなんでもシナリオライターを名乗れるなんて素敵な国ですね。



 そーいや子犬忘れてたわ(笑)。




 ええと、こいつが今作品のキモですね。
 車に轢かれて重症を負った子犬。息を吹き返したらなんと言葉をしゃべったよ!…という、設定だけ聞いたら少女漫画にしか思えない展開です。
 しかしご安心ください。
 この犬も十分キチガイです。

 ぶっちゃけ犬がハゲピザをコントロールし、妄想強化して殺人者に仕立て上げるというのが骨子のはず…なのですが。

 なぜか犬がシナリオの中身まで考えてくれます。

 天才犬です。
 しかもそのシナリオが面白いらしく、仕事バンバン舞い込んで大ブレイクしちゃいます。
 その上ハゲピザが妄想していた女に現実で引き合わせてくれます。





ちょっと子犬
轢いてきます。



                   ,'⌒,ー、           _ ,,..  X
                 〈∨⌒ /\__,,..  -‐ '' " _,,. ‐''´
          〈\   _,,r'" 〉 // //     . ‐''"
           ,ゝ `く/ /  〉 /  ∧_,. r ''"
- - - -_,,.. ‐''" _,.〉 / /  . {'⌒) ∠二二> -  - - - - - -
  _,.. ‐''"  _,,,.. -{(⌒)、  r'`ー''‐‐^‐'ヾ{} +
 '-‐ '' "  _,,. ‐''"`ー‐ヘj^‐'   ;;    ‐ -‐   _- 今日は3匹逝ってくる
 - ‐_+      ;'"  ,;'' ,''   ,;゙ ‐-  ー_- ‐
______,''___,;;"_;;__,,___________
///////////////////////




 …そうではなく(笑)。
 はっきり言って何の必然性も無い設定です。
 加えて、子犬がどうして人間の言葉を理解し、どうして天才になったのかは何の説明もありません。
 車に轢かれたからですか?

 車に轢かれて言葉を話すなら、塩素をかぶって目が治るのと同じくらいの奇跡のように感じます。

 ちなみに「言葉をしゃべった」と書きましたけど、本当は少し違います。
 コミュニケーション手段が違うのです。
 それは。






テレパシーです。










マジで。





 悲しいけどこれうんこ映画なのよね。

 子犬が車に轢かれてニュータイプに目覚めてしまいました。
 私は今、遠い何かに目覚めてしまいそうです。

 いや、理由は分かるんですよ。
 クチパクさせるとCGでお金がかかるからだと思います。
 だから単に犬のツラを映しているだけ。
 そのバックで、無駄にダンディな男のアフレコが重なるという…。

 画面は子犬なのに暑苦しい事この上ないです。

 以上のように、この映画がいかにクソか分かっていただけたらと思います。
 ストーリーもグダグダです。
 結局全部ハゲピザの妄想だったんじゃねえかと思わせてしまう流れもあったり。
 相変わらず流れっ放しの電波朗読も。
 そして子犬はぜんぜん働こうとしないハゲピザを一所懸命PCに向かわせようと頑張るという、もう何が何だか分からない衝撃の展開です。

 実は子犬いい奴だったというのが、この映画最大のサプライズなのかもしれません。

 結局このハゲピザは、前から気に入らなかった編集少女をその場の勢いで殺してしまいます。
 「いつかやるような気がしていた」と同級生のモザイク証言が流れる感じでしょうか。
 ところがぎっちょんちょん。


 ハゲピザが人を殺した葛藤してる間に、子犬の方はとっくに5人くらい殺してました。


                                __
                          __     ∠:;;;:ゝ‐、
       5人ほど殺ってやった > i´ `ヽ、   ,r'´ r:::、 ヽ
                          ,.:ヘノ ノ::::、 , ゝ };;:ノ ,ト、
                       ,,.r''´,;:'';.',   ヘ ヽ、..,,,,゙゙ ノ  `、
                      ,,.r''´,.r''´  ',',    ',    ,!;;;''´     ヽ
                 ,,.r''´,.r''´   _,,,,i l;;;;;;;;;;;l   {: `      `、
          o      _,.r'',,.r''´     __,,,,:::;;;;i i;;;;;;;;;:!   !::::::..      `、
          l|  __,r''ヽ>,,,,,;;;;;;:::::::::'''''''''''''||'''''"ヽ::::ノ   l::'' ';;;;   {...    ',
       r"t<__`ー‐'=,=======⊇         l. i' l. l::'´    }
       ト、ヽ__二二ニニく  ___r',,ニニニU          l ,!  l l::.    ,!
       l、 l:l:::l‐─┼─l ヒニ--‐'               ,! l  ,! ,!:::::._ゝ ,ノ
       ∧`'ー┴──‐┴┴ヽ、           (__,,ノ (_;;;;(__,)
       ∨二二二二ニニニニ!



 実は子犬悪い奴だった。



 あんな小さな子犬に簡単に殺される女たちも酷いんですが、一番酷いのは意味がぜんぜん分からない事です。



 こんな感じで映画は唐突に終わります。



うんこにも程がある。




 …犬がニュータイプに目覚めた分、我々人類はどう対応していいのか分からないままに滅ぼされてしまいました。
 きっと宇宙世紀でも同じ事が起きるのでしょう。
 それだけは全力で阻止せねば。

 そう思わせてくれた、なかなか貴重な映画でした。
 最大の欠点は『ゾンビ・ドッグ』というタイトルのくせに、ゾンビが1匹も出てこない事だと思います。






 さて次は、有名どころを行ってみましょうかね。
 誰もが知っている、あの映画監督のデビュー作です。






『激突!』







スティーブン・スピルバーグ監督作品。




 そうです。
 『ジョーズ』『未知との遭遇』『E.T.』『インディ・ジョーンズ』『ジュラシック・パーク』『プライベート・ライアン』『シンドラーのリスト』その他その他、もう説明するのが阿呆らしくなる程の超有名監督さんですね。

 このサイトで扱う事が何かもう間違いですね。

 そうした偉大な監督の作品がここで取り上げられるという事は、きっと何かがあると考える方もおられるでしょう。
 その通りです。
 繰り返しますがその通りなのです。

 この映画は、実際にはテレビスペシャルみたいな感じで製作されました。
 その後、劇場公開用に再編集された作品です。
 だから実質のデビュー作は『続・激突! カージャック』辺りになるらしいのですけど、ひとまずこの『激突!』こそがスピルバーグの原点である。
 世間ではそう認知されています。

 そして。
 いわゆる映画好きとされる方々の多くが語るに、この『激突!』こそがスピルバーグの最高傑作である。
 そういう意見が多数見かけられます。

 これに関しては異を唱えません。


 私はぜんぜんそう思わないんですけど、そういう意見があるのは理解できるのですよ。



さりげなく暴言。




   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)
. |     (__人__)   どう考えても『激突!』だろ・・・
  |     ` ⌒´ノ   常識的に考えて・・・
.  |         }
.  ヽ        }
   ヽ     ノ        \
   /    く  \        \
   |     \   \         \
    |    |ヽ、二⌒)、          \




       . … .
       :____:
     :/_ノ  ー、\:
   :/( ●) (●)。\:   ・・・だってさ、面白いと思ってるのかお
  :/:::::: r(__人__) 、::::\:  ウッ・・・p...
  :|    { l/⌒ヽ    |:
  :\   /   /   /:




       ____
     /-‐  ‐-\
   / ( ⌒) (● )\
  /::::::⌒(__人__)⌒:::::\  
  |     l/⌒ヽ    |  おっと、失礼したお
  \   /   /   /




          / ̄ ̄\
        ノし. u:_ノ` ,,\.
       /⌒`  ( ◯)(O):
       .:|   j(   (__人__)
       :|   ^  、` ⌒´ノ: もう我慢の限界だ
        |  u;     ゙⌒}:
          ヽ     ゚  " }:
        ヽ :j    ノ:             _____
       /⌒\ ゚ (´ .                :/ ノし   \
       :|  ゚ \〜、,⌒\.    _      :/ u ⌒     ゚ \
      :| \j(, \  r   \ :gj }`hi、.  :|,  。   :j    } 決着つけるお
      |   \ 〆ー───〆 八 ヽ (     u   〃ノ
      | :j   \___゚___' ,ノノー`Y \ \/⌒ヽ〜ヽ
     |         |:    ー──‐‐\ . ィ ´ ゚ /    \
      |   ゚     :j  |:           \、__/l  ゚  :j  \



 AAが楽しいので場所取りすぎました。

 真面目な話。
 『激突!』がスピルバーグ最高傑作だと断じる方も、別にその後スピルバーグの作品は全部下り坂だと言ってるわけじゃないんです(中にはそういう方もいます)。
 この映画の素晴らしさは別の所にあります。

 一切の無駄をそぎ落とした剥き出しのサスペンス。

 これこそが、この作品の最大の魅力なのではないかと思います。
 ストーリーを見りゃ分かります。



主人公の車を、どこまでも執拗に追いかけてくる巨大トラック!






以上。







わずか1行で済みました。




 本当に、これ以外は何も無い映画なんです。
 これだけで全体の95%はネタバレしてます。
 信じられないかもしれませんけど、この映画はこういう映画なんですよ。

 うんこの臭いがしてきませんか。

 天下のスピルバーグに向かって、グーグルでのヒット数が約100分の1に過ぎない豪腕はりーが何を言うのかと思われるかもしれません。
 私も同じ事を思っています。
 思っていますが、天下の巨匠もやっぱり若い頃はうんこだったんだなぁと考えると、それはそれで良いではないですか。



あのキャメロンだって『殺人魚フライングキラー』とか撮ってますもんね。




 逆に言うと、スピルバーグはデビュー作にしてこのレベル。
 あらすじ聞くとうんこ以外の何者でもないのに、観るとしっかりサスペンスしてる所はさすがスーさんです。





さ〜すがスーさん!




 ぶっちゃけた話。
 現代の派手なアクションや金のかかった演出に慣れた目で観ると、けっこう地味だし退屈だと思われるかもしれません。
 まあ、それは当たり前です。
 ものすごい低予算でありつつわずか3週間で撮った作品ですから。
 当時のスピルバーグの精いっぱいの90分間を、この作品からは感じる事ができるのです。

 既視感を覚える場合、たぶんこっちの方がオリジナルだと思います。
 製作が1971年ですからね。

 しかし豪腕は、この作品を賞賛する方々に言いたい。


 そこまで持ち上げるもんでも無くね?


 なんかこの映画を賞賛してる方々の話を聞くと、スピルバーグの原点だからっていう理由だけで妙に全肯定してるような方もけっこういるんですよ。
 しっかりと色々な映画を見た上でなお、この『激突!』が素晴らしいと思えるのなら何も言いません。
 でも、そうは思えない方もいるんです。



 要するに「これ褒めときゃ映画通じゃね?」とでも言いたいような半可通の感想です。



 そしてもっと酷いのは。



「これが分からない奴馬鹿じゃね?」という視野の狭さをみずから露呈している方の感想です。




そこで豪腕、はっきり言います。




この作品は面白いです。






そこそこに。





 今私は、年若い腐女子の前で『リボーン』のヒバリを論理的に否定するのと同じくらいのスリルを味わっております。
 すみません。
 ボタンを見るとつい押しちゃうんです。

 そういうわけでこの作品。
 「温故知新」という意味なら最適です。暇つぶしにも良いでしょう。
 しかし期待して観るとそんなに大した事はありません。

 あのね。

 誰かがそろそろ言ってあげないと駄目だと思うさ。

 全肯定するのが悪い事だとは思ってませんけど、それを押し売りするのは間違ってると思うさ。
 そして他人の感性を否定するのは自信をもって悪い事だと思うさ。リーダー的に。

 例えば私の場合、サメかゾンビが出てりゃ何でも許しちゃうという悪癖があります(書いてる私がうんこです)。
 許しながらも相当にボロクソ書いてます。
 それは事実であり私にとっての愛なんですが、そんなもん押し付けられても大抵の人は困ると思います。

 どんなにいい映画でも、それをやった途端にうんこになる。
 そしてその映画をうんこにするのは他でもない押し付けた本人なのです。



                  _____
                 / ヽ____//
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               /              /ヽ__//
             /   お断りします     /  /   /
             /              /  /   /
            /   ____     /  /   /
           /             /  /   /
         /             /    /   /
          ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/   /   /




 あんまり強く奨めすぎると原点厨ですよ。
 以降の映画界の発展そのものを否定しちゃ駄目ですよ。
 白状すると私も一番好きなのは『ジョーズ』ですけどね。
 ただしその『ジョーズ』にしたって、もしあの内容でサメが出なかったら超うんこですし(当たり前)。

 …ところで。


 『ゾンビ・ドッグ』と『激突!』を同じページに載せているという点が、スピルバーグに対する最大の侮辱かもしれません(笑)。
 スーさんごめん。






 それでは最後にこの作品。






『レッド・ウォーター』







湖なのにサメ地獄!







…惚れた。




 いつもはハリウッド崩れの映画ばっかりやってるイメージだった木曜洋画劇場が、ついに反旗を翻しました。
 湖なのにサメ地獄。
 このコピー考えた奴ここに連れてきてください。表彰します。

 というわけで、今回はDVDでなく吹き替え版のテレビ放送で観てみました。
 どんな映画なのか、それは以下の予告編を見ていただきましょう。



どうせこの世は色と欲


お前も…お前も…お前らも!


落ちる地獄は サメ地獄!




静かな湖畔の森の中


湖なのに サメ地獄!!




「湖にサメは…」


「出て行け!」


「海でしょ?」


「突っ込むな 出て行け!」





労働者の命はエサじゃ無い!


深く湖底に潜む


恐怖と戦慄!


誰のために


何のために


潜るのか?




「ゴホゴホ…!(もうヤダ この仕事!)」


ルー・ダイアモンド・フィリップス主演


(字幕:『チェ 39歳 別れの手紙』)




斬新な切り口で挑む


赤色ジョーズ革命


≪鮫・工・船≫(SAME KOU SEN)


プロレタリア・シャーキング・パニック!


レッド・ウォーター サメ地獄!


レッド・ウォーター サメ地獄!!







             ∩___∩     /
             | ノ      ヽ  /
            /  >   < |/ そんな餌パクッ
            | //// ( _●_)/ミ
           彡、     l⌒l  ノ
           / __  \ \ヽ
          . (___)   \__)
          . O|       /
            |  /\ \
            | /    )  )
            ∪    (  \
                  \,,_)



釣られて悔い無し。




 いや〜最高です。
 あらゆる方向からバカです。
 こんなに愉快な映画をタダで観られる幸せに、私は木曜洋画劇場への偏見を改めました。

 まず結論から書きましょう。



 面白かったです。


 うんこ映画として面白かったという意味ではなく、普通に素で面白かったから始末に終えません。
 本当ですよ。
 娯楽作品として非常に楽しめた事を告白いたします。

 湖なのにサメ地獄。
 このコピーに洗脳されて、観る前からうんこ認定している方々に伝えたい。
 この映画は確かにB級映画かもしれませんが、決してうんこ映画ではありません。
 けっこうよくできたアクション映画だと思います。

 そして、これを観てなお「うんこ」だと言い張る方。

 君は一体うんこの何を知っているのか。

 うんこ映画というのは例えば『ダイナソー・ファイター』のような、木曜洋画劇場なんかではとても放映できないレベルの映画の事を言うんです。
 この作品はそうじゃない。
 確かに設定は目を覆いたくなるほど阿呆らしいのですけど、そのギリギリの設定の中でいかに娯楽作品として完成させるか。
 その辺けっこう頑張ってる印象があります。
 まるでホンダ撤退後の非力なフォード・エンジンで頑張るマクラーレンみたいに。

 それはともかく。
 この映画の主演はこの人です。







ルー・ダイアモンド・フィリップス(1962〜)




 写真がこれしかなかったのでソーリーしてください。
 さてこの人、ご覧の通り印象的な顔をしておりまして(写真写りが悪いんですが)、どんな役で出てきてもすぐにルーだと分かります。
 ちょっと不器用ですけどね。顔が。

 ただし一応ハリウッドのスターですし、立ち位置も超一流のやや下辺りのポジションであり、そういう意味では実際微妙なんですけど良い俳優です。
 という事で。

 うんこ映画にはもったいない人材でありましょう。

 ルーの出演料でうんこ映画3本くらい作れます。
 だからこの映画はうんこじゃないんです。

 実はこの作品、劇場公開作ではなくてテレビ映画として作られました。
 だからといって出来が悪いわけではなく、例えば放送時の視聴率がその局におけるテレビ映画史上最高の数値をマークするなど、その辺の映画よりよっぽど実力があったのです。
 そしていよいよ日本上陸。



湖なのにサメ地獄。




やっちまったなぁ。




 …木曜洋画劇場は、この作品を完全なイロモノとして扱っていたのがよく分かります。
 しかし。しかしですよ。
 そのあまりに情けない予告編が一部の巨大掲示板で地味にブレイク。
 結果、放映前に結構な話題になったのでした。
 宣伝費を1円もかけずにね。

 これが計算だったとしたら、テレビ東京には相当な策士がいますね。
 さすが大地震でもアニメの放送を止めない局。

 ところでまだストーリーを書いてませんね。
 こんな感じでしょうか。



かつて石油採掘技師をしていた主人公は、元妻に頼まれ、

アメリカ・ルイジアナ州の自然保護区に設置された

石油採掘基地で働く事に。



ただ、その下流にあるリゾート地で


行楽客がサメに襲われる事件が発生。



そんな中、盗んだ大金を川底に隠した

麻薬組織のギャングがやってきて基地を乗っ取り、

主人公らに大金の捜索を強制する。



そして川底からは、


再びサメの魔の手が襲いかかる・・・!











サメ必要ねぇや(笑)。




 そういう事で、このパターンは『ジョーズ』以降、初めて「単なる人喰いザメ」を脱却した『シャーク・アタック』に酷似しています。
 サメの存在が単なる障害物になってしまうガッカリ感はあるものの、この作品からようやくサメ映画は「スピルバーグの呪縛」を離れたと見ても良いでしょう。
 ぶっちゃけ普通のアクション映画のアクセントとしてサメを付け足したみたいな印象は拭えません。
 拭えませんが、いいんです。

 サメが出てきてバクバク喰えば私は満足です。

 そういう単純な方にこそ、今回の『レッド・ウォーター』や『シャーク・アタック』をお奨めいたします。
 それ以上の事はあんまり期待しないでください。

 ちなみにサメ映画では毎回、巨大な人食いザメをどうやって退治するかが山場になります。
 そこでポイントを稼ぐなら、やはりさりげなく伏線として登場している何かが最高でしょう。
 できるなら武器や兵器以外で、それも意外な使い方をして欲しいもんです。
 その点今作はそこそこ良かったと思います。
 もちろん最低なのは『ジョーズ4』ですけど、例えば上記『シャーク・アタック』などの「退治する事そのものは重要ではない」みたいな表現まで色々ありますね。
 調べてみると面白いかもしれませんよ。

 私も考えてみました。







サメころしき。







…駄目でした(笑)。




 以上、サクサクとご紹介して参りました。
 ものすごいカオティックなラインナップですね。
 うちのサイトもうんこ映画ばっかり紹介してると臭くてたまらないので、たまには真面目な映画も取り上げてみました(犬は除く)。

 次回以降も楽しいレビューをお送りしたく存じます。
 適度に期待しつつ、のんびりお待ち願います。
 また「この映画が面白い」とか「こんなうんこを見つけた」みたいなネタがありましたら、ぜひ拍手ボタンにてお教えください。お尻を出して待ってます。






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