1998年 レポート提出
『21世紀における情報を用いたサービス業のあり方』 21Cは、インターネットに代表される地球規模の通信ネットワークが人々を想像もしなかったような社会へと誘う電脳空間時代に突入する。すでに世界のあちこちでその兆しがはっきりみえている。中世以来、世紀末になると新しい時代の技術革命が起こり、社会を進化させるサイクルを繰り返してきたが、今、同時多発的に起きている電脳空間革命は過去の技術革命とは全くその性質が異なっているように思う。ネットワークが時の流れを越え、さらには国境や民族、家族、男女の違いをも超えた新しい生活環境をもたらしたからだ。ルネッサンスの天才、レオナルド・ダヴィンチの頭脳をサイバー空間に再現して、現代科学でも解けない難問を解析してもらおうという、タイムマシーンのような試みや、仮想空間の物体を手触りのある本物の物体のように変える新技術などが次々に姿を現し始めた。親会社の厳しい選別や貸し渋りにあえぐ中小企業がネットワークで結合して「ものづくり共和国」を作ったり、脱サラした人がホームページを活用して企業を興したりする動きも活発だ。国家の枠組みなどにとらわれない新しい世代も増えつつある。インターネットのお見合い結婚はもとより、ネットワークの中で、国境を越えた仮想結婚するカップルも登場してきた。会社の姿形、仕事、生活、男女関係までが電脳空間の中でどんどん進化していく。昨日まで空想だと思っていたものが、ふと気が付くと現実のものとなり、しばらくすると当り前になる。しかし、新しいテクノロジーはうまく使いこなすと大きな幸福をもたらしてくれるが、見誤ると取り残されてしまう危険がつきまとう厳しい時代でもある。われわれがこの情報革命の時代を迎えてどう対処しようとしているかが浮かんだ。「ネットワーク社会に何を一番期待しているか」と問われれば、即人間関係の広がりや利便性やビジネスチャンスと出てくる。また、パソコンやネットによって精神的な豊かさが得られると思う。これが何を意味しているのかと言えば、国境、時間、性別、年齢を超える「コミュニケーションツールとしてのネットワーク」という評価がほぼ定まったということになるだろう。電子メール、ウェブ、音声を通じて大きく広がった人間関係が精神的な豊かさをもたらしたことをはっきり示している。ネットワーク社会がまさに国境を超えた世界を結ぶ新しい共同体になっていて、ネットワークによって人々がつながり、人種や性別、富などとは違う価値観が影響力を持つ時代になる象徴といえる。精神性の重視はネット社会のもう一つの側面であるのかもしれない。「ネットワーク社会はいい方向に向かっているか、悪い方向に向かっているか」については、どっちとも言えないと判断する。基本的には楽観志向だが、不安感もまだ根強くある。未来を判断する材料は乏しいものの、私はネットワーク社会への進化は、もう後戻りはできないと考えている。情報革命は社会を大きく変えることは間違いない。未来のネット時代の人間に求められる能力・資質は、情報利用能力、情報を判断できる力が必要になってくる。
情報の判断能力というのは特に企業の成長力にもつながり、なによりもビジネスマンには必須の能力と捉えれる。懐の深さ、バランス感覚も持たなくてはならない。
あふれる情報の海の中をどう泳いでいくか?
それが共通の課題になると予測する。
情報利用できる力か、バランスのとれた価値判断ができる余裕とも見て取れる。
以上の裏を返してみると、それだけ情報が困惑するくらい、惑わされるくらいに押し寄せてくるという危機感、認識がある。
大量の情報にどうやって対処するのか―。利用能力を身につけるか、本来の自分の価値観を維持するかということになるだろう。
どっちにしても、ネット時代の人間にはかなりの能力が要求されることになりそうだ。
「パソコンやネットによって価値観が変わったか?」となれば、変わったと答えれる。
価値観の捉え方にもよるが、情報、国家、仕事、それらのものが今までとは違う見方をし始めている。
ネットが人間の能力、置かれた環境を変え、多様な選択肢を与えたことは確かである。
現状でネットを使いこなしている人は、これらはおおむねプラスに働いている。
使いこなす人にとっては、魅力を感じる世界であるのに、そこには魅力を感じないであろう層が確実に存在してくる。
いわゆる情報難民の問題も発生するだろう。
私は頑張ってパソコンを使ってきたが、パソコンは難しい。
情報化社会に対応するには誰でも使える端末が必要だと改めて気づいた。
これからは情報利用能力が不可欠。
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